川村友斗「お前なら捕れたか?」 小久保監督が突然の“問い”…盟友と再会した濃密な2週間

川村友斗【写真:栗木一考、竹村岳】
川村友斗【写真:栗木一考、竹村岳】

西武・仲田慶介との再会で交わした言葉「正木も一緒に…」

「来週が鬼門なんですよね……」。3月27日にスタートした2026年シーズン。開幕カードの日本ハム戦で3連勝を飾り、最高のスタートを切った中で、本音を漏らしたのは川村友斗外野手だった。外野手にとっては、想定しておかなければならない要素が格段に増える屋外球場。開幕から緊張の日々を過ごしている26歳が明かしたのは柳町達外野手からもらった“助言”、そして小久保裕紀監督から掛けられた期待の言葉だった。

 首脳陣から守備と走塁面を期待され、3年連続の開幕1軍入りを果たした。川村が“鬼門”と語ったのは、3月31日から楽天モバイル最強パーク、ZOZOマリンスタジアムで行われた敵地での6連戦だった。強風が吹き荒れ、ナイターであれば照明が視界に飛び込んでくることもある。終盤からの出場が多い背番号61にとって、より徹底的な準備が必要な1週間でもあった。

「屋外球場での6連戦だったので、ちょっと緊張もしたんですけど。無事、週の中で勝ち越すことができてよかったです」。1週間の遠征から福岡に戻ってきた川村は、そう言って胸を撫で下ろす。浮き足立つルーキーを救う好プレーが生まれたのは、育成から這い上がってきたからこそ抱く思いがあったから。「僕も気持ちがわかるので」――。柳町から助言をもらったのは、今月1日の楽天戦での出来事だった。

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続きの内容は

「ちょっと気になるけど」仙台で救いとなった柳町達の“助言”
小久保監督からの宿題「即答やったらな」に込められた期待の形
盟友・仲田慶介との再会。試合前に交わした言葉「正木も一緒に…」

ルーキー・稲川竜汰を救う好プレー「僕も気持ちはわかる」

「グラウンドに出ていく直前に、達さんから『風はちょっと気になるけど、切れていく感じだよ』と教えてもらったので。イメージ通りに守れたかなと思います」

 振り返ったのは9回無死一塁の場面。ボイトが放った打球は右中間に飛んだ。川村が猛チャージをかけると、最後はスライディングキャッチでアウトをもぎ取った。上空とグラウンドレベルでは風量に違いがあったといい「『高く上がったら(打球が)戻りながら切れていくよ』というニュアンスで教えてもらいました。捕れそうだなとは思いながら走っていたんですけど、もし落としていたらどうなるかわからない状況だったのでよかったです」。首脳陣の起用に、しっかりと結果で応えてみせた。

 マウンドに立っていたのは、ドラフト2位の稲川竜汰投手。プロ初登板で2四球2暴投と制球に苦しんでいただけに、ルーキーを救うプレーとなった。「野手とピッチャーでは違うかもしれないですけど、初めて試合に出る気持ちはわかるので。僕もアガっていましたし、緊張したのは覚えています」。2024年3月に支配下登録されて、2年が経った。26歳となり、少しずつ後輩を助ける立場にもなってきた。

「ああいう打球を捕ってもらうために1軍にいるんやからね」。当然といった口調で話しつつ、大西崇之外野守備走塁兼作戦コーチも目を細めた。開幕前日から1軍に合流し、足元を見つめながら役割をこなす川村の存在は、首脳陣にとって大きい。「いつ呼ばれてもいいように、いける準備をしてくれている。それはホークスのいい伝統やし、リードしている状況で試合を締めにいく。俺らの“最後のカード”やからね」。勝負を終わらせる貴重なピースとして、常にベンチから出場機会を狙っている。

試合前練習中、小久保裕紀監督に声をかけられる川村友斗【写真:竹村岳】
試合前練習中、小久保裕紀監督に声をかけられる川村友斗【写真:竹村岳】

虎視眈々と狙うチャンス「いつでも行けるように」

 柳町を含め柳田悠岐近藤健介周東佑京外野手らが揃うホークスの外野陣。スタメンが盤石な分だけ、川村の「守備固め」という役割も明確になる。「『行け』と言われたら行くだけですし、そのための準備をするだけですね」。昨シーズンの先発起用は1試合のみだった。ベンチスタートが続く中でも、スタメンの座を狙う姿勢は絶対に失わない。「それも同じですね。いつでも行けるように、練習を大切にしないといけないです」と足元を見つめた。

「川村、お前なら捕れたか?」。小久保監督から声をかけられたのは、3月29日の試合前練習中だった。前日28日の日本ハム戦、9回にレイエスの打球が右中間を破った。川村の足、守備力なら勝負できたのか――。何気ない会話ではあるが、いきなりの問いかけに驚いた。答えを出せず、考えを巡らせていると「ああ、即答やったらな」。自信に満ちた回答を待っていた小久保監督に、そう言って笑われた。「すぐに『捕れました!』って言わないとダメですよね」。川村は思わず頭をかいたが、そんなやり取りからも期待と信頼が伝わってくる。

 共通の“師”を持つ盟友とも再会した。4月7日、西武戦の試合前に言葉を交わしたのは仲田慶介内野手だ。2軍監督だった指揮官のもとでプレーし、同じ日に支配下登録を掴んだ同期入団かつ同学年の2人。小久保監督の存在も話題に挙げながら「もっと試合に出られるように頑張ろう。正木(智也)と一緒に、またご飯に行こうね」と誓い合ったという。育成時代に培った経験は、今も大切なルーツ。5年目の今季は、どんな役割だとしても、1勝でも多く1軍の勝利に貢献したい。

 開幕の直後から独特の緊張感に包まれていたが、見事にスタートダッシュを切ったホークス。小久保監督が「川村を使うのは悩まない」と言い切れば、本人も「最初はちょっとふわふわしていましたけど、もう大丈夫です。切り替えてやるだけですし、大事な場面の繰り返しなので」と胸を張った。何度も“鬼門”を乗り越えた選手だけが、一流へと成長していく。2年連続の日本一を目指す2026年、川村友斗はもっと強くなる。

(竹村岳 / Gaku Takemura)