4三振のリチャードを救った柳田悠岐らの“金言” 山川から愛のゲキも「野球向いてない」

リチャード【写真:冨田成美】
リチャード【写真:冨田成美】

4三振から一転、小久保監督は「昨日と内容違った」

 先輩たちの言葉が力になった。リチャード内野手は8日に行われたロッテとのオープン戦(ZOZOマリン)に「4番・指名打者」で出場。二塁打を含む2安打の活躍をみせた。前日の試合では4打席連続三振を喫しただけに、この日の試合後には安堵の表情を見せた。

 どんな打者であっても“4打席連続三振”は引きずってしまうもの。「1回諦めたんです。4三振したんで」と振り返るリチャードはどのように気持ちを切り替えたのか。今季こそ1軍定着を目指す“大砲候補”を救ったのは、百戦錬磨を重ねた先輩たちからの言葉だった。

「チームメートがよく声をかけてくれたんです。ギーさん(柳田悠岐外野手)からは『おれは5三振したことある』とか、佑京さんもそうです。色んな人が色んな事を言ってきてくれたんです。少し気も楽になって、今日は割とフラットの状態で打席に入れました」

 7日の試合後、落ち込むリチャードの姿を見た先輩たちが次々に声をかけてくれたことで気持ちを切り替えることができた。悔しい思いをしてきたのは先輩たちも同じ――。そう思えたことが、打席での力みをやわらげた。

「落ち込んでいる姿は見せないようにしていたんですけど。いろんな人に声をかけてもらったので。みんな優しいので、良いチームメートだなと思っています。山川(穂高内野手)さんは『多分野球向いてないから、今までやってきた事だけやっていけばいいでしょ』みたいなことを言っていましたね」

 主力選手からの直接的な励ましや、厳しさとも優しさとも受け止められる言葉をもらった。感謝の気持ちと同時に自身の役割を再確認した。3打席目の二塁打は、打った瞬間にスタンドインを予感させる当たりだった。それでもZOZOマリン特有の風を考慮。“入らない”と思い、油断せずに全力で走った。

「やっぱりみんなホームランを期待してると思うので。ヒットが出るのは嬉しいんですけど、打点とかホームランが出ればと思ってます。今日がオープン戦の中で一番力んでなかったので、今日の感覚を忘れないようにして、どんな時でも準備をしっかりして試合に挑みたいなと思います」

 開幕スタメンを狙うリチャードにとって、この日の2安打は大きな自信に繋がったはず。先輩たちの温かい言葉はリチャードへの期待でもある。小久保裕紀監督はウエスタン・リーグが開幕する14日までにはメンバーを絞ることを明言している。すでにカウントダウンは始まっている。残された時間は少ないが、全力のアピールを続けていく。

(飯田航平 / Kohei Iida)