痛恨だったリチャードの一塁ストップ…首脳陣の評価は? 「手を抜く子ではない」も「話にならない」

ロッテ戦に出場したソフトバンクのリチャード【写真:小林靖】
ロッテ戦に出場したソフトバンクのリチャード【写真:小林靖】

8回1死一塁から右翼線にヒット…打球はフェンスに到達も一塁でストップ

 ソフトバンクは25日、ロッテ戦(ZOZOマリン)に0-2で敗戦した。ロッテ投手陣の前にホームベースは遠く、4併殺と打線が噛み合わなかった。注目を集めたのは、8回のリチャード内野手の走塁。1死走者なしから右翼線に弾き返したものの一塁ストップ。続く三森大貴内野手の併殺打でチャンスは潰れた。一見するとリチャードの“判断ミス”と受け取られるプレー。小久保裕紀監督、奈良原浩ヘッドコーチ、本多雄一内野守備走塁兼作戦コーチはどのように見たのか。

 相手先発はメルセデス。試合前時点では今季7試合に登板して未勝利も防御率1.80と、好成績を残していた。打線は7回を終えてわずか2安打。打ち崩せないまま、終盤戦に突入した。1死からリチャードが打席に立つと、真っすぐを右翼線に弾き返した。フェンスに到達する打球だったが、リチャードは一塁をオーバーランしてストップ。二塁に進んでいれば、反撃のチャンスとなっていただけに、もったいなかった。

 24日にもスタメン起用されたリチャード。小久保裕紀監督は佐々木朗希を相手に「いま日本で一番速いピッチャーにどう対応するか見ようということで」と託したものの、3打数無安打に終わった。2日連続でスタメンを任せられた中で、隙を見せてしまった形だが、指揮官は「ちゃんと走る子なので」とかばう。2軍監督時代から見てきた選手の1人だけに、マイペースな性格と同じだけ、手を抜かない、一生懸命な部分も見てきたからこその言葉だった。

「どこに打球が飛んだか分からなかったんじゃないですか。ちゃんと走る子なんで。多分、分かっていなかったんじゃないですかね」

 小久保監督はこう語ったが、一塁コーチの本多コーチは少しばかり手厳しかった。打球の行方がわからないことは「そういうことってありますよ」としつつも「どこに打ったかわかりません、じゃ話にならないです。ある程度ずっと野球をやっていたらどこに飛んだかとか、ポイントがここならこっちに飛ぶはずっていう(のはわかる)」と指摘する。“バッターあるある”なのかもしれないが、勝敗を左右するプレーになっただけに厳しく言及した。

 本多コーチも昨季まで、小久保監督とともに2軍でリチャードを指導していた。「ちゃんと走る子」という指揮官の言葉には「そういうところはすごくある。手を抜く子ではないし、ちゃんとやる子です」と同調する。右翼線への打球を見ながら、本多コーチは「クッションを見た時点でストップでした。もたついていればGOって言いましたけど、ワンクッションでポンポンと来たので。あれ(二塁に)行ってしまったらアウトなんでね」と、制止した理由を明かした。

 リチャード本人は「バットが折れて、白い球が見えたので『そっちか』って思って、走り出しました」と自分の目線を表現する。「まさかフェアゾーンに飛んでくれているとは……。普通に走っておけばよかったと思いました」と反省の言葉を続けた。奈良原ヘッドコーチも「そういうときはあるんですよね。フルスイングのバッターで意外と『えっ?』ていうことがあるんで。やむを得なくはないですけど、本人がそう言うなら、そんなに責められないかな、と思います」と話すにとどめた。

 7年目を迎えたリチャード。「次に繋げないといけないプレーでしたか?」と問われた本多コーチは「今に始まったことじゃない」と言い、球場を後にした。チームは首位を走っているものの、優勝に一歩ずつ近づいていくためにも、全員で綻びをなくしていきたい。

(竹村岳 / Gaku Takemura)