「皆さんが一番聞きたいことだと思います」牧原大成の“強気発言”に上林誠知が思うこと

ソフトバンク・上林誠知【写真:竹村岳】
ソフトバンク・上林誠知【写真:竹村岳】

「1番・右翼」で出場した上林はチーム唯一の安打となるソロアーチ

 ソフトバンクは1日、宮崎市のアイビースタジアムで「球春みやざきベースボールゲームズ」のロッテ戦に臨み、1-3で敗戦した。「1番・右翼」でスタメン出場した上林誠知外野手は7回無死で、この日チーム唯一のヒットとなるソロ本塁打を右翼席に放った。左腕の高野脩汰投手からの一発に「(感触は)覚えています。完璧ではなかったですけど、しっかり芯に当たりました」と手応えを握りしめた。

 昨年5月に右アキレス腱断裂の大怪我を負い、そのままシーズンを終えた。リハビリ生活を終えた今、春季キャンプを順調に過ごしてきた。右足の感覚も含めて「こうやって打つんだなと、徐々に思い出してきた感じです」と一歩ずつステップを踏んでいるところだ。朝起きれば、右足の動きから確認する日々。何事もなく毎日、練習に励めていることが今の収穫だ。

 この日、牧原大成内野手が侍ジャパンに追加招集されることが発表された。中堅のポジションを争うライバルであり、チームの先輩。2月25、26日に行われた侍ジャパンとの強化試合の際に牧原大は「皆さんは上林の方が印象にあると思うんですけど、最近では僕の方が活躍していると自分でも思っている」とキッパリ、本音で宣言していた。

 気持ちを前面に出すプレースタイルの牧原大と職人肌の上林。選手としてタイプの違いはあれど、藤本監督も「牧原が1番手」と現状を明かした。追いかける立場となり、上林は何を思うのか。「皆さんが一番聞きたいことだと思います。なんて答えてほしいんですかね……。自分はそこまで意識していないというか、マキさんはしているみたいですけど」と苦笑いしつつ、丁寧に言葉を選びながら心境を語った。

「毎回いうんですけど、もちろん自分もこれまで10年間やっているので、チームがどういう編成で行われているのか大体わかっています。立場的には下なんでしょうけど。何度も言いますけど、もともと内野手の人なので。別に外野にこだわってやる必要もないと思いますし、本人もセカンドをやりたいと言っていました。それを決めるのは首脳陣なので。それをセカンドとかいろんなところにやって、自分を使いたいと思わせることしか自分はできないので」

 打順も守備位置も決めるのは首脳陣。自分にできることは、圧倒的な結果を出してアピールするだけだというのが上林の率直な思いだ。昨季、大怪我をした時も「チームで唯一連絡をくれた」のは牧原大だった。「好きな選手だし、いい選手だと思っています。そんなバッチバチというのはなくて、使いたいと思わせるしかないので」と上林は語る。

「こんな感じ(のコメント)でいいですか?」と報道陣にも気を使う姿が上林らしい。ポジションの数に限りがあることも、選手全員が報われることはないこともわかっている。ライバルであり、そして仲間でもある。互いが全力を出して競い合う。そんな競争の中でレギュラー争いが繰り広げられている。

(竹村岳 / Gaku Takemura)