若手は「もったいない」 杉山一樹が実体験から導いた“答え”…「結果が出なければ無駄」

筑後のファーム施設で練習する杉山一樹【写真:長濱幸治】
筑後のファーム施設で練習する杉山一樹【写真:長濱幸治】

有原流出、中5日構想…「ガンガン投げさせたらいい」

 自らも苦しみ抜いた経験があるからこそ、若手への“苦言”を口にした。「もったいないって思うことは、めっちゃありますね」。今やホークスのリリーフ陣で欠かすことができない存在となった杉山一樹投手。プロ野球の世界に入った者なら誰もが無限の可能性を秘めている。だからこそ、その姿に感じるのはもどかしさだ。

 2024、2025年に2年連続で最多勝に輝いたエースの有原航平投手が日本ハムに移籍した。加えて小久保裕紀監督は先発ローテを中5日で回す構想も明かしている。中継ぎ陣の負担はより増すことになるが、杉山は平然と言い切った。「ガンガン中継ぎを投げさせたらいいと思いますね」。自身も昨季はリーグトップの65試合に登板するなど、直近2年間で重ねた登板数は「115」。その男の言葉には当然、説得力がある。

 リリーフ陣の出番が増えることは、若手にとっても大きなチャンスとなる。わずかに空いた“席”を狙い、目の色を変えて挑むべきシチュエーションだからこそ、杉山はあえて口を開く。「いっぱいありますよ、時間は」――。

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続きの内容は

過去の努力を「ほぼ無駄」と断じる真意
「無駄な努力」が教えてくれたこととは
杉山が語る「背中で引っ張る」覚悟

「時間がもったいないという感覚ですよね。僕も『まだまだできるな』と思うくらい、やることはあります。どうせやるなら勝ちたいし、その目標から逆算したら絶対にやることは多いはずなので。それだけ投げられるチャンスがあるなら『もっといい準備をしよう』『もっとこうしよう』という“枝葉”が出てくるので。そこで投げれないのは仕事放棄と一緒。準備も、自分の管理もできてないのと同じだと思います」

入団5年で通算38登板…苦しんだ過去があるからこそ

 ともすれば厳しく映る言葉には、杉山の経験則が詰まっている。自身も周囲からポテンシャルの高さを評価されながらも、入団から5年間は通算38試合登板にとどまった。ウエートトレーニングなど様々な取り組みにチャレンジしたが、実を結ぶことはなかった。

「自分が若いころも色々とやりましたけど、結果に繋がらなかったので。やったことはもう、ほぼ無駄だった。極端ですけど、結果が出なかったら、その過程はどうでもいいじゃないですか。過程なんて誰も評価しないので。いくら練習を頑張っても、結果が出なければ意味がない。だからこそ、結果を求めるために悔いのない準備や時間の過ごし方っていうところは、もっともっといけるんじゃないかなって」

 結果至上主義のプロ野球界で生き残っていく厳しさ。「がむしゃらに努力するのも必要ですけど、結果が出なかったら意味がない。僕はそう思っちゃうんで」。杉山はそう語りつつも、「無駄を経験するのはめっちゃいいことなんですけどね」とも付け加えた。「結果が出た時にこそ、『その過程って何だったかな』と考えられるので」。全ては本気で立ち向かってこそ、得られる学びだ。

「まずはリーグ3連覇、そして日本一に向けてもう1度頑張りたいですし、そこは絶対に変わらない目標だと思います。僕がそのために何ができるかなので。自分が年齢的に上になるにつれて、やっぱり下の子がどんどんくるじゃないですか。甘えていられないし、立場も自分で作っていかないといけないので」

 苦しんできた時期があるからこそ、今の自分がある。これからはその背中で後輩たちを引っ張っていく。その覚悟があるから、杉山は決して妥協はしない。2026年もホークスに最高の結果をもたらしてみせる。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)