ヒーローインタビューでファンへ「背中を押してくれる」
「背中を押してください」――。チームリーダーが口にした純粋な思いだった。残り18試合、リーグ3連覇に向けて、より厳しい戦いが待ち受けていることはわかっている。周東佑京外野手がヒーローインタビューで口にした言葉。優勝争いの真っ只中にいるからこそ、ファンへの飾らない感謝と熱い呼びかけを発した「真意」を語った。
9日に行われた日本ハム戦(みずほPayPayドーム)、先発の上沢直之投手が3回までに3点を失った。2点を追う展開となった3回、1死三塁で打席に入った周東は二塁手のグラブを弾く適時内野安打を放った。その後に栗原陵矢内野手の逆転2ランが生まれ、小久保裕紀監督も「本当に良い集中力であの回に逆転できたのが今日の勝因だと思いますね」と目を細めた。1点差で制した一戦。2安打1打点1盗塁を記録した背番号23も、勝利に大きく貢献した。
前夜の同戦では2本塁打6打点の大活躍。「ランニング満塁弾」は1999年の小久保監督以来27年ぶりで、本塁に悠々と生還する姿はファンの記憶にも深く刻まれた。試合後のヒーローインタビュー。「今後に向けての意気込み、思いをお願いします」。最後を締める“お馴染みの質問”に、周東は自らの心にある思いを言葉に乗せて、こう答えた。
「シーズンも終盤にきていますし、ヒリヒリする場面も増えてくると思うんですけど、ファンの皆さんの声援がこれまで以上に僕たちの背中を押してくれると思います。試合は続くので、選手の背中を押してくれたら嬉しいです。明日からもみんなで頑張っていきましょう」
丁寧で優しい口調だった。ここに周東の“本心”がある。ホークスのために戦っているのは、自分たちだけではない――。ファンに、純粋なメッセージを届けたかった。
会員になると続きをご覧いただけます
この先で分かる3つのこと
「皆さんと力を」周東佑京がヒーローインタビューで語った真意
マジック「12」でも油断なし…周東佑京が抱く「隙」への警戒感
今シーズンは120試合出場…周東佑京が明かす体調管理の裏側
「自分たちの力だけではなくて、みんなの力を合わせたい」
「シーズンもここまできて、体もみんなキツいですし。優勝争いをしていて、切羽詰まっているわけじゃないですけど、みんながその中でやっているので。ファンの人の声援が力になるというのは、今までやってきた中でも感じていますし。こういう優勝争いをしている時期だからこそ、力がほしい。自分たちの力だけではなくて、皆さんと力を合わせたいというのはありました」
125試合を消化して、残りは18試合。当然のようにグラウンドに立っている主力たちだが、誰しもが万全なはずがない。「キツい」のはわかっている。だからこそ、ホークスファンの大声援で新たな“力”を得たかった。8日は14得点の快勝で、この日は手に汗握る1点差を制した。「やっている選手には聞こえるものですから。声援が力になったと思います」と、あらためて感謝の言葉を口にした。
勝負の9月は日本ハム、西武、日本ハムと上位チームとの3カードからスタートした。7試合を終えて4勝2敗1分け。周東も「落とせないとは思ってやっていましたね」と選手の空気を代弁する。2位の西武とは6ゲーム差。優勝マジック「12」という状況だが、「隙を見せたらやられる可能性がある。隙を見せたくないというのは正直ありますね」。ゴールテープを切るまで、ホークスナインに油断はない。
この日、2点を追う3回無死二塁では正木智也外野手がアウトコースのボールに食らいつき、右飛で二走を三塁にまで進めた。1死三塁となって回ってきたチャンス。「ランナーを返すことだけでしたね。外野フライでもいい場面でしたし、正木がああいう形でつないでくれたので。『なんとか』という気持ちはありました」。後輩の思いも乗せて振り抜いた一打。力投する上沢のためにも、少しでも早く援護点をプレゼントしたかった。
安打数の目標までは残り21本「続けていけたら」
8月の月間打率は.257だったが、9月は同.321と息を吹き返している。「150」と目標設定している安打数も、129本にまで到達した。2発6打点を記録した8日の試合後も、打撃面の試行錯誤を口にしていた。
「今日は、キツい中でうまく対応できたという感じでした。狙い球じゃない、とかではないんですけど。打つべき球を前に、ヒットにして飛ばせたというのはよかったのかなと思います。(状態が)いいか悪いかはわからないです。明日になったら急に悪いということが、今年は多いので。続けていけたらと思いますね」
今シーズンは全125試合のうち、120試合に出場。離脱することもなく、常にグラウンドに立って勝利に貢献してきた。「めちゃくちゃ痛くて動けないという日もない。コンディションに関しては、ここまで本当によくできているのかなと思います」と深く頷く。フィジカル面で細心の注意を払ってきた成果が現れている2026年。日本一の瞬間まで必ず駆け抜けてみせる。
28盗塁はリーグトップ。走攻守、そして“言葉”の力でファンを鼓舞する姿は、まさにチームリーダーだ。「勝てばいいですからね」。悲願のパ・リーグ3連覇まであと少し。その“ラストピース”は、ホークスファンの大声援だ。
(竹村岳 / Gaku Takemura)