見据える足元…「こういう人たちに勝って行かないと」
望む理想に向けて、ひたすらに汗を流す。目標はチーム内にいる大打者だ。正木智也外野手が、レギュラー奪取に向けた強い覚悟を語った。2024年は中盤戦から出場機会を増やし、80試合に出場。打率.270、7本塁打、29打点の成績で、飛躍の年にしてみせた。だからこそ今シーズンは、真価が問われる重要な1年となる。
「去年のシーズンで見つかった課題を、このオフで色々見つめ直してきました。このキャンプでは、それを潰しに行ったという感じです。しっかり量もできましたし、いい期間にできたかなと思います」
自主トレから春季キャンプまで徹底的に打撃を磨いてきた。課題克服のために、菊池拓斗R&Dグループスキルコーチ(打撃)にアドバイスを求めるなど、積極的に行動する姿も見られた。激しい外野手争いの渦中にいる中で、見失ってはいけないモノ――。理想とする選手像がある。
「本当の1番の理想は、近藤(健介外野手)さんみたいなバッターになりたいっていうのはありますね。ホームランも打てて打率も残して出塁率も高い。誰もが認めるバッターに将来はなりたいなって思っています」
打撃面において、追い求めるレベルにまだ到達していないと自己分析しながらも「打球が変わってきたし、いい形で打てているかなと思います」と手応えを感じている。理想と現実のギャップを埋めるべく、試行錯誤を繰り返す。
今キャンプから導入されたS組は、15日から本隊に合流。柳田悠岐外野手や近藤らの技術を見て「レベルの高さを改めて感じました」と率直な感想をこぼすが「レギュラーを取るためには、こういう人たちに勝って行かないといけないですし、より一層緊張感が増しました」と、強い決意を口にする。S組の存在が正木にとっての起爆剤になっている。
「練習しないと結果って絶対に出ないですし、自分の実力不足は自分が1番わかっているので。これまでも、練習しないで上手くなるなんて事は絶対にないと思っていたので、キツい事もありましたけど、活躍している姿を想像してできたかなっていうのはありますね」
理想とする“信頼される打者”になるために――。地道な努力こそが、目標に到達するための唯一の道だ。遠征先のデーゲームで無安打に終わると、悔しさのあまり、帰福してすぐにみずほPayPayドームを訪れたことも。プロ野球選手として何よりも大切な負けん気を持った選手だということは、先輩たちからも認められている。その姿があるからこそ大きな期待がかかり、昨年の結果に繋がった。日々思い描く姿に一歩ずつ近づいていく。
「この競争に勝っていくしかないと思うんで。そこは自分との戦いでもありますし、ライバルとの戦いでもあるんで。悔いが残らないようにやりたいです」。開幕まで残り1か月。一瞬たりとも油断ができない戦いが本格化していく。地道に続けた先に追い求める理想がある。4年目の今季はその才能を大きく咲かせてみせる。
(飯田航平 / Kohei Iida)