7回までの21アウトのうち10個を奪って見せた大津
まさに2026年のホークスが目指している“会心の勝ち方”だった。連敗を2で止めた9日の西武戦(みずほPayPayドーム)。先発の大津亮介投手が7回1安打無失点の快投で今季1勝目を挙げた。野手顔負けの好守を何度も見せた右腕に小久保裕紀監督が見せた笑顔――。その裏には投手陣に課されていた“指令”があった。
大津らしさが詰まっていたゲームだった。初回、先頭の桑原に左前打を許したが、続く岸の投前へのゴロを軽やかに捌き、併殺を完成させた。続く2回も1死から渡部に四球を与えたが、林の強烈なゴロをキャッチした右腕は素早く二塁へ送球。ここもゲッツーで切り抜けた。
右腕がこの日捌いた打球は前述のゴロ2本を含む計4本で、一連のプレーで奪ったアウトは6個だった。さらに4奪三振をマーク。7回までに取った21アウトのうち、実に「10アウト」は大津が直接的に関与したものだった。試合後、首脳陣が明かしたのは指揮官から与えられていた「課題」だった。
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続きの内容は
昨季ワーストを脱却せよ! 首脳陣が下した「指令」の中身
好守の源…大津投手の高校時代からの「隠れた経歴」
改革が浸透! 翌日に中田コーチへノックを志願した「若鷹」
「去年は投手のエラーが一番多かったチームだったので。守備の面については今年の春季キャンプからすごく意識してやらせてはいましたね。それは昨年のシーズン中ももちろん感じていましたし、小久保監督や本多(雄一内野守備走塁兼作戦)コーチからも話はありました。去年に出たエラーの集計を全部取って、どういうプレーで起きたかというのは見ましたね」
昨季は投手陣で17失策…週に1度の“練習改革”
そう語ったのは中田賢一投手コーチ(ブルペン補佐)だ。言葉の通り、ホークスの投手陣は昨季17個の失策を記録した(上沢直之5、松本晴3、東浜巨2、有原航平2、大関友久2、杉山一樹1、前田純1、大山凌1)。チーム全体の失策数77個の22%に当たる状況は看過できるものではなかった。
投手コーチもすぐさま手を打った。先発投手は少なくとも週に1度、試合前にノックを受けることを義務付けた。「投手のエラーは失点に直結する部分もあるので。『うわぁ』と思いながら投げて点を取られるパターンも大いにありますし。逆に自分のワンプレーでアウトを取れれば、乗っていくこともありますから」と中田コーチ。投手も投げ終われば“9人目の野手”となる。守備を磨くことは無駄な失点を防ぐ何よりもの近道でもある。
大津自身もそのことは十分にわかっていた。「もともと野手もやっていましたし、守備は好きな方ですね」。高校時代は内野手としてもプレーしていた右腕。驚くべきはプロ入りした2023年以降、1軍はおろか2軍でさえもエラーをしたことがない。自らを助ける大きな「武器」であることを自覚していたからこそ、この日の好守は生まれた。
8日の試合では木村光投手が投前への犠打をお手玉するシーンがあった。アウトにはなったものの、一夜明けた9日には自ら中田コーチの元を赴き、ノックをお願いしたという。「そういう選手がどんどん増えていけばいいですね」。中田コーチは投手陣に守備への意識が浸透しつつある現状に目を細めた。リーグ3連覇、そして日本一に向けた“千里の道”もまず一歩から。そんな思いを感じさせた9日の試合だった
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)