22日の西武戦から就いた一塁守備…本多コーチが語った凄み
首脳陣が思わず「その姿を見たことがありますか?」と問いかけるほど、背番号0にはオンリーワンの魅力が詰まっている。グラウンド上での派手なプレーではない。「それが僕にしかできない仕事」。そう胸を張ったのは、川瀬晃内野手だ。穴が空いたのなら、すぐに埋める。手に取ったのは、ファーストミットだった。
9月17日にパ・リーグ3連覇を決めたホークス。20日にはリードオフマンとして27本塁打を放ち、打線を引っ張ってきた正木智也外野手が体調不良で離脱を余儀なくされた。チームとして隙を見せないためにも、川瀬はすぐ行動に出ていた。
22日からみずほPayPayドームで行われた西武との2連戦。この日まで今季2度しか守っていなかった一塁守備に、川瀬は就いた。23日には「遊撃→一塁→遊撃」をこなすなど、持ち前のユーティリティ性を存分に発揮。ポストシーズンを見据えた中でも、“守れる姿”を見せたことは大きなオプションになったはずだ。
昨シーズンも6試合で一塁守備に就いており、本多雄一内野守備走塁兼作戦コーチも「こうやって誰かが抜けても、カバーしてくれる。そこは助け合いでもあるので。」プロ11年目の28歳。その凄みと準備力が凝縮されているのは、ベンチから颯爽と飛び出していく姿だ。「よっしゃ、任せてください!」――。力強い一言に、首脳陣は厚い信頼を寄せている。
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この先で分かる3つのこと
「一番早く出ていく」本多コーチも絶賛する川瀬晃の準備力
僕にしかできない仕事…川瀬晃が首脳陣から信頼される理由
ベンチでも無意識に…川瀬晃が急な一塁を守れる影の努力
「攻撃が終わって守備に行くじゃないですか。彼が一番、出ていくのが早いんですよ。3アウトでチェンジになった瞬間に『よし、行くで!』と。僕は一塁のランナーコーチですけど、土の部分を足でならしているともう彼がポジションまで来ているんです。(二遊間以外のポジションを)いってくれるかと聞くと、いつも『行けます! 任せてください!』と言ってくれるので。ああいう姿を見せられるとこちらとしても任せられるし、とても心強いです」
ベンチから駆け足で守備位置に向かう姿を「見たことがありますか?」。そう問いかけるほど、本多コーチは川瀬が見せる姿を絶賛していた。首脳陣の意図を理解し、心身の準備を済ませているからこそグラウンドに飛び出せる。「バックスクリーンのビジョンを見ながら、打順の巡りとかも含めて『こうなればここに自分が入るな』と、わかっているはずです。やっぱりさすがですよね」と、本多コーチは熱く続けた。
川瀬晃が抱く自負「自分の名前が一番に挙がるように」
川瀬は今季遊撃で45試合、二塁で18試合に出場している。あくまでも主戦場は二遊間。一塁の準備についても「距離感的にもサードと似ているので、全然問題ないですよ」と言ってのける。求められたことを完璧にこなして応える。それが川瀬晃という男だ。
「(内野の全ポジションを守るのは)それが僕にしかできない仕事なので。いつ、どういうアクシデントがあるかわからないので。それができないと、自分じゃない。常に率先しながら、首脳陣から自分の名前が一番に挙がるように。常に意識して、準備しているところではありますね」
内野手用のグラブと比べると、ファーストミットは大きい。握り替えに苦労する選手もいるが、ベンチに座っている時ですら川瀬は準備をしている。左手にはめたグラブに、パンパンとボールを投げ込む。無意識に繰り返している動作も、グラウンドで活きてくる準備の1つだ。「それも晃が常にやっていることじゃないですか。普段からやっているからこそ、心強いですよね」と本多コーチも目尻を下げた。
ランナーがいない状況で内野ゴロが飛べば、ファーストが最後に捕球してアウトが成立する。川瀬も「その責任感はありますね。一、二塁間のゴロも、反応してしまうので難しいんですけど。そこもあらかじめ、セカンドの人と話して準備しておくことです」と強調した。どんな時も隙を見せない小久保ホークス。準備を欠かさない川瀬晃の存在が、どこまでも頼もしい。
(竹村岳 / Gaku Takemura)