想定外の大幅昇給に「はっ?」 前田純が明かす“本音”…「大津さんにしてやられた」

前田純【写真:竹村岳】
前田純【写真:竹村岳】

今季10登板で2勝も年俸750万円→1800万円にアップ

 球団から提示された来季年俸に思わず目を丸くした。前田純投手が26日、球団事務所で契約更改に臨み、1050万円アップの年俸1800万円でサインした(金額は推定)。今季年俸から2.4倍となる大幅昇給に「期待していただいているのは凄く感じたので。来年は絶対に頑張らなきゃいけないなと思います」と拳を握った。

 3年目の今季は開幕ローテーションに入りながらも10試合の登板にとどまり、2勝2敗、防御率3.12と物足りない成績に終わった。8月上旬には左肘の炎症でリハビリ組に合流し、そのまま復帰することなくシーズンは終了。それでも三笠杉彦GMは「2勝ではありましたけど、(チームが)苦しい時期でもあったので。状況が良ければもっと勝ち星が増えていたかもしれないし、いいピッチングをしてくれた」と高く評価した。

 不完全燃焼のまま2025年シーズンを終え、25歳左腕が口にしたのは幻に終わった“復帰プラン”だった。「大津(亮介)さんにしてやれれました」――。今だからこそ明かせる本音、そして来季の先発ローテ入りに向けた“秘策”も語った。

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続きの内容は

・まさかの大幅昇給…明かした「予想額」とは?
・「大津さんにしてやられた」今だからこそ明かせる心境
・最強ローテ割込みへ…同期のライバルと挑む「武者修行」

「紙に書いてあった額面を見て、思わず『はっ?』っていう感じでした。僕の中ではアップしても1000万円くらいかなと思っていたので。本当にびっくりしました」

 前田純が悔やんだのは、シーズン後半の過ごし方についてだった。「やっぱりシーズン前半だけ活躍するよりは、後半にいい成績を挙げたほうが印象に残りやすいと思うので」。故障に苦しんだ夏場以降はリハビリの日々だった。そんな中、ひそかに抱いていた“野望”があった。

怪我後に定めたポストシーズンでの復帰「ひそかに狙おうと」

「怪我した時にはCSや日本シリーズで何とか復帰できればいいなと思ってやっていました。後半が大事だから気持ちを切り替えて、『ひそかに狙おう』みたいな感じだったんすけど……。大津さんにしてやられましたね」

 左腕が口にした大津は夏場以降、先発ローテに食い込み、ポストシーズンでも登板。日本シリーズでは第4戦に先発して5回無失点と好投し、チームとして5年ぶりの日本一に大きく貢献した。「ああいう形が理想だったので。ちょっとうらやましかったですね」。今となっては笑って振り返ることはできるが、ポストシーズンでの復帰がなくなった瞬間は「かなりガクッときました」と明かした。

 今季のホークス先発陣は最多勝に輝いた有原航平投手をはじめ、リバン・モイネロ投手、大関友久投手、上沢直之投手の「10勝カルテット」が誕生した。「最強ですよね……」。そう漏らした前田純だが、何もせずにローテ争いに立ち向かうわけではない。明かしたのは渡米計画だった。

「(松本)晴と一緒にアメリカの施設に行きます。自分は投げられないのでピッチングデザインとかはできないんですけど。投球動画に基づいたアドバイスをもらったり、自分に合ったトレーニングを教えてもらったりですね」

 松本晴は同期入団かつ同学年で、グラウンドの外でも仲のいい相手ではあるが、来季の先発ローテの椅子を争うライバルでもある。「晴だけじゃなく、全員がライバルなので。自分の特徴を活かして、なんとか選ばれるように。自分のベストを出していきたいですね」。米国での武者修行に励み、来季は「マエジュンにしてやられた」と周囲を悔しがらせるほどの活躍を狙う。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)