今宮健太からの金言 「普通の人はできない」…首脳陣が絶賛した育成2位江崎歩の“1歩目”

今宮健太(左)と江崎歩【写真:竹村岳、長濱幸治】
今宮健太(左)と江崎歩【写真:竹村岳、長濱幸治】

16歳年上の今宮は「小さいころからの憧れ」

 球界屈指の名手と過ごした時間は、18歳にとってかけがえのないものだった。「やっぱり自分もショートをやってきたので、小さいころからの憧れというか……。小柄ながらもあれだけ活躍されて、ずっと試合に出続けられているので。憧れの選手とプレーできて、嬉しい気持ちはすごくあります」。目を輝かせたのは、育成ドラフト2位ルーキーの江崎歩内野手だった。

 筑後で行われている春季キャンプ。C組に入った江崎が、S組で独自調整を続けている今宮健太内野手に話しかけたのは3日のことだった。「ほとんど『初めまして』だったんですけど。今宮さんがバッティングをしていた時に、自分から『守備をお願いします。一緒に練習させてください』と頼みました」。16歳上の大先輩は快諾してくれたという。

 第3クール初日の10日には、ともにショートのポジションで内野ノックを受けた。江崎が明かしたのは、今宮から受け取った「金言」だった。そして首脳陣が大絶賛した18歳の“1歩目”とは――。

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大越監督が絶賛…江崎の偉大な「最初の1歩」
ルーキー江崎が語る「最終的に超えるべき選手」
18歳の江崎が見せたプロで変わった「勝負の顔」

「『脚力が武器だと思っているなら、それを活かすために“1歩目”をしっかり意識して。バウンドの合わせ方とか、ボールを掴みにいくところをもっと意識した方がいいよ』と言ってもらえたので。そこはもう一番最初に言われて、練習の最後までずっと言われ続けたので。すごく勉強になりました」

身長168センチの江崎と172センチの今宮…通じる感覚

 身長168センチの江崎と、172センチの今宮。プロの世界ではかなり小柄な体型の2人だからこそ通じるものがある。「守備には自信があるので、誰にも負けたくない」と強いこだわりを持つ江崎にとって、ゴールデン・グラブを通算5度受賞した経験を持つ名手とのやりとりはこれ以上ない財産となった。

 江崎の姿勢をほめたたえたのが大越基3軍監督だった。「普通の1年目だったら話を聞きにいけないですよ。いや、普通の人間でもそうです。自分が現役時代にいけたかといえば、いけないタイプだったので。後悔しているんですよ。指導者から『聞きにいって来いよ』と言われてもいけない選手が多い中で、彼は自分から考えて動いた。それは江崎がすごいです」。

 江崎自身が口にしたのは意識の変化だった。「高校の時は全然そんなタイプではなかったです。やっぱりプロ入って、自分は育成なので。早く這い上がっていかないといけないって考えたら、こんなチャンスはないと思いました」。18歳が踏み出した“1歩目”の大きさについて、大越監督はこう語る。

「先輩に話を聞くのって最初は凄くハードルが高く感じるんですけど、1回いっちゃうと意外と『大丈夫なんだ』となるので。一番大事なのは、その最初の1歩目なんですよ。特に大卒の選手なんかは早く自分で動き出さないと、あっという間に(現役生活が)終わっちゃうから。江崎は偉いですよ。ああいうところがプロ向きなんじゃないですかね」

 高校の卒業式すら終えていない江崎の顔は、すでにプロの世界で勝負する男の顔になっていた。「緊張はするんですけど、やっぱり一緒にやらせてもらえる時間も本当に限られていると思うので。聞けるものは聞いて、吸収していかないと。最終的には、やっぱり今宮さんを超えないとダメだと思うので。吸収したものを自分に活かして、超えられるようにやっていきたいです」。2つの意味での“1歩目”を学んだ18歳が描くであろう成長曲線が楽しみでならない。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)