6番手からの躍進支えた”超優しい人” 大津亮介が脱却した完璧主義「すごく嫌でしたけど…」

  • 記者:飯田航平
    2026.06.12
  • 1軍
大津亮介【写真:栗木一考】
大津亮介【写真:栗木一考】

今季の1イニング最多失点は「2」

 ローテ6番手からの大躍進には、自身に最も身近な”ある人物”の支えがあった――。マウンド上で淡々とアウトを積み重ねる大津亮介投手の姿に、かつての脆さは微塵もない。9日の阪神戦(みずほPayPayドーム)で自身のキャリアハイに並ぶシーズン7勝目を挙げ、先発ローテーションの柱として確かな存在感を示している右腕。その要因を自ら明かす――。

 7勝は両リーグトップタイの数字。失点しても、引きずることなく次打者を抑える姿を何度も目にする。今季は69回1/3を投げている右腕だが、ここまで1イニングで複数失点を喫したのはわずかに2度。どちらも2失点という抜群の安定感だ。いかに追加点を与えない投球をしているか。そこに今季の大津の凄みがある。

 常に“完璧を求めてきた”男だが、2026年の大津は違う。得点を奪われた直後でも、何事もなかったかのように後続打者を仕留めてみせる。スタミナ不足を指摘された過去と決別し、交流戦では27年間の人生で初という完封勝利まで成し遂げた。エース級の活躍を見せる右腕の心体に、一体どのような変化があったのか。

「絶対に、常に冷静なんで。僕が慌てるのを抑えるように。超優しい人なんです」

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この先で分かる3つのこと

被弾後の「打者のベース1周」で大津が戦っていた相手
スタミナの課題をクリアにした「1か月単位」の調整法
人生初の完封勝利の裏で蘇った、社会人時代の「記憶」

 大津が少し照れくさそうに明かした”優しい人”は、自分自身だった。「もう1人の自分と対話している感じでやっています」。

 昨年までの大津は、自分自身に高いハードルを課す“完璧主義者”だった。「(先発転向の)1年目や2年目は、1本のホームランに対してズルズル引きずることがすごく多くて……」と振り返る。だが、今は全く違う心境でマウンドに凛々しく立っている。

「(本塁打を浴びて)相手バッターが1周走っている間って、すごく嫌なんですけど。走り終わったら、すぐに次の打者がいるので。その1周の中で自分と戦いながら、切り替えさせられている感じですね」

 右腕にそう考えるきっかけを作ったのが、伴元裕メンタルパフォーマンスコーチだ。「伴さんに『どうにかしたい』という話をしたんです。この2年で話し合いもしてきました」。マウンド上で自身をコントロールするスキルを身につけてきた。その取り組みこそが、安定感を生み出すことにつながっている。

小久保裕紀監督とグータッチを交わす大津亮介【写真:栗木一考】
小久保裕紀監督とグータッチを交わす大津亮介【写真:栗木一考】

“1か月のスパン”でコントロールする自身の体

 好調を維持する要因はまだある。先発ローテーションを回る中で、1週間単位のルーティンに固執せず、1か月という長いスパンで疲労の波をコントロールできるようになったことだ。

「月に1週は”落とし日”を作りたい。そのタイミングを見つけることに、すごく時間がかかりました」。試行錯誤の末に確立したコンディショニングの調整方法も、スタミナ面の課題克服につながった。その成果が発揮されたのが、2日の中日戦での1安打完封劇だ。

「社会人ラストの試合が選手権で、それが初完投だったんです。だけど、その試合は2-0で負けたので。完封は初めてだったんです」。どうしても成し遂げたかった人生初のシャットアウト。右腕にとって大きな1日になった。

 8勝目という”未知の領域”に向けても準備を進める。「ここからが難関かなと思います。2桁勝利は絶対にいきたいので」。そう語る大津の視線は高みへと向けられた。エースへの階段を上り始めた右腕が、今季のチームを牽引している。

好投を見せベンチに戻る大津亮介【写真:栗木一考】
好投を見せベンチに戻る大津亮介【写真:栗木一考】

(飯田航平 / Kohei Iida)