今宮が見る廣瀨の守備力「合わせよう、合わせようと思ってましたけど、全然」
ゴールデン・グラブ賞を5度受賞した名遊撃手がルーキーの守備力に太鼓判を押した。「上手いっすよ。もっともっと上手くなると思います」。ソフトバンク・今宮健太内野手が絶賛したのは、現在二塁を守っている廣瀨隆太内野手だ。
慶大ではリーグ歴代4位タイとなる通算20本塁打を記録するなど、その打撃力を買われて2023年ドラフト3位で入団した廣瀨。本格的に二塁を守り始めたのは神奈川・慶応高3年時から。大学時代も含めてまだ5年という経験の浅さでも光るものがあると今宮は語る。
「(廣瀨の)バッティングを見ていると、絶対に守備は“アレ”なんだろうなと正直思ってました。初めて(1軍に)来たときにどんな感じかなと相当探りは入れたんですけど、ゲッツーの動きを一緒にやっていく中で案外上手いなというか。自分が思っていたよりも全然できていましたね」
南海時代の小池兼司氏が持っていた遊撃手としての出場記録1494試合を今季更新し、球団新記録を樹立した男の言葉だからこそ、説得力がある。今宮が特に強調したのはグラブさばきの巧みさだ。
「前さばきが上手いんで。(廣瀨の動きに)合わせよう、合わせようと思ってましたけど、全然(そんなことはなかった)。結構器用ですね。ハンドリングとかも、もっともっと上手くなると思います」。廣瀨本人にも「思ったよりも上手かったし、もっとうまくなるよっていう話はしました」という。
開幕から二遊間のコンビを組んでいた牧原大成内野手が怪我で離脱し、その後に二塁を守っていた三森大貴内野手も故障で戦列を離れた。新たな“相棒”となった廣瀨の将来像については、自らの歩んできた道を振り返りながら、こう分析した。
「このバッターはこういう打球が来るんじゃないかとか、もっと自分でいろいろと判断ができるようになれば、よりレベルが上がってくると思います。僕ももちろん、最初はできなかったので。本当に本多(雄一内野守備走塁兼作戦)コーチとか、先輩方を見ながらやってきて。それが普通かなと思うので。そこは僕がやってもらったことを、しっかり後輩に引き継いでいけたらなと思います」
球界では長らく二遊間を守る選手については打力よりも堅実な守備力が重んじられる傾向があった。一方で、近年は山田哲人内野手(ヤクルト)、浅村栄斗内野手(楽天)、牧秀悟内野手(DeNA)ら、“打てるセカンド”がトレンドになりつつある。
廣瀨も入団直後には「僕みたいなタイプのファースト、サードはいますけど、セカンドができるというのは僕の長所。プロの世界でどれだけ通用するか分からないですけど、セカンドで勝負したいですね」と口にしていた。打って守れるセカンドの道を、ひたすらに歩んでいく。
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)