感謝した斉藤和巳監督の言葉
晴れやかな表情で恩師に感謝を伝えた。「引退します」。来季の戦力構想外との通告を受けた佐藤航太外野手が、現役引退を決意した。まだユニホームを着続けたい気持ちは22歳の心の中にあった。一方で、ホークスで過ごした4年間に悔いはないという思いもあった。次の道に進むべきなのか。心の中では、2つの思いが揺れ動いていた。
戦力外を告げられたのは10月26日だった。球団から来季の契約を結ばないことを伝えられた佐藤は、今後について「野球を続けるか、引退するかの五分五分」と説明。現役続行を選ぶ場合も、選択肢はNPBに絞っていた。「あまり期限をつけなかったりすると、どんどん迷ったりするので」。自分の中で区切りをつけるため、考える時間を約1週間と決めていた。
その夜、佐藤のもとに斉藤和巳2軍監督からダイレクトメールが届いた。「今後の人生をどう考えているのか?」――。
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この先で分かる3つのこと
斉藤和巳監督が送った、迷う心を射抜いた「一言」
他球団ならやれる…引退直前まで揺れ動いた「最後の本音」
筑後での15分間…恩師が22歳に授けた「人生の金言」
「このタイミングで厳しいことを言うけど、気持ちが五分五分の時点で答えは出ている。続ける気持ちがあるなら、もうトレーニングをしている」
何度かメッセージのやり取りを繰り返す中で、斉藤監督から送られてきた言葉だった。現役を続ける気持ちが本気ならば、迷わず次を目指していたのかもしれない。「やっぱりそうだよな……」。自分自身でも気付きはじめていた“本当の気持ち”を見透かされた気がした。
直接伝えた“引退”の2文字
もちろん、続けたい気持ちがなかったわけではない。ホークスではもう野球ができない。それでも、他球団であればチャンスがあるかもしれない。「自分ならやれるかも、という変な自信があって……」。22歳という年齢もあり、まだまだ諦めきれない気持ちも確かにあった。一方で、ホークスで過ごした4年間には悔いがなかった。
10月31日、筑後に挨拶に訪れた際には、斉藤監督と直接話をした。時間にすれば15分にも満たなかったが、引退することを直接伝えることができた。「『22歳でまだまだこれからの人生の方が長い』と言われて、色々と説得力がありすぎて納得しすぎました。和巳さんには、節目節目で本当に助けられたんです。感謝しかありません」。野球選手としてだけではなく、これから歩んでいく人生を見据えた言葉だった。
「ホークスでの4年間は、結果が出ない事ばかりだったけど、勝負の世界で4年もプレーできた事はいい経験になりました。これからにつながると思います。ファンの方たちには良い時も悪い時も声かけてもらったりしたので、本当に感謝してます」
2年目の2024年にファームで月間MVPを獲得した経験も、思うようにいかなかった日々も、すべてがこれからの人生につながっていく。今後の進路は未定だが、できることなら野球に携わる仕事がしたいという。様々な思いを胸に残しながらも、最後は自分自身が納得できる道を選んだ。恩師の言葉を胸に、佐藤航太は新たな人生の一歩を踏み出す。
(飯田航平 / Kohei Iida)