「僕が輪を乱すと思ったら」 5月9日の試合前…杉山一樹が倉野コーチに伝えた“覚悟の直訴”

  • 記者:竹村岳
    2026.05.25
  • 1軍
45日ぶりのセーブを挙げた杉山一樹【写真:栗木一考】
45日ぶりのセーブを挙げた杉山一樹【写真:栗木一考】

5月9日のロッテ戦…杉山が試合前に取った行動

 反省と決意に満ちた行動を取ってから、15日が過ぎていた。かつての“仕事場”だった「9回のマウンド」――。セーブを記録したのは、4月9日の西武戦(みずほPayPayドーム)まで遡る。乱打戦の末に白星を手にした5月24日の日本ハム戦(同)。試合を締め括ったのは、杉山一樹投手だった。

 試合は先発の前田悠伍投手が初回に満塁弾を浴び、4点を追いかける展開となった。2回に周東佑京外野手の3点三塁打などで同点に追いつくと、8回には柳田悠岐外野手の左犠飛でリードを奪った。迎えた9回。背番号40がコールされると、本拠地は拍手に包まれた。五十幡、レイエスを連続三振。浅間には四球を与えたが、清宮幸を三飛に打ち取りゲームセット。実に45日ぶりの今季5セーブ目を挙げた右腕は、力強く拳を握った。

 4月11日にベンチを殴打して左手を骨折した。治療に集中し、1軍再昇格を果たしたのが5月6日だった。そのわずか3日後、9日に本拠地で行われたロッテ戦の試合前。杉山は倉野信次1軍投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)のもとに行き、短い言葉でこう伝えた。

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この先で分かる3つのこと

45日ぶりのセーブ…杉山一樹が試合後に語ったのは
杉山一樹が倉野信次コーチに直訴した「本心」
倉野信次コーチが寄せる大きな期待と信頼

「僕がチームの輪を乱していると思ったら、すぐに抹消してください」

 5月2日、ファーム・リーグの中日戦(ナゴヤ球場)で実戦復帰を果たした際、杉山は「チームの輪を乱すようなことをしてしまって、本当に申し訳ないと思います」と謝罪を口にしていた。右腕の中で“あの一件”はまだ終わっていない――。改めて倉野コーチに伝えたのは、まぎれもない右腕の本心だった。結果と“姿”で、もう1度信頼を積み上げていくしかない。45日ぶりにセーブを挙げ、新たな一歩を踏み出した。

倉野信次コーチ「本当に変われるきっかけになるんじゃないか」

 杉山との会話について、倉野コーチはこう明かした。「本人はそういうふうに考えていたのかもしれないけど、輪を乱しているとか、そんなことは何も思わないです」。投手陣を管理する“チーフ”の立場。右腕に対して寄せるのは、大きな期待と信頼だけだ。

「今となっては、杉山自身が本当に変わるきっかけになるんじゃないかと思っています。彼の野球人生は長いし、シーズンだってまだまだ戦いが続くので。今からでも挽回はできますし、投げることでしか返せない。ここからしっかりとチームに貢献してくれると僕は思っています」

 そして倉野コーチは「もう終わったこと。本人も反省して変わろうとしているわけですから」と強調した。杉山が何を思い、腕を振っているのか。その“本心”はしっかりと行動に現れている。26日からは交流戦が始まる。チーム一丸となって、1つずつ白星を重ねていくつもりだ。

 これまでにもセーブシチュエーションが訪れそうな試合はあったが、ようやくそのチャンスが訪れたのは5月24日の「OH SADAHARU LEGACY DAY」だった。試合後、杉山は「復帰して初めてのセーブだったので、抑えられてよかったです。これからもリードを守れるように頑張っていきたいと思います」と静かに語った。リーグ優勝、そして日本一に向かって真っすぐに突き進む。

(竹村岳 / Gaku Takemura)