オスナと侍ジャパンの深い縁 2009年WBC決勝…初めて抱いた“憧れ”の感情「何だ、この才能は!」

  • 記者:竹村岳
    2026.07.28
  • 1軍
2度目の球宴で無失点に抑えて笑顔を見せるロベルト・オスナ【写真:栗木一考】
2度目の球宴で無失点に抑えて笑顔を見せるロベルト・オスナ【写真:栗木一考】

2度目のオールスター出場…オスナが鷹フルに独占手記

 ソフトバンクのロベルト・オスナ投手が28日、東京ドームで行われた「マイナビオールスターゲーム2026」に出場した。パ・リーグの3番手として5回のマウンドに上がり、三者凡退の好投を披露。NPBでは3年ぶり2度目となった夢舞台を心から楽しんだ。ホークスのブルペンを支え続ける背番号54は、鷹フルに単独インタビューに応じた。

 明かされたのは2017年、メジャーリーグのオールスターに初出場した時の思い出だった。「特に会えて嬉しかった」と振り返ったのは、通算440セーブを挙げているMLB屈指のクローザーとの出会い。14歳でダルビッシュ有投手の姿を目の当たりにし、抱いた「憧れ」の気持ち。「2009年のWBCで、侍ジャパンは歴史を作ったんだ」――。メキシコ出身の右腕が明かす、知られざる日本との縁に迫る。

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 今年、僕は日本で2度目のオールスターゲームに出場した。こうした特別な瞬間に選ばれることはいつだって光栄だし、開催してくれるNPBや選出してくれた方々に感謝の思いでいっぱいです。今回は、とにかく楽しみたいというのが一番。すごくいいチームで、いい選手たちと一緒にプレーができる。この季節になると、どうしても思い出す特別な光景があるんだ。

 2017年、22歳だった僕が初めて足を踏み入れたMLBのオールスターゲーム。あの場所は、言うなれば「夢」そのものだった。

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この先で分かる3つのこと

オスナが憧れた大投手とMLB球宴で交わした言葉
少年時代のオスナを魅了したダルビッシュの凄まじさ
憧れのダルビッシュとロッカーが隣になった奇跡の瞬間

 ロッカーを見渡せば、アーロン・ジャッジ、ロビンソン・カノー、ネルソン・クルーズ、ホセ・アルトゥーベ、クリス・セール……。文字通り、世界最高のスターだらけだった。「おいおい、本当にあのスターたちと一緒にいるのか!」って、興奮を抑えきれなかったよ。彼らと一緒にいられて、本当の本当に特別な瞬間だったんだ。

 メジャーのオールスターは、日本の空気とは少し違う。たとえ僕みたいな若手が初めて足を踏み入れたとしても、誰もが「兄弟」のように接してくれる。僕は初出場だったけど「おい、おめでとう! オールスターに来られてよかったな! この調子で、また何年もここに戻ってこられるように頑張れよ」と声をかけてもらったのを覚えているよ。

 シーズンも戦っていたから、僕はすでに何人かラテン系の選手と親しかった。アルトゥーベやカノー、クルーズ……。僕たちはお互いにすごく団結しているというか、よく集まるんだ。彼らから言われたのは「おめでとう。この調子でがむしゃらに手を緩めず、やっていけよ。お前はまだ若いんだから、これからメジャーリーグで何年もやっていけるさ」ということ。みんながアドバイスをくれた。

ダルビッシュを見て受けた衝撃「何だ、この才能は!」

 中でも特に会えて嬉しかったのは、クレイグ・キンブレル(現レイズ)だね。日本の野球ファンの方々もよく知っているかな? 通算440セーブを記録している、アメリカを代表するクローザーさ。彼とは実際に話をしたんだ。僕は昔から彼のピッチングが本当に大好きだから、憧れの人だった。当時から彼に聞いてみたかったことを質問した。

 実は僕は、メキシコからMLBに挑戦した時に野手としても契約の話があったんだけど、やっぱりピッチャーがやりたかった。試合に勝った瞬間、マウンドにいられるクローザーの魅力に魅せられたからさ。だから本当に、キンブレルのファンだった。オールスターで彼に会えて、一緒に過ごせたのは本当に素晴らしい時間だったよ。

 僕も経験を重ねて、今では目の前のアウトを取ることに気持ちの全てを集中させている。ホークスファンや周りの人たちからすると、僕はあまり感情を表に出さないタイプだと思われているかもしれないけれどね(笑)。9年前のオールスターは、本当に興奮したんだ。誰かに憧れる。野球を始めたばかりの子どもたちにとっては、大切な気持ちなのかもしれないね。

 僕にとっての「ナンバーワン」は、いつだって父親だ。そこは一生変わらない。でも、テレビの向こう側で輝いていたスターたちにも、少年だった僕は強い衝撃を受けていたんだ。

 その1人が、ダルビッシュ有さんだった。

 僕がまだ、メキシコで暮らす小さな子どもだった頃。2009年のWBCをテレビで見ていたんだ。「侍ジャパン」が世界一を決めた韓国との決勝戦。クローザーとして試合を締めたダルビッシュさんの、あのスライダーは本当に凄まじかった。彼のことが好きだったのは、球が速くて素晴らしいピッチングスタイルだったから。何より、ものすごい“度胸”を持っていたからさ。彼がMLBに出てきた2012年、僕はまだメキシコにいたんだけど、ダルビッシュさんを見た瞬間に「おいおい、何だこの才能は!」と衝撃を受けたんだ。

 WBCを見ていたから、松坂大輔さんも好きだった。日本というチームは、昔から「規律があってタフな野球をする。常に物事をきっちりこなす」という素晴らしい評判があった。あと、僕は日本のユニホームが好きだったんだよね。あのネイビーに赤いラインが入っているデザイン。僕はまだ小さな子どもだったけど、周りのみんなも日本のことをよく話していたからすごく惹かれた。自分の中で好奇心が湧いていたんだ。

1イニングを無失点に抑えてベンチに戻るロベルト・オスナ【写真:栗木一考】
1イニングを無失点に抑えてベンチに戻るロベルト・オスナ【写真:栗木一考】

オスナが語った本音「野球という素晴らしい人生を生きる」

 2017年のMLBオールスターでは、ずっと憧れていたダルビッシュさんと奇跡的にロッカーが隣同士になったんだ。そこで初めて知り合った。僕は彼に会いたいとずっと思っていたから、少しだけ話をさせてもらった。確か、彼は家族と一緒に試合前の時間を楽しんでいたよ。ずっと憧れの気持ちがあったから、実際に話ができて本当に嬉しかった。

 2009年のWBCで、侍ジャパンは世界一になって歴史を作った。日本にとってはもちろん、1人のファンだった自分もあの光景を見られたことは素晴らしい瞬間だった。その最後のマウンドに立っていたダルビッシュさんと話ができたことは、一生の宝物さ。

 時間が経って、僕は今ホークスのユニホームを着ている。日本のオールスターのマウンドに立てることが、不思議な縁を感じずにはいられないよ。とにかく、楽しみたい。心にある気持ちはそれだけさ。日本の選手たちが「勝たなきゃ」という思いを抱きながら、責任感を持ってプレーしているのは知っているし、そのマインドは本当に素晴らしいこと。一方で、僕たちラテン系の人間は、いつも心から「その瞬間」を楽しむためにマウンドへ向かうんだ。

 良い時間を過ごし、新しい仲間と出会い、野球という素晴らしい人生を生きる。それが僕の本音さ。ファンの皆さんにも、僕たちが心から野球を楽しむ姿を見て、笑顔になってもらえたら最高だね。

(竹村岳 / Gaku Takemura)