主砲が位置づけた2軍での期間とは
打撃不振から登録を抹消され、ファームで再調整中の山川穂高内野手が早くも結果を出した。4日に行われたファーム・リーグの阪神戦(日鉄鋼板SGLスタジアム)。6回無死一、二塁の好機で打席に立つと、右腕・ラグズデールの144キロを完璧に捉えた打球は鮮やかな放物線を描いて左中間へと吸い込まれていった。
ホークスに移籍して今季が3年目のシーズン。ここまで46試合に出場して打率.175、9本塁打、25打点という成績で、今月1日に登録抹消となった。2軍でいきなり快音を響かせたが、試合後の表情に満足感はなかった。本塁打の感触を問うと、「いや、全然。全然」と即座に首を振る。「ホームラン自体はいいんだけど、その前の打席と“あの打席”では変更しているところがあるんです。出ないよりは出た方がいいので、そこは(良かった)。それよりも……」 。言葉を選びながらも明かしたのは、自身の内面で起きている「ある異変」――。そして、必死に抗おうとする背番号5の泥臭い試行錯誤だった。
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この先で分かる3つのこと
近藤健介のバットを借りてまで、山川が下したある決断
「何かがおかしい」不振脱出へ主砲が変えた新たな構え
2軍の雰囲気を盛り上げる裏で、山川が重ねる泥臭い姿
「自分の感覚の中で、構え(バットの位置)を少し落としたんです。そうやってタイミングを取った方がいいのかなと。試合自体は1日に4打席、5打席しかない。その中で、ピッチャーの球に対してどう打てるのか、練習でのアプローチは模索しながらやりたいなと思います。(2軍にいる期間は)もうそれでしかないです」
山川は今、ファームでの日々を「感覚を擦り合わせて、掴んでいく期間」と位置づけている。1日5打席と考えても、決して機会は多くない。練習からヒントを探し、試合で試していく。そんなシンプルな作業を繰り返す日々になりそうだ。体調自体は決して悪くない。ビジターでも早めに球場入りして汗をかき、積極的に守備練習も行うなど、妥協なき姿勢でもう一度フィジカルから作り上げている最中だ。
昨シーズンの終盤、全体練習が始まる前には一人で黙々とスタンドを歩くなど、新たなルーティンを見つけるための模索を続けていた。「来年に向けてのものが見つかった」と話していた中で、体作りの部分でそれが活きているのは間違いない。しかし、「打てていないので、何かがおかしいなとは思います。そこがしっかりハマるようにはしたい」と、自らの現状を口にする。
近藤健介に借りたバットの真意
その違和感を拭うため、山川はある大きな行動に出ている。バットの重さの変更だ。通算284発を放ち、繊細な感覚を持つ男。以前はバットを変えることは「あまりしない」と語っていたが、直近では近藤健介外野手のバットを借りて打席に入ったこともある。
「メーカーに頼んでいるものがあるんですけど、すぐに届くわけではないので。(近藤に)借りて使っていた感じなんですよ。自分の形のままで、(従来のものより)軽いものを今は注文しているので。それが届いてから、また(打撃が)どうなのかですね」
1軍の打席では力のある直球にどうしても差し込まれてしまう。そこにバットを軽くしようという考えに至った要因がある。
「打てていないからです。速い球に遅れるから、バットを短くするのか、軽くするのか、どっちかしかないと思っていました。バッティング自体は、ああだこうだやって触ったり変えてみたりはするんですけど、それもハマらないということは、『物を変えるしかない』というのも1つの手段。どれがハマるかは分からないので、毎日やってみながらですね」
何としてでも1軍の舞台へ這い上がるという執念の表れでもあった。1日わずか数打席しかない実戦の中で、感覚を取り戻す日々が始まっている。苦悩の先にある景色は、誰もを魅了する豪快な一打だ。声で2軍の雰囲気を明るくしながらも、イニング間にはスイングを何度も繰り返す。もがきながら模索し続ける背中がそこにはあった。
(飯田航平 / Kohei Iida)