首位打者も「プレッシャーは全然ない」 小久保監督の「壊す」発言…牧原大成の“本音”

牧原大成【写真:竹村岳】
牧原大成【写真:竹村岳】

佐賀県鳥栖市で始動…年明け早々の初打ちも

育成出身選手初の首位打者という“金字塔”を打ち立てても、その立場は安泰ではない。牧原大成内野手は指揮官の言葉を真正面から受け止めた。「人として扱われなかった」と感じるほどの逆境を、持ち前の負けん気で乗り越えてきた男が語った本音とは――。

「同じことをしていたら勝てない。『1度壊す』っていうのがテーマですね」。小久保裕紀監督はよどみなく言い切った。新年インタビューで今季のレギュラーとして名前を挙げたのは近藤健介外野手、周東佑京内野手、柳田悠岐外野手の3人のみ。牧原大については「確約ではないですね」と、あくまで競争させる方針を明かした。

 年明け早々から佐賀県鳥栖市で始動し、初打ちもこなした33歳。ベテランとは思えない熱量で16年目をスタートさせた。タイトルホルダーとしての重圧もかかる2026年シーズンを前に、明かしたのは偽らざる本音だった。

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続きの内容は

競争を歓迎する男の「本当の言葉」
WBC選出に慎重な「胸の内」とは
首位打者が決して「あぐらをかかない」理由

「そっちの方が燃えるので」

WBC出場に慎重姿勢「即答で『行きます』とは言えない」

 短い言葉に並々ならぬ決意をにじませた。昨季はプロ15年目にして念願の規定打席に到達し、首位打者だけでなく、パ・リーグの二塁手部門でベストナイン、ゴールデングラブ賞も受賞。主力としての立ち位置を築いたのように思えるが、本人はあくまで足元を見つめた。

 リーグ唯一の3割打者としてタイトルを獲得した中で迎える2026年シーズン。周囲の期待は自然と高まるが、「プレッシャーは全然ないっすね。たまたま取れただけなので。運もあったと思いますし、自分の中で自信を持ってやればいいだけじゃないですか」。あっけらかんとした態度は、風格を感じさせるものだった。

 今年3月に開催されるWBCの候補としても名前が上がるが、世界最高の舞台に抱く思いも牧原大らしいものだった。「1人の野球人として出たい思いはもちろんありますけど、どちらかといえばレギュラーシーズンの方が大事かなと。契約最終年ですし、(WBC出場のオファーがあっても)慎重に考えますね。即答で『行きます』とは言えないです」。

 2010年の育成ドラフト5位で入団した牧原大。最新鋭の機器がそろった筑後のファーム施設がある現在とは違う環境で、泥水をすすりながら支配下を勝ち取った男は覚悟が違う。「タイトルを取ったとあぐらをかいていたら、すぐに他の選手にポジションを奪われるので」。負けん気こそが、牧原大を作り上げてきた。

「プロに入ってから、ずっと競争だったので」。指揮官の方針に表情を曇らせることなく、淡々と受け止めた33歳。チームを壊した先で、グラウンドに立つのは自分だ――。そんな思いを胸に、黙々とバットを振り続ける。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)