杉山一樹が「組んでくれんやん」 海野隆司との“ぶっつけ本番”…不安を払拭したロッカーでの会話

「本番」前にバッテリーを組んだのは1度だけ

 選手の知られざる本音に迫る2026年の新連載「鷹フルnote」。今回は守護神を務める杉山一樹投手が登場です。27日の日本ハムとの開幕戦。最終回に1点リードを守り切ったのは杉山投手と海野隆司捕手のコンビでした。今春キャンプでの実戦からオープン戦まで、バッテリーを組んだのは1度だけだった2人。それでも“阿吽の呼吸”が変わらなかったのは、ロッカーでの会話があったから。「組んでくれんやん」――。快投の舞台裏を探りました。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 頂点にたどり着く道の険しさを予感させる「143分の1」だった。みずほPayPayドームでの開幕戦。互いに点を取りあうシーソーゲームのまま迎えた9回、グラウンドで黄金バッテリーが“久々の再会”を果たした。3月8日のオリックスとのオープン戦以来となるコンビを組んだ2人は、エラーによる出塁は許したものの、きっちりと無失点で試合を締めくくった。

 春季キャンプ中の紅白戦、そしてオープン戦では上記の1試合しかバッテリーを組むことがなかった。昨季はリーグ連覇、そして日本一の大きな原動力となった同学年コンビに“不安”はなかったのか。右腕が明かしたのは「相棒」との知られざる会話、そして冗談っぽく口にした“文句”だった。

会員になると続きをご覧いただけます

続きの内容は

コーチが明かした、二人の「絆」を生んだ場所
杉山投手が新球種で海野に求めた「意見」
海野捕手が明かした、不安を打ち消した「信頼の言葉」

「海野はロッカーも隣ですし、僕のことを一番わかってくれているので。シーズンまで1度しか組むことはなかったですけど、不安は全然なかったですね。ただ、冗談で『全然組んでくれんやん』とは言いましたけど」

細川コーチが語る“間合い”…「信頼関係が見える」

 杉山から首脳陣に「海野と組ませてほしい」との要望はしなかったという。「基本的には試合前に誰と組むのかは伝えられていたので。誰がキャッチャーでも僕がやることは変わらないですし、そこは大丈夫でした」。これまで培ってきた信頼関係が土台にあったからこそ、自らの調整に集中できていたという。

 細川亨バッテリーコーチが明かしたのは、グラウンド外での2人の姿だった。「オープン戦の期間中も、裏で結構話していたんですよ。ロッカーとか、通路とか。そういう姿はすごく見られたので。やっぱり同い年ですし、絆が強いんだなと感じますね。実際、そういう人間関係の成長も大きいなと感じます」。

 海野との会話を杉山は振り返る。「僕も新球種(ツーシームスプリット)やカーブを試していたので。『もしバッテリーを組んだらどういうリードをする?』って聞いたりとか、僕の意見も伝えたりしました。僕が他のキャッチャーと組んだ時の配球についても海野に聞いて。『俺だったらこうしていた』というのも話していましたね」。

 ほぼ“ぶっつけ本番”の状況だった開幕戦。だが、海野自身も不安はなかったと言う。「杉山を信頼しているので。そこに尽きます」。落ち着き払っていたバッテリーの姿を見た細川コーチは「サインを出して、投げてという“間合い”がすごくいいですよね。良いコミュニケーションが取れているからこそ、信頼関係が成り立っているんだろうと思います」とうなずいた。

「海野が僕のことをわかっているから大丈夫だよ、と言ってくれたので。本当に信頼しています」。堂々と言い切った杉山の表情からは、2人の絆が十分に伝わった。今シーズンも杉山ー海野バッテリーが笑顔で抱き合うシーンが何度も見られるに違いない。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)