前田悠伍から栗原陵矢へ…マウンド上でまさかの“軽口” 先輩3人が証言、20歳左腕は「大物になる」

  • 記者:福谷佑介
    2026.07.28
  • 1軍
マウンドで栗原陵矢と山本祐大に声をかけられる前田悠伍【写真:井上学】
マウンドで栗原陵矢と山本祐大に声をかけられる前田悠伍【写真:井上学】

6回3安打無失点、高卒3年目以内の開幕8連勝は59年ぶりの快挙

 すごい20歳だ。93試合を終えて58勝34敗1分けの貯金24でオールスターブレイクに入ったホークス。前半戦、先発ローテを支えた1人が高卒3年目の前田悠伍投手だ。ここまで無傷の8勝0敗。高卒3年目以内の開幕8連勝は堀内恒夫氏(巨人)以来となる59年ぶりと、躍進を遂げる前半戦となった。

 前半戦最後の試合となった26日の西武戦(ベルーナドーム)。6回を投げて3安打無失点。93球を投げて5つの三振を奪った。初回を三者凡退に切って取ると、2回、4回、5回はいずれも先頭打者に安打を許しながらも、後続をきっちりと断ち切って白星を掴み取った。

 ベルーナドーム初登板。独特の蒸し暑さの中でも崩れる気配は最後までなかった。「2年間、筑後を経験してるので。全然何ともないです」とケロッとした表情で振り返り「あとちょっといけたなっていう感じではありましたね」と頼もしかった。

 ならば、この堂々たる投球は同じグラウンドに立つチームメートの目にどう映っていたのか――。その姿を見届けた先輩の3人が口を揃えたのは、マウンド上での頼もしさ、そして立ち振る舞いに対する驚きだった。

会員になると続きをご覧いただけます

この先で分かる3つのこと

10歳上の栗原陵矢に放った、マウンドでの一言
川瀬晃が「絶対守ってやろう」と熱くなった理由
中堅から周東佑京が見た前田悠伍の投球

 三塁から何度も前田悠と言葉を交わしていたのが栗原陵矢内野手だ。選手会長も務める栗原は開口一番にこう評した。

「素晴らしいですね。テンポもよかったですし、投げている姿も堂々としてました」

 同じ高卒でプロの世界に飛び込み、12年目を迎える栗原は左腕の姿に目を細める。そして、先輩に対して臆することなく投げかけた前田悠の言葉を明かした。

栗原陵矢とハイタッチする前田悠伍【写真:井上学】
栗原陵矢とハイタッチする前田悠伍【写真:井上学】

川瀬晃「絶対守ってやろうという気持ちにさせてくれる」

「『サードに打たせるから』みたいな感じで言われたので。『お前ストライク入れろ』って言い返しました」
 緊張感があるはずのマウンド上で、10歳上の先輩と軽口の応酬ができる余裕がある。栗原は表情を緩めながら、こう続けた。「いいピッチャーですね。楽しみですね、将来が」。

 遊撃を守っていた川瀬晃内野手が繰り返したのは「頼もしい」という言葉だった。

「しっかりバッターと勝負して、テンポもいいですし。後ろから見ていて頼もしいなという感じです。本当にすごい」

 川瀬が絶賛したのは左腕のマウンド上での姿、そして堂々とした振る舞いだ。臆する様子はなく、野手陣に対してもしっかりとコミュニケーションを取る。

「それが自分たちにも伝わるので、絶対守ってやろうという気持ちにさせてくれます。結果的にこうやってゼロで並べてくれているので、すごく守りやすいですね。20歳? エグいですね。物怖じしない度胸。大物になりそうな予感がします」

 中堅を守り、好守で前田悠を盛り立てたチームリーダーの周東佑京外野手もまた、左腕への称賛を惜しまなかった。

「すごい。すごいなとしか思えないですね。本当にハタチなのかなって思います」
 その存在感と頼もしさは、ホークス先発陣の1本の柱になりつつある。昨年9月には左肘の手術を受けた。そこから1年に満たないうちに、59年ぶりの記録を刻むまでになった。先輩たちが「ハタチとは思えない」と驚く前田悠伍。後半戦もホークス投手陣の中心として、投げてくれるはずだ。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)