中村晃の会見全文 19年間を駆け抜けて…潔い決断のわけ「他のチームのユニホームが似合わない」

  • 記者:竹村岳, 記者:飯田航平
    2026.07.03
  • 1軍
引退会見に臨んだ中村晃【写真:栗木一考】
引退会見に臨んだ中村晃【写真:栗木一考】

涙と笑顔の引退会見

 ソフトバンクの中村晃内野手が3日、今季限りで現役を引退すると表明した。この日、PayPayドーム内で記者会見を開き、19年間のプロ野球生活に終止符を打つことを明らかに、決断の経緯や現在の心境、今後、そして家族やチームメートへの思いを語った。会見と、その後に行われた囲み取材の一問一答を全文、余すことなくお伝えする。

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会見
「皆様、今日は早い時間に、お集まりいただきありがとうございます。私、中村晃は、19年間のプロ野球選手生活を終える決断をしました。本当にたくさんの方々に支えられてここまで歩んでこれたと思っています。ここにいるメディアの方々もそうですし、もちろんファンの方々、そして、何より家族の支え、チームメイトの支え、たくさんの支えがあってここまでこれたと思っています。本当に19年間、僕自身を支えていただきまして、本当にありがとうございました。これからも、選手生活は終わりますけど、野球人生はまだまだこれから続いていくと思っていますので、また新たなステージに向かって歩んでいけたらなと思ってます。今日は本当にありがとうございます」
引退を決められてこの場にいて、どんなお気持ちか?
「そうですね、発表することができて、少しすっきりしている部分もありますし、まだシーズンは残っているので、気が抜けないなという思いです」
残りのシーズンについてはどう考えているか?
「もう通常通り、シーズン終了まで選手生活をしっかり全うしたいと思ってますので、今現在は2軍の方にいますけども、結果を残して、状態が上がって1軍に呼んでもらえるように、若い選手たちと一緒に汗を流していけたらなと思ってます」
引退試合の予定はありますか?
「まだ何も決まってないんですけど、球団の方からはそういう試合もやっていただけるというような話もありましたので。いつとかはちょっとわかんないですけど、しっかりとファンの方々にご挨拶できればなと思ってはいます」
引退を決められたのはいつ頃ですか?
「決めたのは、6月4日のドラゴンズ戦の試合後ですかね、その日に選手生活を終わろうという決断を自分の中ではしました」

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どういう経緯で決心したのでしょうか?
「今年ずっと代打という仕事を任されてやってきまして、もちろん結果が出せなければ引退ということも考えないといけないという風に思っていましたんで、自分の中でざっくり、交流戦ぐらいを目処に、結果が出れば続けますし、結果が出せなければそういう判断をしようかなと思っていたので。6月4日に決めたという感じですね」
考えがまとまったのが6月4日だった。
「そうですね、それまでも監督とも話すこともありましたし、自分の中でしっかり決断したという感じです」
その決断を監督にはどのタイミングで話したか?
「6月8日ですかね。月曜日、福岡での休日の日に、監督がドームに来られるということだったので、私もちょっと行って、お話しできる時間をもらえますかという風に伝えて、その日に伝えました」
どういう言葉を伝えて、どういう言葉が返ってきたか?
「そうですね。自分としてはもうしっかりやりきったと、お腹いっぱいやりました、と伝えて、監督からも了承をいただいたという感じですかね」
家族にはどういった形、どういうタイミングで伝えたか?
「家族に伝えたのは、6月、遠征中の横浜で、ちょうど家族も来ていたので、その時に話をしました」
どういう風に伝えた?
「いつもだったら、相談というか、何に対しても相談してしてきたんですけども、本当にずっと自分が長くやってきた野球だったので、そこは誰にも相談することなく、自分の決断をしたいなと思っていたので、突然ではあったんですけど、今シーズンで選手を終わろうと思います、という風には伝えました」
それに対しての反応は?
「やっぱり最初は、受け入れてもらえないというか、受け入れてもらえてないということはないんですけども、信じられないような感じだったと思います。でも『決めたことなんでしょ』という風には言われました」
家族になって印象に残ってるエピソードもあったりしますか?
「そうですね。もう、去年も一昨年も優勝することができましたし、子供も生まれまして、すごく僕自身を支えて、いつも応援してくれていました。本当に、申し訳ないなという気持ちもありましたし……。(涙を浮かべ、しばらく沈黙)。すいません。いつも結果が出なくても、家に帰った時は明るく接してくれたので、本当に感謝の気持ちでいっぱいです」
申し訳ないというのはどんな思いか?
「やっぱりもう少し長く現役を続けたい気持ちはもちろんありましたし、でも、結果がすべての世界なので。最後、自分でしっかり身を引きたいなと思ったので、そこを勝手に決断したのが、少し申し訳なかったなと思います」
振り返ってみてどんな19年間でしたか?
「本当に、あっという間、考えてみればもうあっという間だったなという19年間でした。でも、たくさんの人に出会って、私自身も人間としてすごく成長させてもらいましたし、本当に人に恵まれたプロ野球選手人生だったなと思っています」
バッター中村晃選手として、現役をどう振り返るか?
「2000本というのを目標にして入ってきましたし、その点ではやっぱり悔しさももちろんありますが、でも19年間やってきたことを振り返ってみて、後悔はないのかなと。自分の中ではやりきって終われたのかなと思っています」
ひたむきにやってきたことをどう振り返るか?
「そうですね。本当に一生懸命やってきてよかったなと、素直に今は思っています」
そこまで一生懸命にできたのはどんな思いだったのか?
「やっぱり色んな方に出会って、常にこう力をもらいながら、叱られたこともたくさんありますし、背中を押してもらったこともたくさんあったので。本当に自分だけの力では到底、ここまで来ることはできなかったので、本当に携わってきてくれた方々、すべての人に感謝したいなと思ってます」
ゴールデングラブ賞4回。守備の面ではどうですか?
「決して自信がある方ではなかったんですが、外野手を一から教えていただいたコーチの方々だったりとか、ファーストに行っても、結局ファーストに行ってゴールデングラブ賞を4回取らしてもらったんですけども、そこまで自信がある方ではなかったですが、一生懸命取り組んできて、結果として出たっていうのはよかったかなと思っています」
一番印象に残ってるプレーがあればぜひ教えてください。
「どうですかね。すいません、ちょっと、これっていうのはあんまりないんですけど、自分のプレーというよりか、常に優勝した瞬間というか、そういう瞬間にグラウンドに立っていられた時というのは、本当に最高の瞬間だったかなと思います」
何年の優勝が一番印象的ですか?
「そうですね。やっぱり一番最初ですかね。レギュラーとして出れるようになって一番最初に、優勝した時、2014年の松田さんが最後にサヨナラヒットを打って優勝した時っていうのが、最初というのもあって、劇的というのもあったんですけど、すごく印象に残ってるかなと思います」
ホークスファンについて、どう思っているか?
「本当に、ホークスファンの方々は熱いですし、優しいですし、一緒になって戦ってくれるファンの方々だと思っています。僕自身もすごく応援していただきましたし、背中をたくさん押してもらいました。本当に何度も言いますけど、感謝しかないなという思いですね」
病気や故障を乗り越えた瞬間、過程というのは改めてどうですか?
「でも、幸い大きな怪我というのは少なかったのかなと思うので、そこはよかったなと思うんですけれども、2019年に自律神経をやってしまって、その時は野球が続けられないかなと自分でも思いましたし、そこから、体調管理にもより気をつけるようになりました。結果的にはそういうことがあって、逆に良かったのかなと、自分を見つめ直すいいきっかけになった時でもあったのかなと、今は思ってます」
なぜ公表しようと思ったのか。
「隠すことではないと思っていたので。怪我もしていないのに、試合に出ていないのは何でだろうという、ファンの皆様も、どうしたんだろうという思いがあると思ったので、そこは公表してもいいのかなとは思いました」
たくさん同じような悩みを抱えてらっしゃる方やファンからメッセージも届いたのでは。
「本当に難しい病気だと思うので、何とも言えないんですが、自分のペースで、しっかりやれることを一つずつやっていった結果、私は改善していったと思うので、やれることを少しずつやるということがいいのかなと思っています」
一緒に戦ってきたチームメートにはどんな思いか?
「本当にたくさんのチームメート、先輩も後輩も、同級生も、たくさんのチームメートに恵まれて、たくさんの優勝をすることができましたし、本当にありがとうということは言いたいです」
他の選手には伝えた?
「そうですね。決めた時点で、登録抹消される時に柳田さんと(今宮)健太には伝えました」
どんな反応が返ってきたか?
「びっくりはしてました。でも、ずっと一緒に戦ってきた2人なので、そこは特別な思いがありましたので、一番先に伝えたいなという思いはありました」
来シーズン以降はどう考えているか?
「まだ何もはっきりしたことはわからないですが、これからもホークスっていうのは3連覇、4連覇、5連覇と続いていかないといけないチームだと思いますし、そこを違う角度から達成できるような、選手をサポートするようなところに行って、また頑張りたいなというイメージは少し持っています」
まだ現状どういう立場かというのはこれからですか?
「そうですね、はい」
最後に応援してくれたファンの皆さんにメッセージをお願いします。
「まだシーズンは残っていますが、本当に19年間という長い間、応援していただいて、背中を押していただいてありがとうございました。まだまだホークスの力になりたいと私自身は思ってるので、これからも頑張っていきたいと思います。ありがとうございました」
囲み取材
6月4日の中日戦で金丸投手からセカンドフライを打った打席がきっかけ?
「あれだけではないです。トータル的にです」
引退という言葉が浮かんできたのはいつ頃ですか?
「いや、でもここ数年はもうずっと駄目だったらやめないといけないなっていうのを思ってたので、2、3年はずっと思っていた感じですね」
誰にもその言葉は出さず、自分の中だけで消化してきた?
「今年に関してはそうです」
去年までは?
「家族には2年前も1回相談していますし。その時は反対というか『もっとやった方がいいんじゃないの?』みたいなことは言われました。まあそれはそれで本当に良かったと思ってますし。でも、今年に関しては、自分の中で決めてスタートしたっていう思いはありました」
反対したのは奥様ですか?
「反対されたのは奥さんです」
自分の中で決めたものがあって迎えた1年だった。
「そうですね。もちろん年齢はどんどん上がっていきますし、チームとしても若い選手をどうやって使っていくかっていうのは課題でもあったと思うんで。選手としてやれることというのはもうほんのわずかしか無かったと思ってますので、その中で結果を出すことができなかったのが、スパッと決断した理由の1つですかね」
2軍でサヨナラ満塁ホームラン。あれはもう決めて臨んだ試合だった?
「もちろん」
変わらず準備してというような感じだった。
「そうですね。まあシーズン最後までやるというのはもう、しっかり自分と監督で話をして決めたことなんで、そこはしっかりやりたいなと思っています」
2軍とは言え『ああいうシーンは良いもんだ』と話をしていた。もっと味わいたいとか、気持ちは揺らがなかったか?
「それはあまり無かったですね。まあ、でも本当に、あれが最後のホームランかもしれないですし、一生懸命やっていれば何か良いことはあるな、というそんな感じでしたかね」
今日も今から筑後に?
「そうですね、スタメンはないと思うんですけど、途中から出られたらいいかなと思ってますけど」
最後に1軍にもう一度戻るためにしっかりやると。
「目標はそこが目標で。もちろん状態が上がらなかったり、結果が出なければ、戻るつもりはないですし。チームもすごく良い状態なので、このまま優勝に向かって進んでいってほしいなと思っていますし、無理くり1軍にというのはあまり思ってないですけど」
王会長とも話はされたと思うが、どんな言葉を掛けられたか?
「そうですね、昨日、話す時間をいただいて、ドームに来たんですけど、本当に長い期間チームに貢献してくれたと言ってもらえましたし。迷いは無いのか、という風にも言われましたし、あとはここまでやってこれた自分をしっかり褒めてあげなさいという風に言われましたので、その言葉は非常に嬉しかったです」
体は元気だけど、打撃の反応だったりが思ったものと違ったのか。
「体はボロボロだとは思うんですけど、朝起きて普通に歩くことからスタートで、まあ、だいたい引きずって歩いてますし。それなりにじゃないですかね、それなりに痛いところもありますし、これはもうプロ野球選手は誰でも同じだと思うんで。自分だけと思うことはないですし、今1軍でプレーしてる選手たちもそういうのを抱えながらやっていると思います。体は割とまだ動けるかなと思うんですけど、早く次に行くというのが自分の中では大切なことなのかなと思いました」
この時期に公表したのは何か考えがあった?
「単純に自分の中だけでこう収めておくっていうモヤモヤ感もありましたし、あとはいきなり、最後になって『今シーズンで引退します』っていう風に言ったら、まあファンの方たちも、観に行きたいだろうと思いますし、そこは少し考えて、早めの発表にさせていただきました」
今日の朝は奥様からなんて言って送り出されました?
「今日はまだ静岡にいるんで。子供が入院してるので。だから開幕してからもほぼ息子につきっきりで頑張ってましたし、本当に妻の支えが無かったらここまで野球やれていないですし。それと同時に息子の存在もすごく大きかったんで、もうちょっと長くやれれば良かったんですけど、まだまだこれから、かっこいい父でありたいと思いますし、夫でありたいなと思っています」
だから今日指輪をつけての会見になったのか? 「一緒に」という気持ちで。
「もちろん、常に、試合行く前も絶対、3人で撮った写真があるんですけど、その写真を見てから試合に行きますし、帽子にもイニシャルを書いてますし。そこら辺は常に3人で一緒に戦ってるという思いで、ここ数年はやってました」
ホークスの文化を繋いでいってほしい後輩は?
「みんなじゃないですか? 特に、やっぱり周東、栗原っていう代表的な選手になりますけど、本当に1人1人がホークスの良い伝統というのを繋いでいくっていう意識があれば、本当に強いチームでいられるであろうし、1人の社会人としてもしっかり成長していけるのかなと思うので。そこはすごく1人1人が意識してほしいですし、あと2、3か月ありますので、2軍にもいますし、若い選手たちにはしっかり伝えていければいいのかなと思っています」
若い選手たちにも伝えていきたい、ホークスの大事にすべきものとして残していくべきものって何か?
「若い選手たちを見てて思うのは、能力はすごくあると思いますし、これからが楽しみな選手がたくさんいますのでいいんですけど、まだまだちょっと幼いなという部分がある。やんちゃだったり、遊び心があるっていうのはすごく良いことだと思うんですけど、幼稚な部分であったりとか、幼さっていうのはどんどん無くして、人間として立派になることが一番、そこが一番感じるところですかね」
岩嵜翔投手には連絡しましたか?
「翔は連絡しました」
反応はいかがでした?
「いや、残念そうでしたけど、僕もね、翔よりは絶対長くやってやろうと思っていたんで、そこは残念、残念というか悔しい気持ちはあります。翔も30代になってからすごく成長してますし、どんどん体も大きくなって、160キロ投げるピッチャーになってるんで、刺激になりました」
対戦できたのは良い思い出ですか?
「そうですね。去年対戦して。本当、去年が良い1年だったなという風に思ってます」
自分の中で決めた決めた背景、理由は?
「そうですね。2年前に相談したことっていうのはすごく突発的というか、今考えれば、すごく何考えてたんだろうなと思います。その時の自分というのはすごく反省していますし、今年っていうのは、さっきも言いましたけど、ずっとやってきた、小さい時から一生懸命やってきたことなので、決める時は最後は自分でしっかりと腹をくくって決断するっていうのが、野球に対しても、これまでやってきた自分に対しても、最大の敬意なのかなと思ったので。そこは自分だけにしかわからない部分だったので、相談はせずに決断して、皆さんに報告していったっていう感じですね」
19年間で一番こだわってきたものは?
「やっぱり勝つことじゃないですか。ホークスに入団して常に勝つことを求められてやってきましたし、それは優勝というのももちろんそうですけど、まあチーム内の競争にも勝たないといけないですし、その先には自分自身にも勝っていかないと、この世界では長くできないと思っていたので。パッと思いつくのはやっぱり勝つことが一番意識していた、常に意識していたことです」
柳田さんと今宮さんに伝えていた。
「やっぱり2人は特別ですね。本当に。試合に出だした時期も同じくらいですし、境遇は違うと思いますけど、柳田さんと健太というのはすごく期待されて、球団からも期待されて、その期待に応えていったっていう素晴らしい選手だと思います。僕は僕で、道の無いところから自分で道を作っていったって自分では思っているんで。2人に嫉妬することもありましたし、若い時は。羨ましいなと思うこともたくさんありました。でも、やっぱり2人がいたからこそ自分も成長できたなと、ここまでやってこれたなと思いますし。常にグラウンドに一緒にいましたし、やっぱりそこは最初に伝える、伝えたい2人だったって感じですかね」
結果を基準に判断するのはイメージしていたのか?
「もちろん成績出せないというのは、この世界にはいられないですし、そこは常に意識していますし。やめようって思ったっていうか、そういう時に自分が他のチームに行きたい思いもあるのかなとか、その時に決めようという風に思ってたんですけど、やっぱり19年間お世話になったチームですし、まあこれ以上のチームはないと判断しましたし、自分自身他のチームのユニホームが似合わないんだろうなと思って、そこもスパッと決断した理由の1つですね」
今日は向こうのナイターに出る。
「まあスタメンではないですけど、途中から出られればいいかなと思ってますけど。休むのと2日空いちゃうんで、体は動かしておきたい。まあ単純に、野球しに行くって感じですね(笑)」
楽しいですか、今。
「そうですね。野球は楽しいですね、やっぱ。1軍だとどうしてもプレッシャーかかりますし、なんか数字に追われながら毎日過ごしていくんですけど。2軍がプレッシャーかからないって言わないですけど、純粋にこう野球してるなっていう感じは今ありますかね」

(竹村岳 / Gaku Takemura), (飯田航平 / Kohei Iida)