11日の楽天戦でプロ初の三塁守備
「なんでここにいるのか」――。自らに言い聞かせるような、偽らざる本音だった。開幕して80試合を消化。貯金17を抱え、チームが首位を走る中で今宮健太内野手が思いを打ち明けた。
11日にみずほPayPayドームで行われた楽天戦。今宮は6点をリードした8回1死二塁で代打として登場した。一ゴロに倒れると、9回にはプロ17年目で初めて三塁の守備に就いた。2死一塁から黒川が放った打球は右翼線へ。一走・中島が三塁をオーバーランしたのを見逃さず、中継から三塁へ送られた送球でタッチアウト。最後にボールを受けたのが今宮だった。
「(ゴロやフライが)飛んできていないので、わからないですね」。ゲームセットから30分後、帰路に就いた背番号6は静かに語った。どんな時もチームのために全力を尽くしてきた男。三塁という新しいオプションについて、語った思いは――。
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この先で分かる3つのこと
ラスト1イニングの衝撃。今宮健太が守った初めての「三塁」
「なんでここにいるのか」苦悩の裏で抱いた強い責任感
痛烈な本音、1軍に「いさせてもらっている以上は」
「なんでここにいるのか、思っているところはあった」
「なんでここにいるのか、思っているところはありました。何か1つでも1軍のためにできることがあれば、とはずっと思っていたので。与えられることがあれば、それを全力でやりたいなと思います」
今季は14年連続開幕ショートというプロ野球記録を樹立した。シーズン当初は打率が2割台後半と結果を残していたが、4月11日の日本ハム戦(エスコンフィールド)では左肩甲骨に死球を受けて亀裂骨折。以降は少しずつ出番が減少し、この日の楽天戦は7月に入って初めての出場だった。「なんでここにいるのか」。強い責任感を抱き、チームを引っ張ってきた男の言葉は、響く。
今月9日に野村勇内野手が抹消され、首脳陣が打ち出したのは「三塁・今宮」の構想だった。今宮が「ちょっと前からその話はあって、昨日(10日)からですかね。一応、(サードの)練習はやっていたので」と語れば、このタイミングになった理由を小久保裕紀監督が口にした。
「彼のためにも、出場できる幅を広げるための取り組みです。本人とも話をして、サードでいってみようかと。本多(雄一)コーチからも提案があったので。なかなか出番を作ってあげられていないので、なんとかチームのピースになってもらえるようにということです」
二塁に続いて三塁もプロ初「泥臭く行きたい」
2026年を迎えるにあたり、指揮官は今宮に対して「内野全ポジションを守れるように」と指令を送っていた。4月4日のロッテ戦(ZOZOマリン)ではプロ初の二塁守備も経験。そして三塁と、グラウンドに立つための幅はまた一つ広がった。「一応、今年に入るにあたって(様々なグラブは)準備しました。サードに関しては、どんな形でもいいから捕ってアウトにできたらいいかなと思います。泥臭くいきたいです」。そう言いながら、静かに足元を見つめる。
「ホットコーナー」と呼ばれるポジション。二遊間よりも打者との距離が近く、今宮も「打球が違うと思うし、そこの難しさはあると思いますね。バウンドを合わせる時間も暇もないので。ハンドリングの勝負。あとはスローイングだとは思うので」。遊撃手としてゴールデン・グラブ賞を5度受賞した名手。試合前から三塁でノックを受けるなど、最善の準備を重ねて、どんなポジションからも1軍の勝利に貢献していくつもりだ。
「現状、そんな形でやっていくしかないと思っているし、ここにいさせてもらっている以上は何かしらの形で、とは思っています」。34歳は三塁起用も真っすぐに受け止めた。チームが勝つ、ただそれだけのために――。全力を尽くす姿には必ず、今宮健太の生き様が滲み出ているはずだ。
(竹村岳 / Gaku Takemura)