現役ドラフトでの移籍「覚悟していた」 大竹耕太郎が独占激白で明かす胸中

阪神への移籍が決まった大竹耕太郎【写真:藤浦一都】
阪神への移籍が決まった大竹耕太郎【写真:藤浦一都】

なんとなくあった予感「ある程度覚悟はできていたというか…」

 9日にプロ野球史上初めて行われた現役ドラフト。12人の選手がそれぞれ新天地へと移籍することが決まった。ソフトバンクの大竹耕太郎投手は阪神へ。今季1軍登板は2試合に終わった左腕が、現役ドラフトで指名を受けた胸中を「鷹フル」に独占告白した。

 2017年の育成ドラフト4巡目で早大からソフトバンクに入団した大竹耕。ルーキーイヤーにウエスタン・リーグで無傷の8連勝をマークし、支配下に昇格。その年、プロ初勝利を含む3勝を挙げると、翌2019年には17試合に先発して5勝4敗を記録した。だが、ストレートの球速が140キロ台前半ということから2020年以降、登板機会は減少。今季もわずか2試合の登板にとどまっていた。

 球団からの連絡を受けたとき、大竹耕は都内にいた。来季に向けて自主トレに励んでいた。午後になって電話が鳴った。移籍を伝える球団幹部からの連絡だった。「覚悟はありました。ある程度、覚悟できていたというか、どこ(の球団)になるのかなというところだけだった」と心境を明かす。現役ドラフトのリストに挙がっていることを球団からは伝えられていなかったが、なんとなく“自分じゃないか”という予感はあったという。

 そう覚悟したのにも理由がある。ウエスタン・リーグの最終戦で完封勝利をあげ、その後、宮崎で行われた秋季教育リーグ「みやざきフェニックス・リーグ」でも好投。怪我もなく、上がってきた状態に手応えも感じていた。にも関わらず、秋季キャンプは支配下選手の大部分が集まる宮崎ではなく筑後の残留組に振り分けられていた。リハビリ組ではない支配下登録選手で、筑後組だったのは大竹耕だけだった。

「その辺りから、あるんじゃないかと正直思っていた」という大竹耕。ただ、今回の現役ドラフトと移籍に対しては前向きに捉えている。2軍で結果を出しても、なかなか1軍から声がかからない現実にもどかしさを感じることも昨季まではあった。新天地でのチャンスを望んだこともあった。前夜から「修学旅行前みたいな感じで眠れなかった。2回目のドラフトみたいな感覚でドキドキしました」。
 
 とはいえ、今のままでは「先は長くないと思っている」とも語る。ソフトバンクの1軍で投げられなかったのも「圧倒的に結果を出せていなかったから」だと分析している。だからこそ「もう一皮むけないと1軍では投げられないんだなっていうのはめっちゃめちゃくちゃあった。もう一つレベルアップしないと(1軍では)投げれないっていうのはすごい感じる」と、今も自主トレでスケールアップを目指している。

 大竹耕にとっては、もちろん大きなチャンスとなる。移籍の知らせを受けて、すでに気持ちは前を向いている。「やるしかないなっていう感じですね。伝統ある球団なので、熱がすごいイメージ。覚悟を決めていかないといけないですし、もうワクワクしています」。新天地で大輪の花を咲かせるのを、ホークスファンも期待しているはずだ。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)