中村晃が後輩に残した“1145字” スマホに届いたラストメッセージ…問いかけた「逃げている自分はいないか」

  • 記者:竹村岳
    2026.09.27
  • 1軍
今季限りで現役を引退する中村晃【写真:栗木一考】
今季限りで現役を引退する中村晃【写真:栗木一考】

8月22日の1軍再昇格…その前日に残した1145字の言葉

 9月27日のオリックス戦(みずほPayPayドーム)は、中村晃内野手の「引退試合」として行われる。ホークス一筋19年、ファンに希望を与えてきた「愛する男」は、どんな姿を見せるのか。言葉で引っ張るのは苦手だった。だからこそ誰よりも走り、誰よりも準備し、その背中でホークスの伝統を示し続けてきた。不器用だった背番号7が1軍に再昇格する前、後輩のためだけに残した“1145文字のラストメッセージ”――。そこには、プロとして貫き通した流儀がぎゅっと詰まっていた。

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 数々の指導者に支えられて、中村晃は今ここにいる。バリバリの主力になり、少しずつ後輩も増えてきた頃。“人生の恩師”である鳥越裕介氏(現西武ヘッドコーチ)に相談をすると、こう言われたことがある。「もっと言わないと。言えないというのはダメだよ」。結果と姿で示してきた背番号7。その答えは、やはり不器用だった。

「でも、言えないんです」――。

 多くのサポートに感謝し、己の力で道を切り開いてきた。自分も見てきた先輩たちの背中。受け継いでいくのがホークスの伝統だと理解していても、言葉で示すのは得意ではなかった。「言えないなら、自分が率先して見せるしかない。それを言葉にして言えないのは、ダメなことだぞ」。真正面から接してくれた鳥越コーチの教えは、今も胸に刻まれている。

 プロ19年目で迎える“ラストゲーム”。中村晃は、最後に何を語るのか。

 今年2月の春季キャンプ、背番号7はタマスタ筑後にいた。腰の手術を受けてから3か月。室内練習場で明らかにハイペースで打ち込む中村晃の姿を、トレーナーが心配そうに見守っていた。その視線を感じつつも、覚悟が宿る口調に迷いはない。

「そりゃ、やるよね。怪我をしてもしなくても、ダメなら辞めるしかない。後悔したくないんだから」

 現役引退――。その言葉を明確に意識して、19年目のシーズンは始まっていた。

 開幕してからは思うような結果を残せず、6月9日に出場選手登録を抹消された。打率.129と苦しみ、2軍降格を決断した時点で現役引退の意思は固めていた。2か月半にわたる2軍生活は、後輩から「背中を見られている」という強烈な自覚を抱いた日々でもあった。

 待望の1軍再昇格を果たしたのは、8月22日。その直前、中村晃は球団専用のアプリを通して「25歳以下の若鷹」に1145文字にもわたる“メッセージ”を残していた。

「おそらく選手としてみんなに話すことは、これが最後になる可能性が高いので、今日は2か月半ほどファームで過ごして感じたことを伝えたいと思います」

 画面に映ったのは、甘えを許さない静かな問いかけ。言葉で引っ張るのが苦手だった男は、なぜ去り際に言葉を残そうとしたのか。19年間で背番号7が辿り着いたプロの境地――。

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この先で分かる3つのこと

1145字のメッセージ…中村晃が若鷹へ託した「最後の言葉」
2年前とは違う…中村晃が後輩を食事に誘っていた理由
準備と姿勢…19年間貫いてきたプロとしての美学
1軍に再昇格する前、8月20日のオリックス戦でヒットを放つ中村晃【写真:加治屋友輝】
1軍に再昇格する前、8月20日のオリックス戦でヒットを放つ中村晃【写真:加治屋友輝】

後輩たちへ「一度、自分自身に問いかけてみてください」

試合前の準備を貫き続けた中村晃【写真:加治屋友輝】
試合前の準備を貫き続けた中村晃【写真:加治屋友輝】

誰よりも理解できる若手の気持ち…胸に刻む大切な言葉

6月28日のオイシックス戦で逆転サヨナラ満塁本塁打を放った中村晃【写真:竹村岳】
6月28日のオイシックス戦で逆転サヨナラ満塁本塁打を放った中村晃【写真:竹村岳】

凡打でも全力疾走…自ら体現したプロの流儀

7月3日、引退会見に臨んだ中村晃【写真:栗木一考】
7月3日、引退会見に臨んだ中村晃【写真:栗木一考】

77人の言葉から浮かび上がった2つの言葉

(竹村岳 / Gaku Takemura)