初の2軍スタートから狙う「50試合登板」
積み上げてきた「245試合」はダテじゃない。7年目にして初めて2軍スタートという現実に直面しても、目指すところは変わらなかった。近年の1軍ブルペンを支え続けてきた津森宥紀投手は、17試合を消化した4月18日に合流した。そこから現在まで9試合に登板して1勝0敗、防御率3.00。圧倒的な数字というわけではないが、登板数はチーム5位タイだ。
入団2年目からは4年連続で40試合以上に登板した右腕。2022年と2023年は50試合以上に登板している。出遅れた形となった今シーズンも、狙うのは「50」の数字だ。そこには「1年間を戦い抜く」ための綿密な計算と、中継ぎ投手らしい哲学が隠されていた。
昨季は状態が上がらず、22試合の登板に止まった。だからこそ、今季に懸ける思いは一段と強くなる。シーズンを通して40試合、50試合と投げ続ける“鉄腕のコツ”とは一体何なのか。津森が、その核心を明かしてくれた。
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この先で分かる3つのこと
鉄腕が明かす、わずか数球でマウンドへ向かう驚きの準備術
50試合登板へ、逆算して導き出した「独自の月間ノルマ」
ビハインドでも腐らない!津森が再び「勝ちパ」を狙う理由
右腕が描く“数字と目標”
「簡単に言ったら、1カードで絶対1試合は投げる。単純計算だと「(前半戦と後半戦で)25、25」でいいわけですから。でも前半で30試合いけたらベスト。後半戦の方が試合数が少ないので。前半だけで40いったらエグいですけど。1か月を10試合ペースでいけたらいいかな」
津森はそう笑いながら、頭の中にある具体的な数字を口にした。リリーフ投手にとって、ブルペンで肩を作る回数と疲労度は直結する。かつてのように「勝ちパターン」として定着していれば、チームがリードしている展開に合わせて準備を始めればいい。しかし、現在の津森の主戦場は、ビハインドの状況や点差が開いた場面での登板だ。試合展開によってはアクシデントに備えて急遽準備を強いられることもあり、そのすべてがマウンドに結びつくわけではない。“空振り”の準備が増えれば、当然ながら疲労の蓄積は勝ちパターンの比ではなくなる。
そこで生きるのが、これまでの経験に裏打ちされたブルペンワークだ。
「本当に作り方は大事です。毎回マックスで作っていたら、やっぱり大変なので。『このバッターから行く』ってなるまでは、1回全力を出せるくらいまで作っておいて。いざ『行くぞ』ってなった時に3球だけパッと投げて、マウンドの投球練習でもしっかり投げる」
“すぐに行ける状態”とは、右腕の感覚では何割程度を指しているのか。そう尋ねると、「6、7割くらい(肩が)できていて、あと3球投げたら行けるっていうくらいまで。マウンドの投球練習でもしっかり投げて、合計8、9球あれば作れる」と涼しい顔で答えた。
「“僕も”コツコツやっていきたいです」
年を重ねるごとに、疲労との付き合い方も変化してきた。「体のどこが張りやすいかとかもわかっているので。そこはトレーニングだったり、ケアで補っている」と語る通り、自分の体との対話は欠かさない。
「5月が終わるまでに14試合行けばいいペースかな。50行けるか、40か。5月が終わってそのくらいなら」。自身の現在地を冷静に分析する津森の視線は、常に先を見据えている。現在はビハインドでの登板が主かもしれないが、思いは決してそこに留まらない。
「(シーズンの)中盤、終盤で良い所で投げられるように。“僕も”コツコツやっていきたいです」
静かな口調の中にも、確かな闘志が宿っていた。今は任せられた場面で懸命に腕を振り、首脳陣からの信頼を再び積み上げている最中だ。いくつかの不安を抱える中継ぎ陣の中で、245試合を積み上げてきた鉄腕が、かつての輝きを取り戻せば一層厚みが増す。背番号11のフル回転に期待したい。
(飯田航平 / Kohei Iida)