「僕って弱い人間なので」 イヒネが変われた“本当の理由”…自ら語る今と未来像

イヒネ・イツア【写真:加治屋友輝】
イヒネ・イツア【写真:加治屋友輝】

イヒネが明かす“割り切り”「やっぱり怖いので」

 1年前とは明らかに別人になった。「考え方も今の方が少しは大人になったと思います」。そう口にしたのは2022年ドラフト1位で入団し、3年目を終えたイヒネ・イツア内野手だ。昨季は1軍デビューを果たし、2軍でもチーム最多の110試合に出場。打率.259、5本塁打、44打点、30盗塁と大きな飛躍を遂げた。

 これまでは首脳陣から「自身をコントロールすることが課題」と言われることもあったが、2025年は自らも認める“変化の1年”を過ごした。勝負の4年目に向け、現在はファーム施設「タマスタ筑後」で連日汗を流している。

 一見すれば、結果も出始めて手応えもあった1年のように思えた2025年。だが、21歳に改めて「今季の目標」を問うと、返ってきたのは意外な言葉だった。「僕って弱い人間なので」――。その言葉の続きには、1年間でイヒネがたどった“考え方の変化”が色濃く見えた。

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続きの内容は

イヒネが「怖い」と語った具体的な目標を立てない理由
急成長の裏にあった「割り切り」の具体的な思考法
満点超え!イヒネが描く「足12、パワー8」の未来像

「1日1日を全力で頑張るのが今の目標です。あまり数字とかの具体的な目標を立てないようにしていて。元々は(目標を)立てていたし、『立てたほうがいい』と言う人も絶対いると思うんですけど、それでもやっぱり怖いので」

 昨季5月に初の1軍を経験し、明らかに姿は変わった。「もし1軍に行っていなかった自分を想像すると、怖いです」。目の当たりにした1軍選手の練習量と技術――。加えて、考え方に変化があった。「割り切りができるようになった」と自覚している。

「今まではコントロールできないものに対しても、感情がいっていたと思う。結果が出なかったら『うわー無理だ』みたいになっていた。でも今は『これだけやって無理なら、しょうがない。1日、1試合を全力で過ごす』と決めた。(試合で)誰を使うのかを決めるのは監督。打率だったり、結果にも相手がいる。自分でコントロールできないじゃないですか。それでも自分で頑張ることだけは、コントロールできるので」

 2024年は2軍で打率.177に終わったが、昨季は打率.259、リーグ2位の30盗塁と結果にも変化が表れた。「でもまだ1年。(この考え方が)全部正解かと言われたら分からないです。でも少なくとも去年は、その気持ちの持っていき方で良い形(で結果)につながった。とりあえず今は『良い方向なんだな』とは思っています」と手応えを口にしつつ振り返った。

イヒネ自身が語った“理想の未来像”

 プレー面では昨シーズン中から「パワーを付けたい」と意識し、ウエートトレーニングを継続的に行っている。自らの理想像を10点満点の数値で例えてもらうと、「難しいんですけど『足12、パワー8』みたいな感じです」。笑顔を浮かべながらも、真剣な表情で明かす。満点を超えるほど“武器”を磨きつつ、パワーも追求したい。「体を大きくしたい、でも大きくして走れなくなるのは嫌。色々と考えながら取り組んでいます」と自身の未来像を描く。

 一方で守備面には課題が残った。三塁で7、遊撃で15失策を喫し、11月に行われた秋季教育リーグ「フェニックス・リーグ」では外野守備にも取り組んだ。「正直まだどこも下手なので、どこで出られるのかなと思ったら全然わからない。けど出られるんだったら、どこでもいいから出たいです」。昨年、小さなミスが失点につながり、チームの敗戦につながることを2軍でも経験した。“ワンプレーの重み”も理解し、守備面の強化に努める。

「自分の中で最大限に頑張ろうと努力して、その結果にどんな自分の未来が待っているのか。今は楽しみです。ワクワクしながら毎日やっていく。それが後悔のない生き方かなと思います」。わずか1年で野球スキルだけでなく、考え方も大きく変化した――。間違いなくホークスの次世代を担うスター候補の1人。イヒネ・イツアが今後どんな成長を見せるのか、楽しみで仕方がない。

(森大樹 / Daiki Mori)