裸で武田翔太に“突撃取材”した「カーブの投げ方」 コーチも期待…飛田悠成の貪欲な姿勢

ソフトバンク・飛田悠成【写真:竹村岳】
ソフトバンク・飛田悠成【写真:竹村岳】

森山コーチも期待するポテンシャル「空振りが取れるカーブ」

 支配下を目指し、怪我と闘いながらもレベルアップしようとしている。2022年の育成ドラフト12巡目で入団した飛田悠成投手は横浜市立金沢高からホークスに入団し、今季が2年目。現在は腰の怪我からの復帰を目指して、リハビリ組での調整を続けている。

「これまではちょっと張りが出やすかったので、あまり強度を上げられないまま、維持みたいな形だった。最近は結構良くなってきたので(キャッチャーを)座らせて投げる状態に移行できたらいいかなって」と、回復に向けてステップを踏んでいる。

 リハビリを見守る森山良二リハビリ担当コーチ(投手)は「空振りが取れるカーブがすごくいいピッチャーで、だいぶ期待はしていますよ」と、飛田が持つポテンシャルを認めている。自身もカーブを「大事な球種の1つです」という。カーブに磨きをかけたいという思いは、願ってもない形でヒントを得る機会を飛田に与えた。

「精度とかストライク率、去年はストライクをカーブで取りたい時に、なかなか取れなかったので、そのコントロールだったり、同じ感覚で毎回投げられたらいいなって」

 自信を持って“武器”と言うには、まだまだ精度が足りない。精度を高めるためのヒントを得るためには、同じくカーブを武器とする投手が最高のお手本だった。どこかにそうした存在はいないものか、と考えていると、肘の故障でリハビリ組に合流した武田翔太投手に質問をするチャンスがあった。

「湯船に浸かりながら、ですね。先に浸かっていらっしゃったので、チャンスと思って、パッとシャワーを浴びて。カーブは自分の持ち味というか大事な球種の1つです。武田さんも、鋭いカーブを投げる選手なので、感覚とか投げ方のことを聞いたんです。技術もあるんですけど、まずは体のコンディショニングのことを話していただきました」

 質問した場所はたまたま一緒になった筑後の浴場だった。トレーニング中などに何度か会話をしたことがあったが、技術的な話はしたことがなかった。緊張しつつもチャンスだと思い、武田の横に座り、技術的な質問を投げかけた。

「体の近くでしっかり投げるっていうことを教えていただきました。曲げようとすると、(腕が)外に行っちゃう癖があるので『逆に力を抜かないと回転をかけられないよ』っていう話をしてもらいました」。快く武田はアドバイスをしてくれた。翌日の練習では、飛田のキャッチボールを真剣な眼差しで見つめる姿もあった。

 積極的にアドバイスを求めるところは飛田の良いところでもある。「メカニックのことであったり、自分からどうですか? って聞きにくるし、非常にそういう面でも楽しみかなと思っています。自分から聞きにくる選手の方がやっぱりその可能性は高くなる」。森山コーチは飛田の普段からの姿勢にも期待を抱いている。
 
「まだまだ自分のものになってない感じはある。腕で操作しない感じとかを、これからもっと意識して良くしていけたらいいなと」。武田に教わったことはカーブを磨くヒントになったが、同時に難しさも感じている。それでも飛田の貪欲な姿勢はいつか身を結ぶはずだ。リハビリから復帰した時の投球に注目したい。

(飯田航平 / Kohei Iida)