首脳陣が明かした中村晃抹消の理由と“タイミング”…試合より優先する課題解消「本人もそう感じている」

小久保裕紀監督と笑顔でハイタッチする中村晃【写真:栗木一考】
小久保裕紀監督と笑顔でハイタッチする中村晃【写真:栗木一考】

首脳陣と中村晃自身が感じていた「スイングの違和感」

 首脳陣は再び大きな決断を下した。9日、ホークスの精神的支柱である中村晃内野手が、今季初めて出場選手登録を抹消された。交流戦も残すところ本拠地での6試合となっていた中、この日も通常通りの練習をこなしていた中村晃だったが、公示から約30分後には球場を後にしていた。ここまで23試合に出場し、31打数4安打。打率.129という成績だった。

 小久保裕紀監督は9日の試合後、「昨日、ドームで2人でゆっくり話をして。(シーズンの)佳境というか、終盤の一番大事な時に、優勝争いの大事なピースとして(戻ってきてほしい)」と、抹消前日に2人で言葉を交わしたことを明かした。

 今季の中村晃は、主に代打という難しい役割を担いながら、若手の見本としてベンチからチームを鼓舞し続けてきた。しかし、鋭い眼光は健在ながらも、本来の打撃を見せることができなかった。ではなぜ、このタイミングでの抹消となったのか。そして、打撃不振の要因はどこにあるのか。その核心に迫る。

会員になると続きをご覧いただけます

この先で分かる3つのこと

首脳陣と中村晃の感覚が一致した、打撃の違和感の正体とは
「今のうちに」と決断できた、好調チームの舞台裏とは
2軍へと赴く中村晃に課された「ミッション」とは

「ずっと状態はあまりよくなかったので、“どこかで”というのはあったんですけど。他の選手との兼ね合いとかもありながら、今回そういう決断になった。もう一回状態をしっかり上げて、勝負できるようにしてほしい、というところですね」

 明かしたのは村松有人野手チーフコーチだ。苦渋の表情を浮かべながら、そう切り出した。これまで何度もチームを救ってきた中村晃だからこそ、代打の切り札としてベンチに置いておきたいという首脳陣の葛藤は想像に難くない。しかし、中村晃自身の感覚と首脳陣が感じている違和感は一致していた。

「やっぱりスイング力だったり……。本人もそう感じているんですけど、自分のスイングができていないところがあったので」。1軍に帯同したまま状態を上げることは容易ではない。一度、スイングや体の状態と向き合う時間を取るべきだと首脳陣は判断した。「もう一回、練習からやり直すっていうイメージ。なので、最初は試合にもあまり出ないと思います」と村松コーチは説明する。

チーム状況が上向きになったことも要因に

 このタイミングでの抹消については、現在のチーム状況も大きく関係している。交流戦では11勝2敗と首位をキープ。その原動力の1つとして、正木智也外野手、庄子雄大内野手、廣瀬隆太内野手ら若手野手陣の躍進が挙げられる。

「今のうちに、というところはあります」。村松コーチがこう語るように、若手の奮闘もあり、チームが勢いに乗れている今だからこそ決断することができたのだという。戦力に少しのゆとりが生まれたこの瞬間こそが、ベテランに「立ち止まる時間」を与えられる好機だった。

 課題として挙げられたスイング力を向上させるのも簡単なことではない。特に年齢を重ねたベテランにとって、その難しさは若手の比ではないだろう。「すぐに筋力がつくわけでもないですし、そこは難しいとは思います」と村松コーチは語る。それでも、シーズン終盤の優勝争いという最も痺れる舞台で、背番号7の力が必要になる瞬間が必ず来る。泥臭くバットを振り続ける日々が始まるが、今回の苦しい決断が歓喜への伏線だったと、中村晃が証明してくれるはずだ。

(飯田航平 / Kohei Iida)