柳田悠岐のサヨナラ犠飛…試合後に漏らした本音
重圧を背負っている者同士、分かち合えるものがある。試合を決めた主役のもとへ、背番号3が満面の笑みで飛び込んだ。劇的勝利を収めた23日のオリックス戦(みずほPayPayドーム)。サヨナラ打を放ったのは柳田悠岐外野手だった。本拠地が大歓声に染まった直後。誰よりも早く、近藤健介外野手がヒーローに抱きついていた。
正木智也外野手の14号2ランや、近藤健介外野手の22号ソロなどで3点リードのまま9回に突入した。しかし、守護神の杉山一樹投手が紅林に3ランを被弾し、試合はまさかの振り出しに戻った。迎えた裏の攻撃、相手のミスも重なるなどして1死満塁の大チャンスを迎えた。ここで小久保裕紀監督は立ち上がり「代打・柳田」を告げた。
3球目の直球を中越えに弾き返し、勝負あり。野球少年のような笑顔で雄叫びをあげながら喜ぶ背番号9に、真っ先に駆け寄ったのが近藤だった。ともにチームを“背負う者”だからこそ共鳴する思いとは。祈るような気持ちでベンチから見つめた後輩の声。「あとはお願いします」――。
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この先で分かる3つのこと
近藤健介が誰よりも早く駆け寄った「納得の理由」
劇的勝利の裏で…柳田悠岐が漏らした「切実な本音」
代打を送られた野村勇の「正直な思い」
近藤健介も2打点で貢献「僕も凡退していたので」
「それはもちろん、スーパースターですからね。勝ててよかったです」
必ず柳田が決めてくれると、誰よりも信じていた。だから一番に駆け寄ることができた。8回には適時打も放ち、近藤も2打点の活躍。「何があるのかわからないので、(点を)取れる時に取らないと。僕も最初の2打席はチャンスで凡退していたので、よかったです」。右腕・山崎の直球を捉えたソロアーチは「完璧」と自画自賛するスイング。
「代打・柳田」がコールされると、本拠地は大歓声に包まれた。時刻は、午後9時26分。プレーボールから3時間半近くが経過していた。“最後の最後”を託された37歳はチーム全員の思いを胸に、打席に立った。
「初回から戦っていた人たちは本当に疲れていたと思いますし、みんなが作ってくれたチャンスだったので。そういう人たちのためにもなんとかしたい気持ちはありました」
この日は代打での出場だったが、レギュラーとしてチームを勝たせる“重圧”を背負ってきた男の思い。柳田の言葉には近藤も「確かにずっと出ている選手もいたので、決めてくれてよかったです」と共感した。24日は午前中に福岡から東京に移動し、西武戦(ベルーナドーム)に挑む。少しでも早く決着をつけるために「なんとかしたい」と語ったのは、まぎれもなく背番号9の本音だった。
代打を送られた野村勇も「あとはお願いします」
代打を送られたのは野村勇内野手だった。22日は今季初の3安打。この日も2安打を放ち、上昇気流を描いていたが、試合中に“ある数字”が目に飛び込んできた。「スコアボードに出ている得点圏打率(.087)がとんでもないことになっていました」。今季の成績は8打点。勝負強さという意味では不安が顔を覗かせていた。
打順が自分に近づくにつれ、緊張感も高まる。球場のボルテージが熱くなる中、当然「よっしゃ、決めたろう」という気持ちでいた。「もちろん行くつもりでしたよ。でも(自分が)名前を呼ばれて、ギータさんだったので。『あとはお願いします』という感じでした。絶対に打ってくれると思っていました」。勝利を掴んで飛び込んだ歓喜の輪。次こそは自分のバットで、チームを勝たせるつもりだ。
ヒーローインタビューを終えた後の囲み取材、背番号9の表情は安堵感に満ちていた。「まさかあんな大チャンスだとも思っていなかったんですけど、いい準備はできたかなと思います。芯付近に当てれば、何かが起こるかなという気持ちでいきました」。チームの思いを背負って、決めてほしいところで、決める。だから柳田悠岐は“スーパースター”だ。
(竹村岳 / Gaku Takemura)