5番でのスタメン起用に「びっくりした」 柳町達を驚かせた長谷川コーチの“勘違い”

ソフトバンク・長谷川勇也打撃コーチ(左)と柳町達【写真:竹村岳】
ソフトバンク・長谷川勇也打撃コーチ(左)と柳町達【写真:竹村岳】

規定打席未到達ながらも打率.340…「まだ自分のことでいっぱいいっぱい」

 信頼を積み重ねて、たどり着いた「5番」起用だった。ソフトバンクの柳町達外野手が19日の西武戦(PayPayドーム)に「5番・中堅」で出場。逆転に成功した初回2死、相手先発・松本の直球をとらえて中越え二塁打を放った。その後は無安打に終わったが、試合後の打率は.340(47打数16安打)。規定打席には達していないが、柳田悠岐外野手の打率.339を上回る高打率で好調を維持している。

 昨季も5番でスタメンが8試合あったものの、打率.160。さまざまな打順を任される中でも、5番として結果を残すことはできなかった。今季は5番だけではなく、クリーンアップも初めて。少しずつ信頼が形になっている証ではあるが「まだシーズンは長いので、頑張るしかないです。まだ自分のことでいっぱいいっぱいです」と必死に日々を戦っている。

 柳町は5番について「そんなにですけど、びっくりしました」と言う。実は「長谷川(勇也打撃)コーチに『この前と同じ打順』と言われたんです…」と明かす。直近の試合は17日に山形で行われた楽天戦。6番での先発だっただけに、この日も同じだと思ってスタメンを確認すると「試合前に見たら5番だったのでびっくりしました」と苦笑いだった。

 長谷川コーチ本人は「僕もね、パって見てこの前と同じだと思ったんです。それで『昨日と一緒』って言っちゃって、ただの僕の勘違いです」と、珍しい“失敗”だったことを明かす。好調を維持する中で、定位置を少しずつ自分のものにしつつある柳町。5番打者としての適性を、長谷川コーチはどう見て、託したのか。

「どこに入ってもいける選手。近藤、柳田と出塁率が高くて、そこでチャンスを広げて繋げられる打者。その後ろがクリ(栗原)なので、打点をしっかりと稼げる打者。繋ぎもできるしっていう感じですね」

 この日は柳田と栗原という頼もしい先輩に挟まれて、中軸の一角を担った。「普通にやってくれたら4回に1回は、何かをする。4タコとか、無安打で終わらないから」と、長谷川コーチは柳町の持ち味を語る。試合前には小さな“すれ違い”があったものの、結果で応えてみせたのはさすがの一言だ。

 柳町は「僕の役割として、一生懸命にやって結果を出すことが一番チームにとっても下からの底上げじゃないですけど、いい結果、効果をもたらすんじゃないかなと思っていますので。まずは自分のできることをしっかりとやりたいです」とうなずいた。昨季は89安打を放ったヒットマン。信頼が少しずつ目に見えるようになってきた。

(竹村岳 / Gaku Takemura)