前田悠伍は指導歴の中でも「ダントツ」 倉野コーチが明かす飛躍の“裏付け”…左腕も「その自信はあった」

  • 記者:飯田航平
    2026.07.06
  • 1軍
ファンとハイタッチを交わす前田悠伍【写真:栗木一考】
ファンとハイタッチを交わす前田悠伍【写真:栗木一考】

開幕ローテ外から無傷6連勝を挙げた要因とは?

「ここまで早く結果を出すとは思っていなかったですね」

 今季、開幕ローテの枠外から這い上がり、ここまで6勝無敗、防御率1.84をマークしている前田悠伍投手。チームの首位浮上を支える若き才能の躍進を、投手陣の舵取りを担う倉野信次1軍投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)は「もうめちゃくちゃ大きいですよ。大きいどころか、あの2人(大津亮介投手と前田悠)がいなかったらと思うと、本当に。このチーム成績はないと思ってますね」と、惜しみない賛辞を送る。

 春季キャンプ中にはフォームを崩し、苦悩する表情も見せていた左腕は、いまや先発投手陣の軸とも言える活躍ぶり。当初は「5回を投げきれればいい」という立ち位置から、瞬く間に急成長を遂げた。倉野コーチの想定を超えるスピードで結果を出したその背景には、一体何があったのか。「今まで僕がこの仕事に関わってきた中でダントツですね」。そう語る倉野コーチの“圧倒的な裏付け”に迫る。

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この先で分かる3つのこと

無傷6連勝の呼び水となった、オフの「ある事実」
指導歴17年の倉野コーチが「ダントツ」と称した凄み
1年目の春、倉野コーチが本人だけに告げた言葉

「そこまでは心配はしていなかったです。彼がここまで積み上げてきたものがようやく身になってきているのかと思います」と、倉野コーチは穏やかな表情で振り返る。3年目から本格的な技術向上へと舵を切った前田悠。今季、これほどまでの成長を遂げた最大の要因に、倉野コーチは迷わず1つの「事実」を挙げる。それは、オフシーズンに取り組んだ「圧倒的な練習量」だ。

「全員のことを細かく見れてはもちろんいないんですけど。自主トレでやっていたことも目の当たりにしましたし、オフに“一番練習した投手”だと思っています。それは見てきた事実として。休みも少なくやってきていたのを知っているので」

 前田悠自身も「余裕で(一番練習した自負が)あります。余裕で。あの練習量は、誰も絶対やっていないだろうなというのはありました。その自信はありました。練習量だけに関しては、もう100%の自信はありました。めちゃくちゃやったので。それは負けていないなと思っていました」と振り返る。

 オフは千賀滉大投手(メッツ)と自主トレを行ったが、難易度の高いトレーニングに苦戦した。それでも、シーズンが始まってからも継続し続けたプライオボールのドリルや、メディシンボール投げなどは、少しずつ自らの感覚へアレンジしながら積み重ねてきた。

指導歴の中でも群を抜く“プロ意識”

 さらに、倉野コーチが背番号41に対して、成長の核心であると確信しているのが“プロ意識”だ。2009年から現在まで、多くの才能を指導してきた倉野コーチの目から見ても、その姿勢は群を抜いているという。「今まで僕がこの仕事に関わって、アメリカにも行っていたので、17年。その中でもプロ意識はダントツですね。ダントツ。武田(翔太)の1年目もすごかったんですけど、少し質が違うというか。今までにいないくらい、プロ意識がすごいです」と、驚きを隠さない。

 左腕の高い意識があるからこそ、あえて厳しい言葉を選んでぶつけてきた。前田悠は1年目のキャンプ時から「他の人には言わないことも、お前には言う」と伝えられ、それを「ありがたいこと」と受け止め、ここまで順調な成長を遂げてきた。

「今は1軍で抑えられるようになってきて。それがどんどんもっと楽にというか、簡単に抑えられるようになってくれば、また自分の意識も高くなってくると思うので。常に上は見ていますけど、より大きい夢とか目標とかになってくると思うので。そういう面では、まだまだ低いところにはいるかなとは思います」と、20歳は力強く語る。

今宮健太からねぎらわれる前田悠伍(左)【写真:栗木一考】
今宮健太からねぎらわれる前田悠伍(左)【写真:栗木一考】

「まだまだすごい投手になれる」

「今までも意識の高さはあったけど、まだ技術がついてきていない状態だった。ようやくその意識に追いついてきたような形ですね。でもだからこそ、まだまだ伸びしろはあると思います。まだまだすごい投手になれると思っているので。期待しています」

 こう語る倉野コーチは、もちろん前田悠の将来を見据えた慎重な起用を崩すつもりはない。目の前の試合に100%の集中を注ぎ込み、一歩ずつ理想の階段を登り続ける若き左腕の進化は、指揮官たちの想像を超えていくに違いない。「シーズンが終わった時に、2桁であったりとか新人王っていうのが結果的に獲れてたらいいかなと思うので、変わらず1戦1戦を大事にしたいです」と語る背番号41。積み重ねてきたことが力になってきたことはすでに実感している。これからどのような進化を見せてくれるのか、楽しみだ。

(飯田航平 / Kohei Iida)