先制点を奪った直後…6回に見せたファインプレー
チームリーダーから20歳の左腕へ、最大級の賛辞が送られた。接戦を制した19日のロッテ戦(ZOZOマリン)。主役となったのは、7回無失点で今季7勝目を挙げた前田悠伍投手だった。20歳とは思えぬ落ち着きぶりで、淡々とゼロを並べた左腕を救う価値あるプレーを見せたのが、周東佑京外野手だ。今や先発ローテーションに欠かせない存在となった背番号41。その可能性を、誰よりも早く見抜き、名前を挙げていた――。
相手先発は左腕のロング。両チーム無得点で迎えた6回、先頭の周東が遊撃への内野安打で出塁すると、2本の適時打で3点を奪った。その直後も当然、前田悠はマウンドへ。先頭の小川が放った鋭いライナーは左中間に飛んだ。これを中堅の背番号23が華麗にスライディングキャッチ。相手に流れを渡さないビッグプレーとなった。
「本当に野手の方に打っていただきますし、佑京さんのファインプレーも(打球が)落ちたかと思ったので。すごく助かりました」。ヒーローインタビューで前田悠は深々と頭を下げた。驚異的な守備範囲を生み出した準備。そして、センターのポジションから20歳のピッチングはどのように見えていたのか。周東が口にしたのは、最大級の“褒め言葉”だった。
会員になると続きをご覧いただけます
この先で分かる3つのこと
周東佑京に前田悠伍の投球はどう見えていたのか
前田悠伍の姿が20歳に「見えない」と語った理由
ベンチも「ヒットに見えた」全幅の信頼を置く“嗅覚”
「期待する若手」として名前を挙げていた前田悠伍の存在
「テンポがいいですし、どんなバッターでもどんどん投げていくから守りやすいのはありますよね。ああやって、ゼロで抑えながらもテンポよく投げられるからこそ、こういう(接戦になっても先制できる)ゲームになっていくのかなと思いますけど」
6月6日のDeNA戦(横浜)から、高校時代のようなテンポのいい投球を心がけている左腕。この日の試合後、囲み取材に応じる前田悠に対し、選手会長の栗原陵矢内野手も「ナイステンポや! たまにはやるな!」と茶目っ気たっぷりの褒め言葉を送っていた。野手にリズムを生み出す投球スタイル。援護に助けられながら無傷の7勝を挙げているのは、投打ががっちりと噛み合っているからだ。
首位のチームを支える左腕の存在感には、小久保裕紀監督も「頼もしく見えてきた」と唸るほど。実は周東も、昨オフに行われたトークショーで「期待する若手」として前田悠の名前を挙げていた。7回までゼロを並べた後輩の姿に「いや、(20歳には)見えないでしょう。あんなに堂々としているんですから」。飾らない表現は、前田悠に対する偽りのない“褒め言葉”だったはずだ。
大西崇之コーチも「ベンチから見ていてヒットに見えた」
小川のライナーを掴み取った自身のプレーについては「あそこを守っていたので。捕れるかなと思いましたけど」。当然といった表情で振り返る。あらかじめ左中間寄りのポジショニングを敷いていたからこそ、捕球までのイメージは湧きやすかった。この日の風はセンターからホームベースに向かって吹いていたが、「僕が捕ったあの高さは、風の影響はそんなに受けない。伸びてくるだけなので」と、どこまでも頼もしい。
本人の言葉とは裏腹に、「さすが。さすがよ。俺もベンチから見ていてヒットに見えた」と唸ったのが大西崇之外野守備走塁兼作戦コーチだ。首脳陣からグラウンドにいる選手に対して、ポジショニングの指示を送るのが基本だが、周東には「任せているよ。そこらへんの“嗅覚”もあるからね」。誰よりも準備を重ねているからこそ生まれたファインプレー。その技術と信頼は、後半戦もきっとチームを救ってくれる。
18日の同戦、初回には前方の打球に対しスライディングキャッチを試みたが捕球できず。先制点を献上し、悔しさをあらわにするシーンもあった。「昨日も今日も捕れる打球でしたし、やれることをやっているだけですよ。昨日もグラブに当てていたので」。打球に追いつき、勝負ができるのも技術と快足を併せ持つ周東佑京だから。その守備力はまさに「プロフェッショナル」だ。
(竹村岳 / Gaku Takemura)