北斗が大切にする“色褪せたグラブ” 身近に感じる祖父の存在…貫いた信念「バカにされるけど」

  • 記者:飯田航平
    2026.07.01
  • 1軍
支配下登録を勝ち取り会見に臨んだ北斗【写真:栗木一考】
支配下登録を勝ち取り会見に臨んだ北斗【写真:栗木一考】

大切にする「色褪せた赤」

 12球団を通して「ラスト指名」の男が、わずか数か月で支配下登録を勝ち取った。ソフトバンクは1日、育成ドラフト8位ルーキーの北斗投手を支配下登録したことを発表した。高校2年生で人生初のマウンドに登り、中大の準硬式野球部出身という異色の経歴を持つ22歳右腕は、初々しい笑みをこぼした。

 ファームではここまで7試合(先発は6試合)に登板し、2勝0敗。39回1/3を投げて、防御率1.37の成績を残している。シンデレラストーリーの裏側には、北斗が頑なに守り続ける“ひとつの信念”がある。「『汚い』とか結構バカにされるんですけど……」。1軍の舞台で、感謝の想いを届けたい人がいる――。

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この先で分かる3つのこと

・「汚い」とバカにされても赤のグラブを貫く「特別な理由」
・プロ入り後も新調せず、8年間同じグラブを使い続ける理由
・1軍初登板のマウンドで、彼が「絶対に叶えたい」と願う夢
 
「初めてオーダーしてもらったグラブで、プロ初登板とか大事な試合で使おうと思っています。あのグラブは結構バカにされるんですけど、僕は信念を持ってやっているので」

 北斗が大切にする“赤のグラブ”。プロ入り後は、3軍戦と2軍戦の初先発時に使った相棒だ。北斗は少し照れくさそうに、当時の記憶を愛おしむように語り始めた。

「ピッチャーを始めたのが高校2年だったんですけど、おじさんとおじいちゃんが『ピッチャーになったら買ってあげる』とお金を出してくれて。初めてのオーダーグラブを作ってくれたんです。大学も大事な試合にだけ使っていたので。8年くらい使っているんですけど、めちゃくちゃ大事にしています」

祖父にもらったグラブで力投する北斗【写真:飯田航平】
祖父にもらったグラブで力投する北斗【写真:飯田航平】

 少し色褪せたグラブには、叔父と祖父の大きな期待や想いが今も生きている。「だから“1軍の初登板”も、絶対に赤のグラブで投げたいんです」。野球人生の分岐点で、相棒とともにマウンドに立つ。1軍の舞台で披露する日は、もう目の前に迫っている。

「おじさんとおじいちゃんが作ってくれた大事な1個のグラブ。そこからグラブは買っていないので、ずっと大事にします」

 育成8位という這い上がるしかない逆境からのスタートは、信念をより強固にするための時間だった。“最後”から掴み取った支配下の切符。超満員のマウンドには、「大切な相棒」と必ず上がる。

北斗【写真:飯田航平】
北斗【写真:飯田航平】

(飯田航平 / Kohei Iida)