登録抹消となっても、やるべきことは見えている。ソフトバンクの大関友久投手は2日に出場選手登録を抹消された。今季はホーム開幕戦を含む5試合に登板して2勝負けなし、防御率3.00の成績を残していた。ただ、どうも本来の投球を見せられずにいた。
「(状態は)そんなに悪くはなかったんですけど、微妙な球の強さだったりとか、ストレートで押し切れない部分だったりとかっていうのが、ここ1、2試合あったので、その辺をもう少し上げていきたい」
数字以上に状態が上がってきていないことは、誰よりも大関自身が理解しているところではある。登録抹消となったこの期間をどのようなモチベーションで過ごすのか? また、倉野信次1軍投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)とはどのようなやりとりがあったのだろうか?
「どうやったらストレートでもうちょっと攻めていけるか、押し込んでいけるかというところで、フォーム的な部分だったり、フォームを改善していくにはトレーニングももちろん関係してくるので。あとは投げ方的にこういう感じになってるから、『自分の感覚に従って調整してくれ』と」
登録抹消となった際に、倉野コーチからは状態を上げるための方向性を示すアドバイスが送られた。「倉野さんとミーティングをして、こういう傾向にあるから、こういう方向でアプローチしたらいいんじゃないかなっていうので、この期間は進めているところです」。倉野コーチが見た修正ポイントは、大関自身も感じていた部分でもあった。
「僕もそこは(考えが)一致していますし、なんでそうなっているのかっていうのを分析して、どういうトレーニングをこの期間に入れるかっていう感じで、まずはやってみようと思う」。双方の考えは一致し、大関も抹消となったこの期間をポジティブに捉え、トレーニングに励んでいる。
今季大関が先発した5試合のうち、2試合が雨の中だった。コンディションが悪い中での投球は、いつも以上に球が甘くなったり、暴投したりするリスクが高くなる。「影響はもちろんあると思うんですけど、それ以前に自分の問題ももちろんあるんで、その辺は良くしていかないといけないです」。知らず知らずのうちに感覚的な狂いが生じていた。
「もうちょっと力出せるよな? っていう感覚があります」
感覚の変化は、一昨年に受けた精巣がんの手術も少なからず影響している。「(手術の影響を)感じる部分もあります。ただ、そこに変な理由をつけて、そのせいにするようになっても、自分の精神面も良くないので。そこは受け入れる部分は受け入れて。でも、戦えると思うんで。あまりそこは気にしすぎずにやろうとは思っています」
「体質も若干変化はしてるんで、その変化に対応するというか、そういう感じで改善していると思います」。手術を乗り越えた大関だが、体質の変化があったことも明かす。それでも手術のせいにすることもなく、自分が今やるべきことに取り組んでいる。
「あまり数値的なところは考えてないですけど、とにかくストレートでバッターとどんどん勝負できるような状態でマウンドに上がれればいいんじゃないかなと思います」。自身が思う感覚を掴み取るため、抹消期間をより良い時間にするために、黙々と練習に打ち込む大関の姿が筑後にある。