子どもの頃以来だった“家族旅行”…「喜んでもらいたいという気持ちが一番」
鷹フルがお送りする大関友久投手の単独インタビュー。全3回のラストは“ハワイでの忘れられない出来事”を語ってもらいました。「福岡に残ってトレーニングしようかと考えたけど、本当に行ってよかったなと思います」。“子どもの頃以来”の両親と過ごした時間、指揮官からもらった言葉——。優勝旅行を振り返ってもらいました。
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昨年12月に行われたハワイでの優勝旅行。大関は戦いの日々を忘れ、つかの間の休息を存分に楽しんだ。「すごく新鮮な時間でしたし、自分でも色々と気付けたこともあって。大袈裟に言うと、今シーズンに活かせることも見つかった期間だったので。いい時間だったなと本当に思いますね」。異国での時間は左腕にとって新たな発見の場でもあった。
「両親と旅行に行ったのって、自分の記憶がないくらいの頃だったので。この年齢になると余計にそういう機会は減るし、両親も僕が思っていた以上に行きたそうだったので。喜んでもらいたいという気持ちが一番でした」。久々に過ごす家族水入らずの時間。両親からの言葉にハッとしたという。
「『野球選手として僕のどういう姿を見た時に喜んでるの?』って聞いたんです。すると、いいピッチングをしたりとかはもちろん嬉しいんだけど、人としてどう振る舞っているか、どんな姿をしているかを見るのが好きと言ってくれて。これから自分がどういう野球選手になっていきたいかを考える上で、1つの大切な材料になったというか、きっかけになった時間でしたね」
大関は常々、「見ている人を喜ばせる、楽しませる選手になりたい」と口にしてきた。抽象的な目標にも思えるが、誰よりも自分のことを思ってくれている人の言葉は、大きなヒントになった。「やっぱり親に育てられたのは僕なので。より深いところで僕を見てくれているんだなと思いました」。
ハワイで開かれたパーティーでは小久保裕紀監督から力強いエールをもらった。両親とともにあいさつすると、指揮官は満面の笑みを浮かべて言った。「今年(2024年)もすごくよくやってくれたけど、まだまだもう1つ上に行ける選手だと思ってるから。もっと上にいけるように、僕たちがなんとかします」。
小久保監督の言葉に、両親は感激した様子だった。それは大関も同じだった。「まだまだ期待してもらえるというか、もっとやれると言ってもらえて……。親の前でそう話してくださったことが嬉しかったです」。今季も激しいローテ争いが待ち受けるが、気持ちを強く持つことができるきっかけとなった。
様々な気付きがあった優勝旅行を終え、大関は再び歩み始めた。今季の目標に掲げるのはシーズン13勝と投球回160イニング以上だ。「頑張らなくちゃ難しいけど、頑張ればなんとか届く数字にしたかった」。両親と指揮官の期待に応えるべく、がむしゃらに左腕を振るつもりだ。
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)