庄子雄大が繰り返した自問自答 昨季は「1軍に出られる能力なかった」…首脳陣が明かした“分岐点”

  • 記者:飯田航平
    2026.07.31
  • 1軍
庄子雄大【写真:栗木一考】
庄子雄大【写真:栗木一考】

庄子が口にした昨季と違う課題

 前半戦を終えた23歳が口にしたのは、確かな手応えだった。庄子雄大内野手は今季、前半戦だけで64試合に出場。ルーキーイヤーの昨季は26試合の出場だったが、今シーズンはここまで44試合でスタメンに名を連ねるなど、出場機会は格段に増加した。リーグ3位の14盗塁をマークするなど、グラウンドでの存在感を高めている背番号25に、その要因を尋ねた――。

「前半戦を振り返ってみて、良い時と悪い時の差が激しいなというのは正直ありますね。試合に出ているからこその課題が、今年に関しては多い。いい意味で課題が多く出てきたというか、くっきり見えてきたなというのがあるので」

 ここに至るまでの背景には、庄子にしか分からない葛藤があった。「去年はまた違う意味での課題というか。『1軍の試合に出られる能力がない』っていうんですかね……」。そう吐露するほど、1軍の壁の高さを痛感した1年目。「例えば守備だったら、何が足りないから守備固めでも出られなかったのか、とか」。周囲の主力と自身を比べては、自問自答を繰り返していたという。

 それでも今季は、試合終盤の大事な局面での代走や守備固めだけでなく、スタメンとしても起用されるようになった。その背景には積み重ねてきた信頼と、確かな成長の姿があった。ターニングポイントになった“一戦”。首脳陣が庄子のスタメン起用を続けると判断した「明確なシーン」があった。

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この先で分かる3つのこと

首脳陣に「使わない選択肢はない」と言わしめた一戦
自分のことで精一杯だった庄子の目を覚ました先輩の姿
「優勝は気にしない」庄子が後半戦へ掲げる新たな課題

村松コーチが明かしたスタメン起用を続けるに至った“姿”

「高橋光成に対して、しっかり対応できたというところです。最初にスタメンで出て、2試合くらいで結果が出なければ『じゃあ次は誰を使おうか』となっていたと思うんです。だけど、あそこで打って打率3割以上、出塁率も4割近かったので。『じゃあしばらくいこうか』と。使わないという選択肢はなかったですね」

 こう明かしたのは村松有人野手チーフコーチだ。庄子は今季初スタメンとなった5月5日の西武戦(ベルーナドーム)で1安打を放つと、翌6日も「9番・二塁」で先発出場。高橋から1打席目に四球を奪い、2打席目には左前打を放った。首脳陣の目には、その対応が「光るものがある」と映り、その後の25試合連続スタメンに繋がった。

 首脳陣の信頼を重ねていく中で、庄子の中でも変化があった。「去年は2軍でずっと出続けることはありましたし、そこでも疲労というか、体の変化というものは感じました。だけど、1軍でとなると体はもちろんですけど、頭の部分も含めて、色々と考えることが多いので」。9イニングの出場を続ける日々は、これまで経験したことのない「質」だった。日常の中でも、確かな経験値が積み重なっていった。

 自身の成績だけではなく、何よりもチームの勝敗にこだわる背番号25。「僕が打ったから良い悪いとかではなく、チームが勝たないと意味がない」。試合に出続けるからこそ感じる重圧が、常に頭を巡る。ショートという内野の要を任される以上、自分のプレーだけで満足するわけにはいかない。

 スタメンで出場し始めた当初は「目の前のこと、自分のことにもう精一杯になっていた」。そんな庄子に“気付き”を与え、次なる視点を与えてくれたのは、同じグラウンドに立つ先輩たちの存在だった。

「(今宮)健太さんだったり、(野村)勇さん、(川瀬)晃さん……。ベンチから見ていても、ピッチャーに対する声掛けや外野の守備位置の確認を、僕以上にやっている。自分のプレーに集中するのは大前提ですけど、そこに気を遣っていると感じました。試合に出ている以上は、周りに目を配れるような選手にならなきゃいけないですし、そういう選手になりたいので」

ぶれない決意で挑む、勝負の後半戦

 激しい戦いの日々から一時的に離れ、前半戦の終わりには実家で心身をリフレッシュさせる時間を取った。完全に野球のことが頭から離れるはずもなかったが、周囲の期待やプレッシャーに押しつぶされることはない。

「チームの優勝だとか、そういったものはあまり気にせずに。“そこ”までは自分にできることをしっかりやり切ることが大事だと思うので。前半戦と同様に、ぶらさずにできればいいかなと思います。自分のプレーに自分自身が安心して試合に挑めるような能力をつければ、周りを見る目というか、視野も広がると思うので。そこは今後の新しい課題として、できればいいかなと思います」

 目の前の1試合、1プレーにすべてを懸ける思いが、ここまで庄子を成長させてきた。何一つ変わらない強い決意が、その言葉には宿っていた。

(飯田航平 / Kohei Iida)