選手会長としての最終年となった昨シーズンは、離脱がありながらもチームの先頭に立ってリーグ連覇、そして5年ぶりの日本一に輝いた。“肩書”が外れて臨む今シーズン、WBCでは準々決勝敗退という悔しさを味わい、そしてチームに戻ってきた。そんな中で周東が語ったのは、「一抹の不安」だった。
「緊張はした方がいいとは思いますね。やっぱりWBCがすごかったから、気持ちをちゃんと(シーズンに)持っていかなきゃいけないんですけど。持っていけないことはないと思いますけど、毎年みたいな感じで“ガッ”といけるのかなって……」
例年であれば、開幕戦当日のセレモニーが始まった瞬間に緊張が芽生えると言う周東。前回のWBCが行われた2023年は開幕戦をベンチで迎えていた。「スタメンから外れていたので、何とも思わなかったというか……。何戦目かにパッと(先発で)出た感じだったので、そんなに気にすることはなかったです」。今シーズンは絶対的なレギュラーの一員として迎えるからこそ、心のギアがうまく作動するかが気がかりだと言う。
自らと自問自答しつつ、選手会長として過ごした2年間で培った“目”は健在だった。24日にみずほPayPayドームで行われた全体練習。打撃練習を終え、ベンチに戻った栗原陵矢内野手の横に座り、短く言葉をかけた。
「そんなに悪くないやん」
オープン戦で打率.216、0本塁打、2打点と納得のいく成績を残せず、この日も浮かない顔をしていた後輩の姿を見逃すわけもなかった。「悩んでいるのかどうかも全然わからないですよ。まだ(WBC後に)合流してから3試合しか一緒にやっていないですし。まあ別に、(状態が)良さそうに見えたから『悪くない』と言っただけで、そんな深い意味はないです」。周東はそう謙遜したが、新選手会長となった栗原の心境はきっと伝わっているはずだ。
周東自身も「選手会長になって自分の成績がいまいちだったら示しがつかない」と口にしたこともある。「プレッシャーとかは、シーズンが始まってどうなるかじゃないですか。今のところは普段通りやっているように見えますよ。考えていることは当然あるとは思いますけど、周りに『悩んでます』と悟られるような感じではないのかなと思います」。周東の存在は、栗原にとってきっと大きなものとなるはずだ。
昨シーズンは開幕ダッシュに失敗し、4月を終えて単独最下位に沈む苦い船出となった。加えて、開幕カードは最大のライバルとなるであろう日本ハムが相手だ。それでも周東は表情を崩さない。
「特に何かをしなくちゃいけないとかないです。シーズンは長いですから。仮につまずいたとしても、トータルで考えたら焦る必要もないですし。本当にいつも通りやれることをしっかりやるだけかなと思います」
球団移転後では初となるリーグ3連覇、そして2年連続の日本一という偉業に臨む2026年シーズン。周東佑京が抱える“心配”は、責任感の裏返しでもある。この男がいる限り、チームはきっと大丈夫だ。