2021年の東京五輪以来の代表選出…「緊張感を持ってやれたらと思います」
「23」を選んだのは意外な理由だった。“盟友”との関連性はなかった。
11月9日に開幕する「ラグザス presents 第3回 WBSC プレミア12」に、ソフトバンクの栗原陵矢内野手が選出された。ホークス勢では今回、唯一の選出。「本当にうれしいですし、緊張感を持ってやれたらと思います」と語った中で、背番号は23番を着用することになった。
栗原は今季140試合に出場して打率.273、20本塁打、87打点。5月31日に柳田悠岐外野手が離脱して以降は3番に定着して、3年ぶりの20本塁打にも到達した。2021年に行われた東京五輪以来の侍ジャパン。23番といえば、チーム内では周東佑京内野手が背負う番号だが、なぜ日の丸で着用することになったのか。
「マイケル・ジョーダンが好きだからです」
周東とのやり取りについては「全然していないです」ときっぱり。「マイケル・ジョーダンが好きだからです」と繰り返した。名前を挙げたのは、元NBAのスーパースターで、盟友との関連性はないと強調した。昨年6月に鷹フルの私服企画に応じた時も、履いていたスニーカーはNIKE(ナイキ)。マイケル・ジョーダンの刻印が施されているシューズだった。「マジですマジです。だから僕、中学の時の背番号も23番でしたもん」。長年抱いてきた憧れだったそうだ。
チームで栗原は24番を着用している。前任者は、長谷川勇也R&D担当。2013年には今も球団記録であるシーズン198安打を放った打撃職人だ。栗原が21本塁打を放った2021年のオフ、自身の背番号を31番から変更した。同年の契約更改では200安打ではなく「199安打」を目標に掲げるなど、覚悟を胸に先輩の背番号を受け継いだ。
2023年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で背番号16を背負った大谷翔平投手は「(背番号は)先輩優先みたいな。野球界あるあるですけどね」と、年功序列の要素が強いことを明かしていた。今回のプレミア12で24番はオリックスの紅林弘太郎内野手となる。他球団の選手との兼ね合いもあり、栗原も深くは語らなかったが「紅林の方が先に決まっていたんですよ」とだけ話した。
代表選出の一報は「マネジャーから言ってもらいました」と、栗原の耳に届いた経緯を明かした。31番を背負った2021年の東京五輪以来となる侍ジャパン入り。「選んでいただけることは光栄なこと。日本代表として戦うことはすごく重たいなと思いましたし、1試合1試合に対する思いも大きくなるのは間違いないです」と語気を強める。昨年のWBCでチームメートの周東や甲斐拓也捕手が戦う姿を見ていても、日の丸への思いは「もちろんです」と、自然に強くなっていた。
東京五輪でコーチを務めていた井端監督のもとで、今大会はプレーすることになる。「オリンピックの時にコーチで一緒にやらせていただいて、すごく堅実な方だと思っています」と印象を語った。ホークスもポストシーズンを控えているだけに、休めないオフになる。「まずはしっかりとCSに向かってやっていきたい。そこが終わってから、プレミアに向かって心も体も準備していきたいです」。日本はもちろん、ホークスを代表してプレーする栗原の姿が楽しみだ。
(竹村岳 / Gaku Takemura)2024.10.13