ロッカーにしまう3本の“折れたバット” 佐倉侠史朗のHR急増秘話…柳田悠岐から得た「財産」

タマスタ筑後で汗を流す佐倉侠史朗【写真:森大樹】
タマスタ筑後で汗を流す佐倉侠史朗【写真:森大樹】

育成3年目・佐倉が明かす成長の転機

「ホームランが増えたのは良いことなんですけど、1年間(バットを)振る力を身に付けないといけないので……」。キャンプインが迫る中、タマスタ筑後で連日汗を流しているのは、育成3年目を迎える佐倉侠史朗内野手だ。

 昨季は2軍戦初出場を果たし、非公式戦ではチームトップの11本塁打をマーク。11月に行われた秋季教育リーグ「みやざきフェニックス・リーグ」では、2軍級の投手を相手に3本塁打を放つなど、支配下登録への確かな足がかりを見せた。

 2024年シーズンは非公式戦で3本だった本塁打が3倍以上に急増した背景には、「体」の変化があったという。きっかけとなったのは、リハビリ組で調整していた柳田悠岐外野手と交わした“貴重な会話”だった。今でもロッカーに大切にしまっている3本の折れたバットの正体とは――。

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柳田悠岐が明かした、驚異の肉体を作る「黄金比率」
HR激増の裏側!体脂肪率が劇的に変化した「㊙食事メニュー」
ロッカーに眠る3本の折れたバットに込められた「佐倉の決意」

「ギータ(柳田)さんのリハビリ中に、フリーバッティングを一緒にやらせてもらったんですよ。リハビリ組なのかってくらいのスイングとコンタクト率。何よりも振り続ける力がすごくて。年上なのに、僕よりもずっと振って、しかも全力で続けている。衝撃を受けました」

 チームの主砲を目指す20歳にとって、これ以上の教材はなかった。「どんどん聞きました」と貪欲にスター選手へ助言を求めた。その中で、最も意識が変わったのが「食」に関する話だった。

「すごい体じゃないですか。『どうやったらその体が作れるんですか?』って聞いたんです。そしたら『食事が7割、筋トレ2割、睡眠1割』って。食事が一番大事だと言われました。それから栄養士さんと密にコミュニケーションを取って、筋トレのメニューと一緒に大きく見直しました」

 食事内容を大きく変え、間食を減らした。そして運動量を徐々に増やした結果、驚きの変化が表れた。「シーズン前は26%ほどあった体脂肪率が、4、5か月で17%まで落ちて。インボディの数値が劇的に良くなったんです。しっかり食べて落としたので、体のキレがだいぶ良くなりました。プラスしかなかったですね」。体の変化に比例するように打球の飛距離も伸び、本塁打を量産した。

 もちろん打撃論も積極的に聞いた。「『どんなバットを使ってるの?』と聞かれて。それで僕も(見せてもらった)流れで『バットを頂いてもいいですか?』とお願いしたんです。そしたら『新品あげるよ』って3本も。すぐ全部折っちゃいました(笑)。でも大事にしまっておくより、絶対使う方が良いと思ったので。今もロッカーに大切にしまっています」。スーパースターと過ごした貴重な時間だった。

口にする目標“3冠王”

 将来の目標に掲げるのは“3冠王”。「ホームランが増えて、打てる感覚が少しずつ分かってきた。自分の中では率も残したいし、ホームランも打ちたい。だからこその三冠王です。そのために1年間、1軍の舞台で振り切る力を身に付けたい」。手応えを掴んだ2025年。絶対に叶えたい目標だからこそ、フェニックス・リーグ直後から明確に口にするようになった。

 今季は育成選手としての一区切りとなる3年目。高校時代に「高校四天王」と並び称された佐々木麟太郎が、ホークスから2025年ドラフト1位で指名されたこともより危機感を高めた。「野球人生にとっても一番大事な年。ダメなら切られるかもしれない。悔いがないように」。覚悟を決めた表情で語る佐倉侠史朗が今季、どんなプレーを見せるのか楽しみだ。

(森大樹 / Daiki Mori)