正木智也が握る“主導権” 異質の35試合10HRを長谷川コーチが徹底分析…打つべき球の「ターゲット」

  • 記者:飯田航平
    2026.07.02
  • 1軍
正木智也(右)と長谷川勇也打撃兼スキルコーチ【写真:栗木一考】
正木智也(右)と長谷川勇也打撃兼スキルコーチ【写真:栗木一考】

首脳陣が分析する正木の好調の要因

 今の充実ぶりを象徴する一振りだった。11-0で大勝した1日の西武戦(みずほPayPayドーム)。正木智也外野手が放った先頭打者アーチがチームを勢いづけた。今季72試合目とチームが折り返しを迎えた中、35試合の出場にとどまりながらも打率.291、出塁率.392をマーク。本塁打はキャリア初の2桁に乗せた。開幕直前に戦線を離れる逆境を乗り越え、背番号31は“異質のリードオフマン”として力強くチームを引っ張っている。

「序盤に離脱して焦りもあった中で、ここまでホームランを打てると思っていなかったので。リハビリ中もしっかり頑張れた結果かなと思います。想像はしていなかったです」

 苦しい時期を肯定するように、静かに振り返る正木。ここまでの状態の良さをこう分析する。「チェックポイントはめちゃくちゃあります。もう5年目なので。この4年間で学んだことを1個ずつ確認してやっている感じです」。26歳がプロの世界で作ってきた引き出しの多さが好不調の波を小さくしている。そんな正木の成長を、誰よりも解像度高く見つめているのが長谷川勇也打撃コーチだ。正木を1番で起用する本当の狙いと、好調を維持できている要因をこう明かす。

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この先で分かる3つのこと

長谷川コーチが正木を「1番」で起用し続ける本当の狙い
狙い球を瞬時に「キャンセル」する、正木の卓越した見極め
コーチが期待を寄せる、正木がシーズン終了まで貫くべき姿

「一番多く打席が回ってくる打順ですからね。ボールの選び方も上手いし、設定も上手い。相手からすれば嫌だろうなと。そういう印象を与えたいなと思っていたけど、本当にそういう形になっているんじゃないかなと思います」

 追い込まれてからも低めの変化球や際どいボール球を平然と見送るシーンが、今季の正木には多く見られる。投手からすれば不気味さを感じることだろう。打席が一番多く回る「1番」という重要な打順に正木を据え続ける理由、そして卓越した見極めを可能にしている技術的な背景について、長谷川コーチはそのメカニズムを解説する。

「打つべきボールのターゲットを明確に持って、打席に入っていますね。ボールを探しながら打つというよりは、ある程度の狙いが決まっているので。そのボールを打ちに行きながら、違うと思ったらキャンセルしたりとか」

 要するに、打席内での主導権を正木自身が握っている状態だと同コーチは分析する。「打ちに行きながら、ボールをしっかり判断して打てていると思います。受け身ではなくて、攻めの姿勢が作れていると感じます」。ベンチから見守る長谷川コーチの言葉からは、正木の打席における“深い信頼感”がにじむ。

 今季3本目の先頭打者弾でキャリア初となる2桁本塁打に到達し、4割近くの出塁率を誇る。1番打者として期待した通りの働きだ。「ちゃんと1番打者として、自分なりのリズムがしっかり作れているんじゃないかなと。そのままシーズン終了まで貫き通してほしいです」。マイペースを貫き通す強さが正木にはある。背番号31のさらなる躍動に期待は高まるばかりだ。

(飯田航平 / Kohei Iida)