有原航平に「球質変わりました?」 上沢が元同僚から次々感じた“日ハム時代”との違い

練習に励む有原航平【写真:冨田成美】
練習に励む有原航平【写真:冨田成美】

互いに経験した環境の変化…「なかなか簡単なことじゃない」

 手本にしてきた先輩の背中は、変わらずそこにあった。宮崎市で行われている春季キャンプでは、15日からS組が本隊に合流。投手陣のS組は、有原航平投手、松本裕樹投手、リバン・モイネロ投手、ロベルト・オスナ投手、ダーウィンゾン・ヘルナンデス投手の5人だ。それぞれが開幕を見据えながら、調整を進めている。

 16日には有原がブルペン入り。「いい緊張感を持って練習に取り組めています。良い時間をもらえているので、感覚も良い状態で投げられていると思います」と、順調な仕上がりに胸を張った。今季がホークス3年目のシーズン。すでに開幕投手にも指名されており、その口ぶりからも力強い自覚が伝わってきた。

 その有原と並んで投球練習を行った投手がいる。上沢直之投手だ。「球質が変わったんじゃないですか?」。これまで近くで見てきたからこそわかる“違い”。今も変わらずに抱く尊敬の念を口にした。

「ファイターズの時も十分すごかった」と前置きしながらも、ホークスでの有原の活躍ぶりを「もっと余裕があるというか、すごい成績を残している」と表現した。2024年は14勝を記録し、最多勝を獲得した。「環境が変わってもしっかり成績を残すことって、なかなか簡単なことじゃない。すごいと思います」。米大リーグに挑戦し、身の回りの全てが変わる過酷さを知るからこそ、1歳年上の背番号17へ、深いリスペクトを抱く。

 ブルペンで投げ終えた後には、投球の変化について直接質問したという。「僕がハムにいた時とは投げるボールがちょっと変わっている感じがあったので、『球質変わりました?』みたいな話をしましたね。以前のイメージと違ったので」。探求心が旺盛な上沢らしい一面だ。目に焼き付けてきた有原の姿は、チームを離れていても変わっていなかった。常に進化を続ける投手であることを、嬉しく感じている。

「常に前を走ってくれる先輩というか、入った時からすごいなと思っていたので。それは今でも変わらないですね」

 有原よりも先に、高卒でプロの世界に飛び込んだ上沢だが、その背中を追いかけ、ともに成長を続けてきた。異なるチームに所属しながらも、互いを高め合うことができた関係は、これからはより強固なものになっていくだろう。

 同期入団の近藤健介外野手についても、さらなる変化を感じている。2011年ドラフトで4位指名を受けた近藤と、6位の上沢。それぞれのキャリアを歩みながら、再び福岡でチームメートとなった。「長打が増えたところとかは、ファイターズにいた時とは違うすごさがあります。打率を残しながらホームランを打てるのは、本当にすごいと思います」と語る。昨季首位打者のタイトルを獲得した近藤の才能には、プロ14年目を迎えた今も驚嘆するばかりだ

 かつての仲間たちの活躍は、上沢にとって大きな力になる。縁あって再びチームメートになった今季。上沢もまた、ホークスでさらなる高みを目指していく。

(飯田航平 / Kohei Iida)