東浜巨だからこその同級生への言葉 高田知季へ贈った「Apple Watch」に込めた思い

ソフトバンク・東浜巨【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・東浜巨【写真:藤浦一都】

昨季限りで亜大時代から14年間のチームメートだった高田は引退しコーチに転身

 14年間、ともに戦ったチームメートが昨季限りで現役を引退した。高田知季リハビリ担当コーチ(野手)は今季から指導者となり、新しい人生を送っている。亜大時代から同じ時間を過ごした東浜巨投手は「『まだ早いやろ…』というのが正直な思いでしたよ。大学から同じだったので、寂しさはありました」と、高田コーチの決断を受け入れていた。

 高田コーチは通算で444試合に出場し、127安打を放った。現役で10年間を過ごした中で、古傷の足首の状態も良くなく、最後は引退を決意した。2012年ドラフト会議で亜大から1位指名を受けた東浜と、3位指名だった高田コーチ。「これだけ長くできましたけど、同じチームにまだいるので」と少しずつ実感しているところ。2012年の同期入団で、NPBの現役選手は東浜だけとなった。

 昨年12月の球団納会で、東浜はApple Watchをプレゼントした。高田コーチは今も左腕に着用しており、そこには東浜なりに込めた思いがあった。手帳なども選択肢にあったが「真っ先に思いついた」という贈り物で、オンラインで購入したという。

「14年一緒だったので。『お疲れ様でした』っていうのと、新たにコーチとしてスタートを切るので。コーチの人って時計がないときついじゃないですか。時間も測ったりするし。そういった意味で、第2の人生のスタートとして頑張ろう的な感じでした。実用性があって、プライベートでも仕事でも使えて、便利なものを考えたらそれになりました」

 高田コーチは現役引退を決意し、球団から発表される前に東浜にLINEで連絡した。「気を遣わせるのも嫌だったので『引退するわ』って感じで、軽めに。僕が逆の立場でも嫌なので」と、簡潔に報告した。東浜も「軽いノリでLINEは来ましたよ。気を遣ってるんだろうなとは思いました」と、目には見えない高田コーチの気持ちまでしっかりと受け取っていた。

 現役引退とは、ファンはもちろん、野球選手にとっても尊いこと。亜大の同級生で現役を続けているのは社会人で1人いるが、NPBでは東浜だけ。沖縄尚学高時代の同級生も全員、現役を引退したという。14年という長い年月をともにしたチームメート。送り出す側の東浜は、どんな気持ちで高田コーチの決断を尊重したのか。

「尊敬しかないです。言えば、自分の好きなことですけど。そこまで突き詰めてこんなに長いことできるってことはないですし。プロ野球選手になれること自体がすごいことだと思う。そういう意味では、1軍でも出ていましたし。それぞれの価値観があるのでわからないですけど、でもやっぱり『お疲れ様でした』っていう気持ちしか、尊敬しかないです」

 東浜も6月20日で33歳となる。「プロ野球は寿命も伸びていますから。僕らが(プロに)入った時は平均7年(プロ野球選手の平均寿命)とか言われていたのが、今は9年とかだと思う。食事やトレーニングも確立されてきていて、30代はある程度、節目の年齢だとは思いますけど、老け込む必要はない年だと思います」と自らに言い聞かせるように話した。元気にマウンドに立ち続けることが、同級生たちに勇気を与えることにもなる。

 最後に聞いたのは、高田コーチにどんな指導者になっていってほしいか。「一番は選手から頼られるコーチになってほしい。また教える側とやるのでは見ている景色も違うと思うので。選手がより育つ、寄り添えるコーチになってほしいです。教え方も丁寧で、持っている技術もあるので。いいコーチになるんじゃないですか」。東浜だから送れるメッセージだった。

(竹村岳 / Gaku Takemura)