周囲から励ましも…山本恵大が打率.438で「呼ばれない理由」 二人三脚で目指す“ありがとう”

  • 記者:竹村岳
    2026.05.01
  • 2軍
2軍戦でベンチから声を出す山本恵大【写真:竹村岳】
2軍戦でベンチから声を出す山本恵大【写真:竹村岳】

笹川吉康が1軍昇格…打率4割超えでチャンスを待つ山本恵大

 圧倒的な結果を残し、チャンスを待ち続けている。打率は驚異の4割超え。誰よりも快音を響かせている山本恵大外野手が、胸中を語った。「僕が(1軍に)呼ばれない理由は、わかっていますよ」。意外にも、冷静に現状を受け止めている26歳。周囲からの“励まし”、2軍のコーチと目指している「ありがとう」――。その裏側に、深く迫った。

 3月のオープン戦では9打数無安打と持ち味の打撃面で結果を残せず。6日の阪神戦(甲子園)を終えたところで、小久保裕紀監督も「彼らしい姿が見られていない」と2軍降格を告げた。山本本人も「全然落ち込んでいないです。原点に戻ってやるだけです」と足元を見つめていたが、現在ファーム・リーグでは打率.438。まさに“らしい姿”を取り戻し、1軍切符を狙っているところだ。

 チームは3、4月を終えて14勝12敗。開幕以降、首脳陣が初めて野手同士の“入れ替え”が決断したのは4月26日、ロッテ戦(平和リース)が雨天中止となった直後だった。イヒネ・イツア内野手が降格となり、昇格したのは笹川吉康外野手。背番号44も直近の2軍戦で結果を残していたものの、山本には声がかからなかった。

「決めるのは自分じゃないですから。吉康だったからどうこう、というのは僕の中ではないです」。冷静に現在地を見つめる26歳。それも、自分自身の明確な課題を理解しているからだ。「これだけ打っていても1軍に行けないということは」――。

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この先で分かる3つのこと

打率.438でも…山本恵大が「呼ばれない理由」
城所龍磨コーチと二人三脚…課題から「ありがとう」へ
周囲から“励ましの言葉”絶対に落とさないモチベーション

「ピッチャーにありがとうと言われるプレーを」

「守らせられないからだと思っています。守備って、チームはもちろん他の選手にも迷惑がかかるじゃないですか。自分としても(呼ばれない理由は)わかっていますよ。城所(龍磨2軍外野守備走塁コーチ)さんにも『これだけ打って上がれないということは、そういうことだよな』と言われるので」

 昨年4月に支配下登録されると、1軍で25試合に出場。失策は「1」だったものの、アマチュア時代も含めて外野手としてのキャリアは決して深くない。それを自覚しているからこそ、打撃面で結果を残しながら課題にも向き合っている。「バッティングは今の感じを維持しないといけないし、守備も上手くなりたい。足りないものが多いので、練習している感じです」と続けて語った。

 タマスタ筑後では連日、特守に励む背番号77。見守ってくれる城所コーチとは、共通の目標を掲げている。守備からもチームに貢献することで“感謝の言葉”をもらうことだ。

「城所さんとも言っているんですけど、守っていて『ありがとう』と言われたいんです。守備は、ミスをすれば人に迷惑がかかるし、勝敗も大きく変わってくる。だからこそ、その“逆”になりたいというか。『投げているピッチャーにありがとうと言われるようなプレーを多くしていこう』と。それが少しずつ続いていけば、信頼もしてもらえると思うので」

アーリーワークに参加して汗を流す山本恵大【写真:竹村岳】
アーリーワークに参加して汗を流す山本恵大【写真:竹村岳】

周囲から“励まし”も…首脳陣も「短所じゃない」

 城所コーチの言葉にも愛情が滲む。「短所じゃないですよ。まだまだ経験が浅いだけで、磨けば光る可能性は十分にあります」。自身も現役時代には守備・走塁を武器に、通算716試合に出場した。チャンスはどこに転がっているか、わからない。だからこそ「(山本に)話しているのは、『8月や9月の終盤戦に守備の評価が低い選手が1軍にいるか?』ということです。足りないのなら補うしかないし、頭のいい子ですから。(今2軍にいる理由も)わかっていると思いますよ」と頷きながら語った。

 快音を響かせながら、モチベーションは絶対に落とさない。山本は周囲から“励まし”の言葉もかけられるという。「首脳陣だったり、コーディネーターの方ですね。『大丈夫、大丈夫』と」。そんな状況もまた、山本が1軍に呼ばれてもおかしくないほど、圧倒的な結果を残している証。気遣いに感謝しつつ、プロ野球選手として胸に刻む“矜持”を静かに明かした。

「リハビリにいた時は確かにキツかったかもしれないですけど、野球は仕事でもあるわけですし。なんか、もったいなくないですか? もう今年(8月に)27歳になるのに、仮にやる気がなかったとして、プレーに影響していたら。それで『今年野球ができるのが最後の年になっちゃったら……』とも思うので。こういうチームに来て、人間的にも成長できていたらいいかなと思います」

 成長を遂げながら、チャンスを待つ。「志が高くないと伸びないと思うので。続けていくしかないです」。大卒5年目の2026年。山本恵大の姿には、プロとしての深い矜持が滲み出ている。

(竹村岳 / Gaku Takemura)

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