今宮健太の技術が詰まった“最高の犠打” 相手の策を上回った判断力と信頼の言葉「マッキーなら大丈夫」

  • 記者:竹村岳
    2026.06.26
  • 1軍
牧原大成と今宮健太【写真:栗木一考】
牧原大成と今宮健太【写真:栗木一考】

最少失点でしのぐために必要だった2つのプレー

 リードを許した展開でも耐え続け、一切の“隙”を見せなかった。今宮健太内野手と、牧原大成内野手が見せた“2つのダイビング”。「それがホークスの野球」だと口を揃えた。攻守における好プレーには、どんな状況でも全力を果たすチームリーダーの矜持が詰まっていた。「マッキーなら大丈夫だと思っていました」――。長年チームを支え続けてきたベテラン同士だからこそ成り立つ信頼が、チームの勝利を呼び込んだのは間違いない。

 みずほPayPayドームで行われた25日のオリックス戦。先発の前田純投手は、序盤から苦しいピッチングが続いていた。0-1で迎えた3回1死一塁の場面で、山中が放った打球は左中間へ。これを中堅に入った牧原大が横っ飛びしながらグラブに当て、一走の本塁生還を許さなかった。その後に2点目を奪われ、なお2死二塁のピンチで太田の打球は一、二塁間を襲った。今度は二塁の今宮がダイビングキャッチ。アウトを取ることはできなかったが、さらなる失点は防いだ。どちらも逆転勝利を呼び込む“隠れたファインプレー”だった。

 背番号6は自らが見せた守備について「全然です」と首を横に振る。その裏側に隠されていたポジショニングの戦略、そして垣間見えていた内野手にとって絶対に必要な「意識」とは――。

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この先で分かる3つのこと

今宮健太のプレーにつまっていた「絶対に必要な意識」
6回に決めた貴重な犠打…見抜いていた相手の陣形とは
中堅守備の重要性…牧原大成が周東佑京の名を口にした理由

ベンチと今宮健太の思惑が一致したダイビングキャッチ

「ライトを前に出していたので、今宮の守備位置を二遊間側にしていたんですよ。ライト前だとバックホームで勝負できるけど、センター前だと1点になるというポジションでしたね。ダイビングして、二塁ランナーを生還させないという健太の気持ち。『止める』という意識はめちゃくちゃ大事なので。これは内野手として絶対に持っておかないといけないですね」

 一連のプレーを解説したのは、本多雄一内野守備走塁兼作戦コーチだった。バットが折れていたこともあり、飛び込むタイミングも重要だったはず。「あれがもし、グラブで弾いて(ボールが)転々としていたら失点は防げなかった。それなら外野手に任せないといけないし、捕らなきゃいけなかったので。ベンチのサインに、グラウンドにいる選手が応えてくれたんじゃないですかね」。ベンチと選手が思惑をしっかりと一致させて防いだ1点だった。

 名手の技術は、攻撃面でも光っていた。6回無死一、二塁で、今宮は投前に犠打を決めた。転がしたのは3球目だったが、初球からオリックスの内野陣は「ピックオフ」を仕掛けていた。三塁手を前に出し、遊撃手が三塁ベースに入る陣形を取りながら、なんとしてもバントを決めさせないという意思を示していた。

通算403犠打…今宮健太が口にした圧倒的な自負

 犠打を成功させたのは2ボールからの3球目。遊撃手が定位置から動いていないことを瞬時に判断し、無難に投前へと転がした。通算403犠打を誇る名手。幾多の修羅場を乗り越えてきた分だけ、誰にも真似できないほどの広い視野を持っている。

「シフトをかけられてもバントで勝負するというのは決めていました。コーチに相談もしていたので。(ピックオフを)仕掛けられても、(二走だった)マッキーの足なら大丈夫だと思っていましたし、バスターとかは考えていなかったです」

 決勝点を奪った6回の攻撃。起点となったのは、先頭打者の牧原大だった。変化球に手を出し平凡な内野ゴロとなったが、33歳のベテランは全力疾走。二塁を守る太田のミスを誘い、出塁という役割をきっちりと果たしてみせた。その後に決勝のホームを踏んだのだから、勝利を呼び込む貴重な大仕事だ。どんな時も“隙”を見せない――。「それがホークスですから」と、当然のように言い切る口調が頼もしい。

 今季は二塁で53試合、外野で18試合に出場している牧原大。好調を買われ、ここ最近では5番起用が続くなど、欠かせない存在としてチームを支え続けている。3回に試みたダイビングキャッチに「技術も何もないですよ。捕れなかっただけ。(中堅での出場時は周東)佑京と比べられるので、できるだけ差がないように頑張っているだけです」。謙遜しながら振り返った決死のプレーの瞬間。本塁生還を防いだ背番号8は、小さく拳を握っているように見えた。

(竹村岳 / Gaku Takemura)