勝利の方程式は“日替わり3パターン”が理想 倉野コーチが明かす「長持ちプラン」

ソフトバンク・倉野信次1軍投手コーチ【写真:荒川祐史】
ソフトバンク・倉野信次1軍投手コーチ【写真:荒川祐史】

本調子でなくとも試合を作る大関…「すごくいいものを持っている」

 ソフトバンクは13日、みずほPayPayドームで行われたヤクルト戦に6-3で勝利した。先発した大関友久投手は5回4安打2失点で無傷の4勝目を挙げた。交流戦は残り3試合。投手陣の疲労にも配慮する中、倉野信次1軍投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)が、救援陣の今後の起用と考えについて語った。コメントは次の通り。

――大関投手の降板はサンタナのところを考えた。
「そうですね」

――大関の投球について。
「3巡目に入ると、合わされる率が高くなるんじゃないかなっていう判断ですね。大関の本来の調子からすると、まだマックスではないので、そう考えた時に継投に入った方が勝つ確率が高いということで判断しました。本人はまだまだ全然、余力はあったんですけど、状態的に判断しました」

――交流戦はあまり点を取られていないけど、まだ本調子じゃない?
「でも、状態が100%ではないにしても、ああやって試合を作る技術は、僕は成長した部分だと思うんですよ。去年までだったら、多分あの状態だったらもっと点を取られていたと思う。本来の球のキレではないにしても、それでも抑えられる今は技術と精神力が着いていると思うので、あとは本来のキレを取り戻すことだという風には思っています」

――4勝0敗。そういうピッチャーが貯金ができる。
「本当にその通りだと思いますね。調子がいい時じゃないと抑えられないっていうピッチャーは、やっぱり1軍に定着できないですよね。みんな、どれだけ調整しても、その日に100%で合うかどうかっていうのはわからないわけで、状態が良くない中でどうやって勝ちに結びつけていくかっていう点では、大関の力っていうのはすごくいいものを持ってるなとは思ってます」

――7回のマウンドではどんな話を?
「頑張れ、としか言わない。あそこであんまり深い話はしないですよ。間を空けに行くだけなんで」

――カバーリングは仕方ない?
「やっぱり、そんなに俊敏に動けるタイプではないので、抜かれてしまうだろうなっていうのはありました。スタートはそんな悪くなかったとは思ったんですけど、スピードがやっぱり出ない。それも含めて『頑張れ』と」

――今の勝ちパターンはダーウィンゾン・ヘルナンデス投手、松本裕樹投手、ロベルト・オスナ投手の3人か?
「基本的にはそういう形にはなるんでしょうけど、それも日々、変えています。杉山(一樹投手)だったり、津森(宥紀投手)だったり、藤井(皓哉投手)だったりっていうところは日々、変わっていますね。試合展開でそうなっていないだけで、実は試合前からこのパターンで行こうっていうのはある程度決めています」

――確定は誰もしていない?
「オスナ以外はしていないです」

――オスナは球数がかさんだ。3連戦を残していますが、厳しい状態ですか?
「そんなことはないですね。今、体も元気ですし。明日話してみないとわからない部分はありますけど、30球行ってなかったので。27ぐらいでしたっけ? 普通にいけると思います」

――30球ぐらいがラインになる?
「そうですね。中継ぎだったら30球超えると、というのはひとつの目安ではありますね。先発の100球から110球みたいなイメージですかね。でも、その限りではないですけども、とにかく毎日、状態を確認していけるかどうかっていうところを判断してます」

――明日はリバン・モイネロ投手が先発。
「とにかく、勝つピッチングをしてほしい。球数が増えて、例えば、6回で120球投げたとしても、勝つピッチングをしてほしいですね。球数を減らすことに集中して、それで点を取られたら意味がないので。僕はいつも言いますけど、1回1回を全力で行ってくれ、と。行けるところまででいいんでって。長いイニングをハナから、期待はしますけど、計算はしないです。常に短い、最低限のイニングで終わった時のシミュレーションをずっとしていますので」

――オスナ投手以外の勝ちパターンの投手は経験させたい? それとも疲労軽減?
「両方ですね。今しかできないこともやらなければいけないし、もちろん疲労を1番最初に考えるんですけども、それプラス、後半戦に向けた戦力の充実という意味合いでは、あえて経験させないといけないっていうところももちろん考えています」

――理想は誰でも、どの場面でいける?
「誰でも、どこでもが理想です。勝ちパターンが2パターンあるイメージですよね。勝ちパターンが4人、オスナ以外に4人いればいいんですよ。そしたら2パターン、もしくは組み合わせを変えれば、3パターンみたいなことになり得るので。できるだけ3連投しないような運用はしていきたいんですけど、その時期になれば、解禁というか、行ってもらわなきゃいけない時も来るかなと思ってますけど」

――以前は2軍に1軍で投げられる投手がいないと話していたが、それは変わってきた?
「それはあります。ファームでも1軍の戦力になり得る選手が今、育ってきていると僕は思っている。選手はもちろんですけど、スタッフがみんなうまくやってくれているんだなという風には僕は思っています」

――今の時期はそういう選手を試せる?
「基本的には、いいピッチャーをあえて外してまで、試そうとは思わないんですよ。競争なので、明らかにこっちのメンバーの方が上なのに、経験をさせるために落として(2軍から上げて)経験させよう、みたいなことは考えていないです。あくまでも1軍にいるメンバーよりも上の実力をつけてくださいねっていうのが、当たり前の競争原理だと思うので。大山(凌投手)みたいにスポットで呼んで経験させることはもちろんありますけど、枠が空いているからなんですよ。彼が残るためには、他のピッチャーに勝てるものを身につけないと(1軍には)残せないわけで。枠が空いた時はそういう経験を積ませることはできるんですけど、あくまでも今のこのメンバーに勝たないと、1軍では投げられない。それは先発もそうだし、中継ぎも一緒です」

――どこまでシミュレーションをしている?
「とりあえずオールスターまでですね。オールスターに出る、出ないでもちょっと変わってきますので。とりあえずはオールスターまではシミュレーションはしています」

(飯田航平 / Kohei Iida)