北斗に…「次はしっかりアウトにするから」
自責の念を振り払う好走塁だった。「打球を見た時に、サードがファーストまで投げる距離と、僕が二塁から三塁まで行く時間を瞬時に考えて、投げた瞬間にいけるっていう判断でいきました」。庄子雄大内野手が本来の躍動感を取り戻した瞬間だった。
5日のロッテ戦。5回に先頭打者として一塁への内野安打で出塁した庄子は、2ボール1ストライクから盗塁を仕掛けた。正木智也外野手の打球が大きなバウンドで三塁へ弾むと、三塁手が一塁へ送球した瞬間を見逃さず、迷いのない判断で三塁を陥れてみせた。小久保裕紀監督も「やっぱり足は武器ですからね。とっさの状況でしたけど、非常にいい判断でサードに行った。先頭打者として出塁した仕事も良かったですし、走塁も良かったです」と、背番号25の隙のないプレーを称賛した。
だが、このアグレッシブな快走の裏には、前夜からたった1人で背負い続けていた思いがあった。痛恨のミスを経て、庄子はどのようにして恐怖に打ち勝ち“攻める心”を取り戻したのか。「不安はもちろんありました」――。泥臭いプレーの裏側にあったのは、葛藤と覚悟だった。
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この先で分かる3つのこと
初登板の仲間が失点…猛省する庄子が試合後に掛けた言葉
重圧を感じた庄子を救った小久保監督の“ある一言”
「今はこれしか…」庄子が奮い立たせた泥臭い覚悟
4日の同戦。2回2死一、二塁の守備機会、遊撃を守る庄子はゴロを二塁へ送球したが、野選となった。結果的に、初登板だった先発の北斗投手はその後に崩れ、7失点を喫した。「あそこで3アウトを取っていれば……。まだまだ逆転できる点差で収まっていたと思うので」。試合後、庄子は北斗に歩み寄り「本当に申し訳ない。次はしっかりアウトにするから」と声を絞り出すのが精一杯だった。
試合後に指揮官がかけた言葉
迎えたこの日。グラウンドに立つ庄子の背中には、目に見えないプレッシャーがのしかかっていた。「『ミスできない』っていう気持ちはありましたし『僕のミスで負けたらどうしよう』という思いも、正直ありました」。しかし、庄子はそこで立ち止まらなかった。4日の試合後に小久保監督から呼ばれ、直接かけられた「ミスしたあとが大事」という言葉が、縮こまりそうな背中を強く押したという。
「受け身になってしまうと、同じようなことが起きてしまうと思ったので。そういう時こそ、がむしゃらにというか、攻めた結果のミスはしょうがない、という気持ちで今日に臨みました。昨日ミスをして、また今日こうやってスタメンで使っていただいて。なんとかヒット1本と、ああいう走塁ができたっていうのは、最低限の仕事ができたんじゃないかなと思います」
その“がむしゃらな姿勢”こそが、5回の果敢な三塁進塁に繋がった。アウトになってしまったら――。そんな不安を抱くことなく先の塁を陥れ、チームに流れを手繰り寄せた。
「僕はホームランを打ったり、そういったところで取り返せるような選手ではまだないので。今日みたいな泥臭いヒットで出て、盗塁だったり、今日みたいな走塁でミスを取り返す。“今は”そういうことしかできないので。僕の武器というか、長所を今日は最大限に出してやろうっていう気持ちで試合に入りました」
必要とされているプレーは誰よりも庄子自身が理解している。そのひたむきな姿勢が23歳をさらに成長させるはずだ。真っすぐな目で力強く語った“取り返す気持ち”。その思いを体現した好プレーだった。
(飯田航平 / Kohei Iida)