異例の秋季キャンプの構想明かす「全体練習はない」 小久保2軍監督のコメント全文

ソフトバンク・小久保裕紀2軍監督【写真:福谷佑介】
ソフトバンク・小久保裕紀2軍監督【写真:福谷佑介】

フェニックスリーグは中止、練習では野村勇内野手に熱血指導

 ソフトバンクの2軍は20日、宮崎市のアイビースタジアムで行われる予定だった秋季教育リーグ「第20回みやざきフェニックス・リーグ」の韓国プロ野球選抜戦が、雨天中止となった。中止が決まると室内で練習が行われ、小久保裕紀2軍監督は野村勇内野手らに熱血指導。1軍監督への昇格が決定的となっている指揮官は、報道陣の取材に応じると、今秋キャンプの構想についても明かした。小久保2軍監督のコメント全文は以下の通り。

――雨天中止で残念でした。
「笠谷が投げる予定やったからね。でも明日にズラした。明日は(高橋)礼と笠谷でいきます」

――笠谷投手は来年見据えて先発に?
「ですかね? 何も聞いていないですけど、編成の方でいろいろ考えているところと、あとは現場でどうしていこうかっていうのは、もうすぐそれを詰めていくんじゃないですか」

――渡邊佑樹投手は面白い存在?
「めちゃくちゃ良くなりましたね。左で言ったら、今年は田浦1人で頑張って、途中からは嘉弥真もいましたけど。ヘルナンデスほどの球の力はないですけど、スライダーが良くなった。スライダーが駄目だと使えなかったんですけど、すごい良くなって、右(打者)にはちょっと特殊球があるんで、右も結構、抑えられるピッチャー。面白いと思いながら、8月、9月の状態だったら支配下になってもおかしくないぐらいのピッチングはしていましたね」

――7月頃は3軍で投げていた。
「育成枠が5人で、もうやり繰りが大変で。(中村)亮太は外せないし、そうなると、なかなか。8月から呼んであげられたんですけど、苦しいです」

――練習では野村勇選手にかなり指導されていた。
「昨日、フロントと面談して、やっぱりこの秋は分離でキャンプをするので、いきなり個別のメニューで、何に取り組むかっていうキャンプにする。リチャードにしても、野村勇にしても、バッティングが良くならない限りは。守備は十分にプロの合格点なんで、ほぼ守備なしのキャンプになるんじゃないかなと思う。そのバッティングで何をしましょうか、というのを固めて、課題を与えてやった方がいいと思う。勇の場合は、リチャードも一緒ですけど、手が前に、ボールの方に寄っていくんで、ここ(体の前)でしっかり入れ替わる。今年、井上が2月のキャンプから取り組んできたようなことを、秋の課題としてやろうかなという話はしてます」

――ヘッドが下がったり、低めの変化球にバットが止まらないのもそれが原因。
「そうですね。ヘッドをここ(振り出し)で落としたい子なんで、勝手に振ったら落ちるんで、そこは最初に落とさないようにして、あとグリップがピッチャー側に寄っていくんで、体の前で返す、と。『手打ちは嫌です』って言っていたけど、それは手打ちじゃないよって。手で打つのは嫌って言うけど、『手を早く』なんですよ、バッティングって。王さんがいつも言っていたんですけど、絶対に下から捻ったら手が遅くなるんで、手を早く、でちょうどいいぐらいです、実は。そういうことを知らないんで。それをノートに書くんやって言ったら『ノートは部屋に置いています』って、それじゃ意味ないっちゅうに」

――リチャード選手は。
「リチャードに関しては、もう来年春までにグリップの位置が背中側に隠れない、トップでこっち(背中の後ろ)に入らない。もうここ(肩の前)に置いておくっていうのを今ずっとやっています。春の井上と全く同じ取り組みをいま、やっています。それをまずやる、秋は。ネクスト(での素振り)でも最後にこう(返さずに)振り上げる。普通はヘッドが返ってから上がるんですけど、その癖を絶対に直せって、今は小さく振らせているんで。彼ら2人のバッティングは昨日の面談でも出ましたけど、もうそれですね」

――だいぶ構えが変わった。
「こっち(背中側に)に入れたら、もう使わんよ、使われへんよって話して。それを直してこい、と」

――飛距離は落ちない?
「飛距離はもうあのパワーやったら、それの方が確率上がってもっと(打てるようになる)。あと、もう今、面談ではっきり言っているんすけど、2軍で3割3分8厘ぐらい打ったら、ちょうど1軍のレギュラーの平均打率のレベルなんですよ。今の時点で1軍で活躍できる選手はゼロっていうこと。(西武の)山川にしろ、ファームのときは3割3分打っていたんで、生涯打率が2割6分。大体、5分8厘落ちるんで、だから3割3分8厘で2割8分の選手ですよっていうことをはっきり言って、だから、2軍で3割3分以上打たないヤツは1軍ではもうレギュラーとして抜けることはないっていう話をはっきりしています、選手に。夢も希望もない話かも知れないけど、それが現実の数字です。あと160キロの打球の最大速度がない限りは、1軍の最低ラインが160キロなんで、150キロがMAXの子は永遠に1軍でレギュラーに入ることはないんで。たまに守備固めのヤツとかは1軍にいますよ。レギュラーは最低160キロです」

――打球速度は秋季キャンプでも測る。
「そうそう。だから秋も、毎日トラックマンで速度を測るので、打球速度とか最低コレくらいじゃないと、もう1軍では無理っていう現実を突きつけるという方針で行くらしいから」

――160キロ超えている選手っていうのは。
「超えている選手の方が多いよ。超えていないのが勝連とか伊藤大将とか西尾とか、その辺りかな」

――野村勇選手のスイングは体に染み付いている癖ですか。
「タイミングはもう自分で掴むしかないんで、今はノーステップでやっていますけど。タイミングは教わるもんじゃないんで、自分で掴むしかないんで」

――守備がないということは打ちまくるキャンプに?
「でも、仲田はバッティングはないです。昨日と今日で話して、12日間全部守備です。サード、ショート、ファースト、セカンド、レフト、センター、ライトを中に12分割して、どの割合で充てるかする。昼からは自由練習なんで、昼から打つじゃないですか、ほとんど。仲田はもう守備」

――全体でやる練習はない。
「全体練習はないですよ。ウォーミングアップが終わったら、もうパラパラですよ」

――数字的な目標はある?
「ないです。まずそこの形を変えていくっていうことですかね」

――フロントとの面談というのは?
「監督とR&D部門とバッティングコーチ。選手が入ってやったら時間がないんで。昨日でも2時間半くらいかかりましたからね。どんな練習方法がいいとか、性格含めてこういうところを直さないといけないとかっていう話を昨日して、それを全部議事録に載せて、全体で共有して。ある程度同じコーチが同じ選手を見た方がいいと思うんで、振り分けはした方がいいかなと思います。あとはもう、どの班にっていうのは、同じぐらいの力のやつの方が割り振りしやすいんで、プラス、でも4(軍)と1(軍)はなるべく入れてくれ、という要望は出していますけど、それ以外はもうフロントで全部決めてもらっています。よ~いドン!では、もう誰がどの組に入って何をするっていうのが出来上がっているようには持っていくみたいです」

――投手の筑後にも行くんですか?
「1、2、3、4軍の監督がどう振り分けられるかとか、どういうふうにやっていくかって話になると思いますよ、このあと」

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)