総括に滲むのは悔しさ、責任…柳田悠岐が最終戦を終えて語ったこと「もっと打っていれば」

ソフトバンク・柳田悠岐【写真:竹村岳】
ソフトバンク・柳田悠岐【写真:竹村岳】

オリックス戦で痛恨の敗戦、順位決定は10日のロッテの結果次第に

 キャプテン2年目は、どんなシーズンだったのか。ソフトバンクは9日のオリックス戦(京セラドーム)に1-4で敗戦。レギュラーシーズンの全日程を終了した。柳田悠岐外野手が試合後、取材に対応。「もっと打っていれば……」と悔しさを滲ませた。シーズンを振り返り、苦しんだ部分はどんなものだったのか。

 引き分け以上で2位が決まる一戦、先発はチームトップの10勝を挙げている有原航平投手。初回に先制点を献上すると、打線も相手先発の曽谷を打ち崩せない。柳田が4回2死から中前打を放ったものの、7回を終えてわずか1安打。8回1死満塁でも、今宮健太内野手が遊ゴロ併殺に倒れた。プロ10試合目の登板となった曽谷にプロ初勝利を献上する形となり、痛恨の1敗となった。

 9月20日にオリックスがリーグ優勝を決めてから、19日が経った。チームは71勝69敗3分け。最後の最後、自力で2位を奪い切ることはできなかった。柳田個人の成績としては143試合に出場して打率.299、22本塁打、85打点だった。全日程終了という1つの区切りがついた今、柳田は2023年のレギュラーシーズンをどう振り返るのか。

「優勝もできませんでしたし、個人的にも納得のいく数字は残せなかった。悔しいシーズンでした」

 昨季も「引き分け以上で優勝」という状況で、最終戦に敗れて2位。柳田は打率.275、24本塁打、79打点で、昨季は苦しんだ個人成績に関しては見事にV字回復を描いてみせた。しかし「そんな改善しているとは思わない。でも全試合出た、そこだけは達成感、嬉しいです」と挙げる。全試合出場は9年ぶり2度目となったが、キャプテン2年目。とにかく頂点からの景色が見たかった。

 この日が35歳の誕生日。年を重ねる中でも全試合出場を果たし、163安打も最多安打のタイトルをほぼ当確とさせている。月別に見ても6月と9月の月間打率.258がワースト(ともに89打数23安打)。4月と7月は3割を大きく超えて、安定した打撃で主軸を担ってきた。チームとして、個人として苦しかった部分とはどんなものなのか。1つ1つ、言葉を選びながら振り返る。

「もちろん、大型連敗の時とかすごくきつかったですし。個人的にももっと打っていれば、チームももっといい順位にいたと思うので。そこは、悔しいです。(キャプテンとして)引っ張っていけているとは思っていないですけど、もっともっとやれることはないか、自分で考えてこれからもやっていきたいと思います」

 チームは開幕5連勝で発進したものの、7月には54年ぶりの12連敗を喫した。当時は柳田も「自分がもっと打っていれば勝てたゲームも間違いなくありますし、すごく病んでいました」と吐き出すほど、苦しい期間。9月30日の日本ハム戦(PayPayドーム)でも、同点ソロを放っても「自分がクソみたいなバッティングをしていてイライラしていた」。最大の目標だった優勝を掴めず、満足できる瞬間などなかった。

 2位か3位か、10日の楽天-ロッテ戦(楽天モバイルパーク)の結果次第となったが、14日からはクライマックスシリーズのファーストステージを戦う。「一旦、シーズンが終わったので。各々が反省して、休んで、また練習でみんなが顔を合わせればスイッチは入ると思うので。練習の時にみんないい顔で集まれたら」。悔しさを胸に語る表情は、下克上だけを見据えていた。

(竹村岳 / Gaku Takemura)