11日の巨人戦でマルチ安打…打率は3割復帰
17年目の34歳、今宮健太内野手と、4年目の29歳、野村勇内野手。開幕遊撃の座を狙う2人の争いが熾烈を極めている。ともにオープン戦打率3割超えの両者は、今何を思うのか――。鷹フルは2人を直撃した。野村勇が明かした本音とは。
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野村勇を変えた1年前の金言「結果はもう任せる」
今宮との間に流れる穏やかな空気「作ってもらっている」
「なんでやろ…」 つぶやいた言葉に潜む野村勇の“自信”
「いや、全然気にならないです。全然。え、でもこの答えで大丈夫ですか? 本当に何も気になっていないです、正直なところ。それがいいのか悪いのかもわからないですけど……」
11日の巨人とのオープン戦(みずほPayPayドーム)。5回の守備から途中出場した野村は6回1死二塁の好機で中前に適時打を運ぶと、7回にも右前打を放ってマルチ安打をマーク。試合前まで2割台だった打率を.318まで上げた。
「駄目ならクビ」の覚悟で臨んだ昨季はシーズン途中からレギュラーポジションをつかみ取り、打率.271、12本、40打点、18盗塁と軒並みキャリアハイを記録。リーグ連覇、そして5年ぶりの日本一に大きく貢献したが、2026年は再び“サバイバル”を勝ち抜くことを求められている。
最大のライバルはやはり、長年「チームの顔」として遊撃のポジションを守り続けてきた今宮だ。強烈な危機感を口にする34歳もオープン戦で打率.353と猛アピールを続けている。その存在は気にならないはずがないが、野村は落ち着いたトーンでこう口にする。
胸に秘める投資「今年はもっと勝負まである」
「意識しようがしまいが、やることは変わらないので。そういうところは、去年伴さん(伴元裕メンタルパフォーマンスコーチ)と出会ってから、めっちゃ変わったと思います。あまり他(の要素)に左右されなくなってきたかなと思います」
これまで結果を残そうと、どんな球でも追いかけてしまっていた野村だが、昨季は打てるボールだけを待ち、確率の低いコースにきたらやむなしという割り切りを徹底した。その意識改革が功を奏し、1年間を通して安定した成績を残すことができた。
「今の心境は打席での意識と似た部分はあると思います。自分がやれることをやってダメならしょうがないというか……。だから、自分をしっかり練習で追い込んで、トレーニングをして。やることをやって、結果がどうなるかはもう任せる、みたいな感じですかね」
あくまで冷静な視点を欠かさない野村だが、胸の内に秘める闘志は誰よりも強い。プロ野球人生をかけて臨んだ昨季だったが、野村ははっきりと言う。「今年レギュラーが取れなかったら、もうそんなチャンスはないと思うので。『もっと勝負』まであるかなと思っています」。
周囲から見ればハイレベルな争いを繰り広げている2人だが、笑みを見せあう場面も見られるなど、その間に流れる“空気”はいたって穏やかだ。「そういう雰囲気はすごく作ってもらっているなと思います。今宮さんに」。自然体で自分のプレーに集中できる環境を生み出してくれる先輩への感謝も忘れない。
「『自分が打たなきゃ』とか『また打たれた』とか、そういう感情は全然ないですね。なんでやろ……。多分、ちょっと“自信”が付いたからなんですかね」。自分自身も把握しきれていない今の感情こそ、野村のリアルな思いだろう。人事を尽くして天命を待つ――。その心構えで野村は自らと向き合っていく。
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)2026.03.12