打率.337でも昇格見送り…2軍野手にとって厚すぎた“壁” 三笠GMが明かす「3投手支配下」の舞台裏

  • 記者:竹村岳
    2026.07.28
  • 1軍
三笠杉彦GM【写真:小池義弘】
三笠杉彦GM【写真:小池義弘】

7月末を前に3投手が支配下登録…三笠GMが語った理由

 ソフトバンクは27日、小林樹斗投手、張峻瑋投手、ルイス・ロドリゲス投手と支配下登録を結んだことを発表した。3投手が2桁の背番号を掴み取り、支配下選手は69人となった。7月末の補強期限を前に、なぜ球団は一気に投手の内部昇格に踏み切ったのか。そこには明確な“基準”が存在していた。

 ここまでチーム防御率3.09はリーグ2位。93試合を消化して58勝34敗1分けと、首位で前半戦を折り返した。一方で実に13人もの投手が先発するなど、その内情は苦しいものだった。小久保裕紀監督も「課題は先発」と繰り返し、上茶谷大河投手をリリーフから配置転換させるなど、試行錯誤を重ねてきた。

 みずほPayPayドームで行われた支配下登録会見。フラッシュを浴びる3人の横で、三笠杉彦GMは「今回は3人全員、投手の昇格となりました」と説明した。支配下枠を「69」にまで埋める勝負の決断。ファームで汗を流す若手たちの切実な思いを感じながらも、球団が貫く昇格へのハードルはどこまでも高い。ホークスの基準は、いつだって「1軍の戦力」。その1点のみだ。

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この先で分かる3つのこと

打率.337でも見送り…三笠GMが明かす支配下の絶対基準
2軍で結果を出す野手陣の前に立ちはだかった「1軍の壁」
三笠GMが後半戦に込める期待「今年は投手が成長する」
支配下登録された小林樹斗、張峻瑋、ルイス・ロドリゲス(左から)【写真:竹村岳】
支配下登録された小林樹斗、張峻瑋、ルイス・ロドリゲス(左から)【写真:竹村岳】

厚い野手の層…三笠GMが強調した支配下登録の基準

「当然、2軍における野手と投手、両方のパフォーマンスはありますけれども。いつも言っているように、『1軍でチャンスがあるかどうか』という観点で見た時に、このような選択肢になったということです」

 育成選手を支配下登録する際、ホークスは「1軍で通用するかどうか」という明確な基準を設けている。今年支配下登録された藤原大翔投手、アレクサンダー・アルメンタ投手、北斗投手はすでに先発登板を経験。結果はもちろん、1軍でチャンスを与えるだけの内容を残していると判断されたことが、2桁の背番号につながった。

 現在、2軍に帯同している育成の野手は大泉周也外野手、山下恭吾内野手、西尾歩真内野手らだ。大泉は4本塁打、西尾は打率.337と結果を残していたが、三笠GMは「チームの状況としては、ピッチングスタッフがリーグ3連覇に向けて重要なところだと考えている。頑張っている野手もたくさんいたんですけど、今回はこの3人を支配下登録させていただくことになりました」と続けて語った。

 現在、栗原陵矢内野手がリーグトップの30本塁打を放ち、近藤健介外野手も同トップの78打点をマークするなど、力強くチームを引っ張っている。その他にも周東佑京外野手や正木智也外野手がスタメンに名を連ね、2軍では山川穂高内野手や中村晃内野手らがチャンスを待っている状況だ。これだけ選手層が厚ければ、なかなか野手にチャンスを与えることはできない。だからこそ、今回は投手を補強するという決断に至ったのだ。

山下恭吾、大泉周也、西尾歩真(左から)【写真:栗木一考、竹村岳】
山下恭吾、大泉周也、西尾歩真(左から)【写真:栗木一考、竹村岳】

2025年は「中堅の野手がすごく成長した1年」

「2軍で頑張っている選手も含めて、(野手に関しては)今は層が厚くてレベルも高いので。投手という選択になりました」と三笠GM。昨年は野手陣に離脱者が相次いだが、裏を返せば、今はそれだけ手応えを感じているということ。投手陣はさらなる成長を遂げるための後半戦になる。

「去年は有原(航平)くんがいて、(リバン・)モイネロも安定していた。(野手の)離脱もあったので、控えだったり、中堅の野手だったりがすごく成長した1年だったと思います。今年は野手が支えている中で、前田悠伍くんを筆頭に、ピッチャーがチャンスをもらって成長する年かなと思うので。今回支配下になった3人にも、頑張ってもらいたいです」

 プロ野球選手の使命は、1軍の勝利に貢献すること。パ・リーグ3連覇に向かって、ラストスパートをかけるためにーー。3人の投手にかかる期待は大きい。

(竹村岳 / Gaku Takemura)